GAS AMPZILLA Ⅱ | 禁断のKRELL

禁断のKRELL

ハイエンドオーディオやヴィンテージオーディオを語っていきます。

 


 

GAS AMPZILLA Ⅱ 1978年 アメリカ合衆国 ¥598,000

 

 

 

 

――偉大なエンジニアの
魂よ、
高く翔べ!

 

グレート・アメリカン・サウンド!

 

 

 


―――1980年代初頭には既に斜陽産業と云われていたオーディオ業界。
1970年代半ばのオーディオ黄金期、シリーズ累計で実に数万台(!)を売り上げるという
驚異的なセールスを成し遂げ、空前絶後の大ヒットとなった伝説のモデル。
デザイナーはハートレー・マランツ・ダイナコ・SAEと云った名門ブランドを遍歴した
鬼才の敏腕エンジニア、ジェームズ・ボンジョルノ。その彼が満を持して立ち上げた
ニューブランドの第一作の改良版であり、天才と呼んでもなんら憚ることがない、
彼の遺した不滅の一大傑作である。Madrigal Mark Levinson №20が1986年からの
8年間でシリーズ累計 (№20、20.5、20.6) 6500台を売り上げたのが、
その当時の飛び抜けたトップセールスなのだから、そのケタ外れの販売実績は、
オーディオの一番良かった時代を偲ばせるものと同時に、本機にそなわった、
他に比肩するものがない、素晴らしい能力を高らかに喧伝するものである。

 



―――「スカーーッ」としたカリフォルニアの澄み切った青空を思わせる、
ドライで爽快なウェスト・コーストサウンドである。鮮度感がきわめて高く、
冴え渡るトランジェントのよさが格別だ。表現は直截的でダイナミクスに溢れており、

 


轟音をあげながら突進するビッグバンドの楽器群には誰もが驚嘆を覚えるであろう。
これほどまでに音像が立体的に「前に出るッ」感覚は初めての経験であり、
これまでに筆者が知り得た他社のどれほど高価で、まるでダムの放水を思わせるような
巨大モノブロックと真っ向対決させても、比べ物にならない爆発的に立ち上がる
凄まじい力感がある。これがどれほどの、神の偉業の如きと讃えるべき
偉大なエンジニアの御業(みわざ)であるのか、ご理解頂けるだろうか。
「血沸き、肉躍る」 音は、まさに "グレート・アメリカン・サウンド!"
これぞ「小さな巨人」!それにしても突き抜けた高みにある驚異的性能である。
デヴァイスを限界まで使役する過激な設計思想は、強靭な「実体感」を伴い現代アンプには存在しない
「エグい音」をふてぶてしく誇示して見せ、精悍で野性味に溢れる音はきわめて男性的であり、
弾けるような躍動感、燃えるような高揚感、音場空間に生気を漲らせる生命感(ライフ)の表現力は
最大の賛辞で褒め称えたいすばらしさ。楽器がまるで感情を帯びたように飛び散る汗と交錯しながら
奏者の熱情を叩き付けてくる、苛烈なエレクトリックベース!怒涛の勢いで響き渡るシンバルの
リアリティーはまさに圧巻。比較対象すら見当たらないほどの突出した輝かしさで金管楽器を
豪華絢爛に吹き上げさせる。高密度音場の奥底から顔をのぞかせるうねるような"生き物の気配"があり、
それが音楽と対峙する聴者に鬼気迫るようなスリルと底知れない深遠さを感じさせ、
歴史上最高峰、好敵手(ライバル)皆無と興奮して口走りたくなる豪胆でダイレクトな表現力のみならず、
信じられないことに、それをはるかに超える繊細にして、妖艶な官能美を感じさせる
表情が見事に練りまれていて、類い稀な麗質を併有しているのである。
まるでヴィンテージの管球アンプのように非常に温度感が高いウォームな音質である。
このアンプについて語る時、他のどのアンプよりぼくの声は熱を帯び、そして弾むのだった。
これはまさに魔性の音であり、「魔物の潜むアンプ」である。
所有者に間違いなく最高の感動と、そして満足感を与えてくれるアンプ。


 

 


 

 

 

単体で聴く限り年式の割には音に古さも感じないが、現代のハイエンド機器と直接比較すると
流石に時代を感じる面もある。とはいえ「音のよさ」でも同時代のトップクラス。
ウーファーを強烈にグリップする強靭な駆動力には瞠目する(!)だろう。
音質上で唯一の弱点は22.7kgのステレオアンプなので巨大モノブロックの持つ
広大無辺な音場感には及ばず、大型モノ機から本機に交換すると音場が「クッと」狭くなる感覚があった。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

