最初期 KRELLの浪漫 | 禁断のKRELL

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KRELLのパワーアンプは、ごく初期のモノはシルキータッチとでも云いたくなる魅力ある音でしたが、
パネルの質感の変化にともない、この良さはアッというまに消えていきました。
フロントパネルの四角が角ばっており、アルミのバフ仕上げの質感のごく初期のクレルは、
現在は市場でほとんど見かけなくなりました。この画像のものが、その超レア品です。
現在は電源も入り、音は問題なく出ますが、元の音を復活させるためにはメンテナンスが必要です。
KRELLの古いアンプによくある 「ジー」 とか、一般的な 「サー」 という残留ノイズはなかった
です。拙宅の環境 (地方戸建て200Vから100V降圧) ではトランスの唸りもなく、ファンの風切音は
ごく僅かです。KSA-50とKSA-100のフロントパネルのほとんどは角がR状に丸められた
シルバー色ステンレスのヘアーライン仕上げ (目視できないほど極細の横線入り) のもので、
このKSA-50は超レアな最初期ロット品です。シリアルナンバーは#38、
KRELL社 創設者ダン・ダゴスティーノ氏と、音響メーカー、ミッチェルコッター社で勤務した
キャリアのある夫人ロンディーの二人だけで会社を運営していた、家内制手工業時代のもので、
ダゴスティーノ氏が設計・広報・セールスを担当し、こちらのKSA-50もロンディー夫人、
ただ一人の手によって100%手作りしたものだと思われます。ロマンが感じられますね。


(金色のKRELLパネルを除く)


筆者は過去約9年間、まるで妄執に憑りつかれた人のように、この四角が角ばったバフ仕上げの
最初期KRELL KSA-50 KSA-100を探していますが、毎週ほぼ欠かさず手動検索し、
大抵毎日、ネットオークションや中古店の在庫をネットで検索していますが、
自分が知る限り、9年の間で最初期型が市場に登場したのは、KSA-100が一回、
KSA-50が一回しかありません。KMA-100も存在するのですが、一度も見たことがありません。










KSA-50のほとんどが丸型のトロイダルトランスですが、これにはKRELL社の印字入り
EIコアトランスが搭載されています。またマークⅡは安定化の為リレーが搭載されており、
音質がオリジナルモデルより劣化しています。またリレーは経年劣化にも弱いのです。
EIとトロイダルを比較するとEIの方は低域の雑味が消えて透明度があがります。
マニアックの間では、EIコアトランスの初期KRELLが音が良いとされているのは常識です。


本機は残念ながら本領発揮していない音質コンディションですが、それでも一聴して
一般的なタイプのKSA-50よりもふんわりとしたシルクのような柔らかさが感じられる音です。



追記:  時間の経過と共に少しずつ音が甦ってきました。長らく使っていなかったんでしょうね。



https://www.youtube.com/watch?v=K_R8fZx-KWc&feature=youtu.be


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