KRELL FPB200 | 禁断のKRELL

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ハイエンドオーディオやヴィンテージオーディオを語っていきます。


KRELL FPB200 1996年 ¥1,155,000



中期クレルの代表的なパワーアンプのひとつです。

音に非常に厚みがあり、筋肉質で荒々しいアメリカンサウンド。
解像力や空間表現力を重視した同時代のハイエンドの系譜とは
少し違った位置にあるモデルだと言えます。従来の一般的な
ハイエンド機からこのアンプに繋ぎかえて聴いたとき、
思わず立ち上がって!しまうような圧倒的な楽しさを聴いて
味わえるのがクレルのアンプ、ハイデフな音質を至上とし、
分析的な聴き方をされる方にはお薦めは出来ません。
マークレビンソン№23Lと比較すると低域の解像力、圧倒的
ドライブ感、問答無用のド迫力や、凄みのある音などオーディオ的な
見地では劣りますが、アツい音楽を聴かせ、時間を忘れて音楽鑑賞に
浸れるのはFPB200。レビンソン№33xLシリーズとの比較では
全帯域に渡る圧倒的な張り出し感(音離れのよさ)では完敗ですね。
情熱的な表現やミュージカリティの愉悦ではやはりクレルが上。
一つ前の同クラスKSA100sと同時に所有していたので
この二つの比較を中心に据えてインプレッションしてみます。
KSA100sより温度感が若干低くなるが、やはり十分に暖かな音質です。
躍動的で荒々しい佇まい、低域の力感、量感、ボトムの伸び、
音の広がりではこちらが明らかに勝っています。
スピーカーを鳴らし切るドライバビリティでもこちらが上です。
かわりに音質は粗くなり、クレル製品の魅力が薄れていったのは、
この世代の製品が始まりだと思います。質感の低下は聴いて
すぐに分かるほどの違いで落胆しましたね。
基本的な音色はKSA100sと結構似た雰囲気でした。KSA150との
比較では高域のヌケも良くなり大変力持ちなサウンドは変わりません。
筆者個人としてはあまり魅力を感じないモデルですが、
マルチの低域用としては適正があるのではないでしょうか。
KSA150との比較では低域の雄大さでは劣ります。
KSA100sでは締りすぎ、KSA150では膨らみすぎ、そんなときに
クローズアップされるのがこのモデルだと思います。
上位機種のFPB300との差はかなり大きいですから、
行ける人はそこまで行ってしまったほうが絶対に良いと思います。