本機はKRELL KSA-100と異父兄弟の間柄にあり、回路設計は瓜二つ、オリジナルは本機である。
アンプジラは男性的、クレルは女性的という大きなテイストの差異がある。


そして、音質的魅力では互角の勝負といいたいところだが、B級のアンプジラに対して
クレルはA級、クオリティの違いは歴然。クレルがサブシステムとしていまも居残ることに
なった。(2016/7/21記)


音質的には躍動的な表現に非常に似通った部分がある。クレルはリライアビリティに
とても優れているし、ハイカレント・ケーパビリティ (電流供給能力) により
低インピーダンスドライブに強く、アンプジラのようにスピーカーを破壊することもなく、
高域特性(高音の美しさ)に優れ、柔らかく、しなやかで、おっとりした音の佇まいでは
大きく異なっていると云えるし、アンプジラにはない特徴や美点も存在している。



※文中20文字ほど「音(オーディオ)の世紀」より引用させてもらいました。

 

 

 

 

 


 

ビンテージアンプの取り扱い方法

 






エイブルさんでお聞きしたところ、ボンジョルノが設計したGAS AMPZILLA、
GAS AMPZILLA Ⅱは故障が少なく、ボンジョルノの手を離れてGAS社が仕様変更
(大幅コストダウン)した、GAS AMPZILLA ⅡAが故障が多かったそうです。
確かにアンプ修理工房の過去記事でも、修理に持ちこまれているのは全てがⅡAです。

シリーズによって配線などかなり中身が違うそうです。それとアメリカ製なので
結構いい加減なところがあって、マークⅡでも初代AMPZILLAと同じ中身だったりします。

シリーズには白色のケース入りEIコア搭載のモデルと外装無しのEIトランス剥き出しがあります。

モデル名はこだわらず、貴方が実際に聴いてみて気に入ったものを使うのが良いそうです。

AMPZILLAはDCドリフト発生でスピーカーを壊すのは本当です。発生頻度は低いようです。

何百万スピーカに繋ぐのは絶対に止めて下さい!本機の使用は自己責任でお願いします
異常を感じたらとにかく使用をすぐストップして、壊れてもいいスピーカーで再度テストしてください。

正しく使えば「故障はそれほど多くはないですよ」と言われました。
「毎年一回はどこかが壊れると聞きましたが?」 「いや、そんなことはないですよ」
と言われました。他店でも三年間でⅡを五台販売して故障で戻ってきたのは一台のみだったそうです。
AMPZILLAは発熱量が多いので最終段トランジスターを熱で壊すことが多いそうです。
発熱対策として強制空冷用に本体底面には冷却ファンが用意され、常時回転しています。
併せて放熱用のヒートシンクが通風孔内に張り巡らされています。これも発熱を低減する目的です。
AB級なので大出力になるほど発熱量は飛躍的に増えるので、
大パワーでの長時間の連続使用は避けた方が無難。
AMPZILLAはアイドリングのみだと発熱はさほどないが、大出力を出すと触れない程熱くなる。
本体の前面パネル下部にあるゲイン切り替えスイッチは、拙宅の環境では
最大の30dbがもっとも音が良かった。ただし、少し音が粗くなりました。
また、AMPZILLAは電源投入後5分くらいボイスコイルに電流が流れるので、
ネットワークなしは注意が必要。高域ドライバーユニットに直結するとドライバーを焼いてしまう。
マルチシステムに使う場合は最初に信号をカットするスピーカーセレクターなどの機構が必要だ。
併せて抵抗を入れておく必要もある。



本機はプリアンプのGAS_THAEDRAと組み合わせてベストの音がでますが、
現在使うとなると、時代を感じる部分もあるので他のプリアンプの方が良いと思います。
GAS_THAEDRAは安定して使える個体もあるそうですが、とにかく故障が多く、
DCドリフト発生でスピーカーを焼いてしまう事故が多発したそうです。
GAS_THAEDRAは、サーボアンプなので使用30~40分前からの通電が必要。
この待機時間を経てからパワーアンプの電源を入れる必要がある。
このプリは発熱が大きいので常時通電は不可である。THAEDRA(THOEBE)は
プリの割に発熱量がかなり多く、まるでA級パワーアンプ並みです。
GASのプリアンプはAMPZILLA以上に危険なプリであり、使わない方が良いと思います。
どうしてもという方は発熱が故障に繋がるのでAMPZILLA同様、オープンエアで使うか、
 (アンプをラックに入れない、周りになにも置かない)
同時にサーキュレーターを使って排熱を改善してあげれば故障発生率は改善されるそうです。


(試聴機器 C290V S5500)



 

 

 

AMPZILLA2000も自宅で一年使いましたが、同じ設計者とは思えない音でした。
スピーカーは同じS5500です。