ナオは這うようにして分娩室へ移動しました。

実はワタクシ、立ち会おうかどうしようか、ギリギリまで迷っていたのですが(笑)、この時点では、陣痛に苦しむナオを一人にするという選択肢は一切なかったです。

(ということで、必然的に立ち会うことに)

分娩台に乗ってからは、さらに強い陣痛が襲い掛かり、ナオはうめき声をあげ、頭を激しく左右に振ります。

助産婦さんからは、

「(子宮口が)開ききってないから、まだ力を入れないでください」
「鼻から息を吸って、ゆっくりと口から、フ~と吐いて」

と言われるのですが、ナオ自身はそれどころではなく、

断末魔の叫び声とともに、「フッ! フッ!」と短く激しい呼吸を繰り返していました。

もう分娩台に乗ってどれくらい時間がたったのか、時間の感覚がまったくありません。

ただひたすらに、陣痛、陣痛、陣痛…。

お産て、こんなに大変だったんだ…。

私はナオの両手を握りながら、心の中で何度となく、「助けて下さい!」って叫んでました。

(そう、まるでセカチューのあのシーンのような感じw)

そして、どれくらいたった頃だったか、助産婦さんからやっと「イキんでいいですよ」とのゴーサインが出ました。

でも、ここからがまた大変で、ナオがイキむと、お腹の子供の心拍数が160から一気に50~60にダウン。

助産婦さんが慌てて、「いっぺんにイキまないで! 赤ちゃんが苦しがってる!」

でも、ナオはパニックになってて、「えっ、どうすればいいの? わからない! フッ! フッ!」

ケンジはナオの両手を握りながら、「助けてください!」(心の声)

もうね、まだ破水すらしてなくて、先が全然見えないのも辛かった。

それからどれくらいたった頃でしょうか。

ケンジは、ナオの下半身側を一切見てなかったのですが(だって怖いんだもんw)、

なにかの合図があったようで、2~3人の助産婦さんがドカドカと部屋に入ってきました。

それに続いて先生もやってきて、ここでやっと「ああ、もうすぐなんだ」って思えました。

そして、本当にすぐ赤ちゃんの産声が聞こえてきました。

思わず、ケンジは泣いたYO!

感動もしたけど、それよりも何よりも、「ナオ、よく頑張った!」って気持ちのほうが断然強かったYO!

そして、「キミも頑張って出てきてくれてありがとう!」って心から思ったYO!

とにかくホッとして、全身の力が抜けていくのがわかりました。

つづく