「……ほんとに、俺でいいの?」
俺の唇に触れている櫻井さんの手にそっと触れながら聞けば、櫻井さんは困ったように笑う。
「お前じゃなきゃ、意味ないんだよ。俺だって、すげぇ悩んだよ。お前に俺の気持ちを伝えていいのかって……だってほら、俺、バツイチだし、男だし、さ……
BLだなんだって最近はドラマとかでやってるし、色んな理解も進んできたとか言うけど、実際にってなったら世間の目は厳しいだろうし、親に孫の顔見せてやることが出来ないとか、お前のじぃさんだって、雅紀の可愛い嫁さんと可愛いひ孫が見たいんだろうなとか……俺とのことがお前を苦しめることになるんじゃないかって考え出したらなかなか先に進めなくて……」
一気に話し出した櫻井さんの言葉を聞きながら、じわりと目頭が熱くなる。
櫻井さんも俺と同じようにずっと悩んでてくれたんだって、それが分かっただけでも凄く嬉しい。
『好き』の気持ちだけで動けるほど世の中が甘くないって知っているからこそ、悩んで悩んで、それでも俺がいいって言ってくれてるんだもん。
「……俺もね、ダメだって思ってた。櫻井さんに気持ちを伝えたとして、その先があるかなんて考えられなくて……っていうか、その先は考えちゃいけないと思ってた。
ご家族とか、会社の人とか……俺じゃきっと、櫻井さんの迷惑になることしかないから……
でも、だけど……どうやったって『好き』って気持ちはなくならなくて……もう1人で抱えきれなくなって、爆死覚悟で今日、伝えようと思ったのに……」
櫻井さんが手を少し動かして、俺の指先を優しく握る。
「『その先』にさ、行ってみないか?ふたりで」
「……なんか……エロいんですけど」
「あー、うん。言ってから俺もそう思った。まぁ、『そういう意味で』でもいいんだけどさ」
俺の目を真っ直ぐ見つめながらにやりと笑った櫻井さんに体温が一気に上がる。
そういえば、そっちの『その先』のことも考えたことなんてなかったな……キスくらいは想像してたけど……
だいぶ前におーちゃんに言われた『相葉ちゃんはどっちなの?』っていうのは、その事だったのかと、ふいに思い出して腑に落ちて、身体中から汗が噴き出した。
俺の指先に唇を寄せた櫻井さんと目が合って、また変な汗が出る。
「ちょ、ちょっと待って……」
「さっき俺に理性なんていらないって言ったの、お前だろ?」
なのになんでテンパってんだよって、少し後ずさった俺の肩をぺちんと叩いて楽しそうに笑う。
「まぁ、なんだ。そういうことも含めて、だけど、お互い『好き』って分かったんだからさ、先輩と後輩でも、友達でもなくてさ『恋人』として一緒にいたいんだよ、俺は。
いろいろめんどくさい事もあると思うけど、お前とならそういうのも全部、笑顔でかわしていけそうっていうか、そんなのも全部吹っ飛ばして、全部プラスに変えられると思ってんだけど……
だから、ずっと俺の隣にいて欲しいって言ったらダメかな?」
そんな、優しい顔して優しい声で言われたら、さ……もう、やっぱりそれしかないって思っちゃうじゃん。
「……ダメなわけ、ないじゃん……」
俺だって、櫻井さんと一緒にいたい。
そうじゃなきゃ、こんなに長い間苦しんでる必要はなかったんだ。
誰に何を言われても、何があっても、櫻井さんとならきっと大丈夫って変な自信もちゃんとある。
「じゃあ、これからはマジで敬語禁止な?あと、『櫻井さん』呼びは会社の中だけな?」
「えぇ……今更呼び方変えるとか……」
「すぐ慣れるだろ、そんなの。ほら、言ってみ?『翔』だよ。し、ょ、う」
「……し……」
かずは『翔さん』って呼んでた。
松本さんも『翔さん』だった。
おーちゃんは『翔くん』って呼んでた。
「しょぉ……ちゃん……」
「……え……?」
櫻井さんの笑顔がちょっと困った顔になって固まった。
「しょーちゃん!」
「……え、マジで言ってる?」
「くふふ。うん、マジで言ってる!」
「『翔ちゃん』なの?俺が???この歳で?!マジか!そんなふうに呼ぶの、お前だけだわ」
「うん。だから俺、しょーちゃんって呼ぶ!」
俺の、俺だけの呼び方がいいなんて、どうしようもない独占欲だけど『まじかー』って言いながら笑うしょーちゃんも幸せそうだから、きっとこれで正解なんだ。
また顔が近づいて、唇が一瞬だけ触れて離れる。
「じゃあ、改めてよろしくな、雅紀」
「うん。しょーちゃん、これからもずっとよろしくお願いします。
……って!なんか急にすげー恥ずかしい!もぉさ、食べよ!食べて飲もう!お祝いしよ!」
キッチンに入って、作り付けのキャビネットの扉を開けたら、案の定ほとんど空っぽで。
「えー!ちょっと、しょーちゃん!お皿、全然ないじゃん!」
「家で飯食わないから、使わねぇもん……けど、明日、買いに行こ。ふたりで」
「くふふ。うん、ふたりでね」
きっとこれから、こんなふうに、なんでもない毎日が愛おしくて幸せで大切な日になっていくんだろうなって素直にそう思える、から。
「しょーちゃん」
「ん?」
「俺のこと好きになってくれてありがと」
「ばぁか、それは俺の台詞」
後ろからしょーちゃんがふわりと抱きしめてくれた手を掴んで、くるりと身体の向きを変えて向かい合う。
「しょーちゃん」
「なんだよ」
「……大好き」
「……それも、俺の台詞」
おでこをくっつけて笑いあって、またそっとキスをした。
♡おしまい♡
|˙꒳˙)ちらり……
ずっとあげそびれていた最終話💦
記念日だし、今日出しちゃえ!と、出してみました(о´ω`о)ぇへ♪♪
そして、らぶしちゅはもう本当に終われる気がしないので、いつかひっそり消すかもです( ̄▽ ̄;)
ほぼ放置なブログなのに、まだ遊びに来てくださる方がいて、たまにフォロー申請もいただいていたりして、本当に皆様の嵐愛の深さに驚くばかりです💦
(フォロー申請の承認は、嵐のファンと分からない方は保留にしております。お心当たりのある方はコメントかメッセージでお知らせ頂ければと思います)
では、また~( ´ ▽ ` )ノ
20221103
ぴっぴ