クリスマスを週末に控えた土曜日。
通りを歩いても、マルシェやスーパーに買い物に出ても、バスに乗っても。
そこらじゅうがクリスマス(Noel)で浮かれている。
おじさんが普通に3kgぐらいムール貝を買い占めている。
お兄さんが車に乗り切らないぐらい酒を買い込んでる。
おばあちゃんが持ちきれないプレゼントの山を抱えている。
街は映画『グリンチ』のフー・ヴィルを笑えない様相。
普通にバスに乗っただけでサンタからチョコレートをもらえる。
「サンタのコスプレした毒テロリストだったらどうしよう」とか考える私は何なんだ
ろう。
そんなウキウキな土曜日なんだけど、うちの家族は、待ちに待たされた超音波診断の
予約のために大忙し。
エコグラフィ屋は「子供禁止」とのことで、息子を朝早くから友人の娘(日本フリー
クで嫁が無料の日本語教室してあげている)に預ける。当のこの家族も今日の午後か
らスキー旅行に出発するらしいから速攻だ。
東芝製の超音波診断装置でエコーしてもらう。日本とはだいぶ雰囲気の違う超音波診
断と、妊娠周期の数え方に戸惑う。さらにことあるごとに、嫁が頭上に「?」を浮か
べるので、超音波技師が不安を覚える。まあ生返事もできないんだけど、痛いなら痛
い、違うなら違うといわないと危ない。というか見ていて不安。
当のbebeであるが、本当に音沙汰がないのでどうしてしまったの?と心中では「最悪
の事態」ぐらいは想定していたのだけど、最先端の超音波診断装置ではくっきりはっ
きり元気な赤ん坊で安心した。指も5本あるし、骨もしっかりしている。医者いわく
「笑っている」らしい。というか本当に笑っているように見える。よく動いているが
成彦のときと違って、暴れていないというか。
当然ながら性別はまだ謎。頭蓋骨を見ている感じでは「なかなかかわいい娘さん」と
いうことにしておく、が夢では次男がよく出てくる。ま、今のところどっちでもい
い、無事に生まれてくれさえすれば。
「無事に生まれてくれさえすれば」といいつつ、さっそくあまり無事ではない事態
に。超音波診断いわく、どうも妊娠周期の計算が違うと医者が言い張る。頭の大きさ
やその他の測定に基づく数値なのだろけど我々の主張よりも2週間も早い日数を強く
主張する。現在14週±3日。もちろん出生予定日も前側に行くわけだけど、それ以前
にCAFだのCPAMだのといった社会保険の提出書類が問題になる。
パリで出産した日本人のHPや、私のフランス語能力で手に入れた情報では「妊娠3ヶ
月の末までに」妊娠認定書を提出しなければならないらしい。これが本当なら、社会
保障を受けられないことに!
日本なら保健所に母子手帳をもらいに行けばいいわけだし、ずいぶん初期の段階で気
になってたのでホームドクターには相談していたのだけど「超音波の後で」と言われ
ていた。しかし超音波は1ヶ月待ち。加えて週末・年末で最速でも26日に書類がもら
えるということになる。この日にあわててCAFとCPAMに書類提出か…不安。知人はみ
んな休みに入ってしまっているし、この問題をうまく解決できるんだろうか…。医者
は大丈夫だ!と言い張るし、親しい友人も「困ったときはいつでも言ってね!」と言
い張ってるけど頼りにはならないし。今日もまたフランスが少し嫌いになってしまっ
た。
なんだかうれしいような悲しいような、という状態で24日を迎えたら、息子が朝から
高熱。38.7度!救急電話する一歩手前。とりあえず解熱剤、ブリザガ(氷枕)で冷却。
といいつつ自分も風邪を引いていることに気がつく。全身だるい。さらにトイレに行
くと血便していることに気づいて凹む。実は週明けまでにプログラミングの案件を2
本抱えていたのだが、とにかく何も考えずに寝る。おかげで食欲も戻ったし、手足も
動くようにはなってきたんだけど、かわいそうなのは息子だな。解熱剤が効いている
うちは元気なんだけど、切れると真っ赤な顔して幻覚気味。
こんなウチにもPereNoel(サンタさん)はくるんだろうか。
ちょっと心配になったので、息子の家族からのプレゼントは今のうちに渡しておくこ
とにした。
本気で楽しそうだ。
青木君からもらった子供用デジカメで記念写真を撮っている。
いいな3歳児は純粋で。
クリスマスはこの子達のためにあるんだよな(★)。
そんなわけで一家そろって風邪引き。嫁もダウン気味。
深夜のLavalには教会の鐘の音が鳴り響いてる。
三賢者はこんな冬の曇り空の下、どうやって星の導きを得たんだろうね。
冷たい空気をはりさいて…荘厳な鐘の音。
なんとなく除夜の鐘にも似た響きだ。
つい嫁と二人で「成彦の風邪が治りますように」、「赤ん坊がまともに生まれてきま
すように」なんて祈ってしまう。
Joyeux Noel...
★注:「サンタクロースは親が…」という子供さんが時々いらっしゃいますが、そう
いう信心のない悪い子供の家にはプレゼントはこないので、かわいそうに思った親が
用意してあげているのです。