『誰かを命がけで、愛した経験はありますか?』
そう訊かれて、一瞬返事に迷った。
ひさしぶりの韓国でのテレビ番組出演。
オレ達3人が質問を受けたときの、オレだけへの司会者からの問い。
それは前もって視聴者から寄せられた『JYJ』への質問事項だったけれど、
たまたまオレに当たったその答えに、
オレはただ、『秘密です』とだけ応えて誤魔化した。
頭のなかにはハッキリと思いだすひとの残像。
その姿を、深くさらに追えば、そのまま泣きだしてしまいそうだったから。
釈然としないまま収録を終え、家路についた。
ジュンスはそのまま舞台の稽古場へ、
オレとユチョンはマネージャーの車で先にユチョンが降り、それぞれの自宅に着いた。
今夜はもう、なにもすることがない。
オレは寄る辺ない気持ちを抱え、部屋の大きな窓にもたれる。
この部屋からみえるいくつもの淡い灯り。
あの輝く光の数ほどの、ひとの幸せが本当にあるのだろうか?
いつの間にか降り出した細い雨に光がぶれて、空にただよう星のようにまたたいている。
オレのみえる世界で、
オレの感じるこの世界で、
オレはまだ、オレのまんまでいようとしたけれど・・・。
なのに、あの狂おしいほどの愛だけはそこに輝いていなくて、オレはもう、ずっと迷子のままだ。
灯りに憧れ恋しく想うのに、臆病でズルいオレはそこから眼をそむけてしまう。
ひとりきりで飲む酒にも、すっかり慣れっこになった。
陽気な友達がこの部屋にいたときは、オレも笑っていられるから、
思い出せないその笑顔を、笑う友達の遥か向こうに重ねたりしては、頭の隅でかき消した。
『にゃあ…ォ』
オレの寂しさに敏感な相棒が、静かに寄ってくる。
(まるで猫みたいだな・・・)
あいつの胸に頭をこすりつけて、嫌々をするように、
甘えるオレを抱きながらそう言っていたっけ・・・・。
(おまえがもし女なら、どこかの悪い男にきっと騙されてるぞ)
悪い男はおまえだよ、ユノ。
オレはおまえに飼われていたネコなのに、エサもやらないで、
捕まえにも来ないで、1年も放りっぱなしで。
オレはさみしくて、同じ仲間とつるんでる。
ジジがすり寄る、足もとだけがあったかくて、いつしか眠りに落ちたオレの頭を、
優しく撫でる指先に目覚めた。
(・・・ゆ・・・のォ?・・)
深い夢から浮上するオレ
心地よいそのてのひらの感触に、あいつを思い出した。
「ジェジュン・・・ただいま・・」
「え?・・・ユチョン?」
オレの髪を撫で、ユチョンが微笑んでいた。
同じ目線まで、その背をかがめると、オレの頬に自分の頬をくっつけて、ギュッと抱きしめてくる。
「ジェジュン、ひとりで泣いちゃイヤだよ。俺もここにいるから」
「ユチョン・・・」
ユチョンとジュンスにはオレの家の鍵を渡している。だから、いつでもふたりはドアを開けて、この部屋に入れる。
なぜなら、オレのこの部屋は、同時にふたりの家でもあるからだ。
だから、「ただいま」と言って、ユチョンはオレを抱き締めた。
「今日、泊るから。一緒にごはん食べよう」
昨日の夜も一緒に食べた。今日のランチだって、ふたり一緒だ。
「まだ、眠い?」
「ううん。ぼんやりしてたら寝ちゃってただけだよ・・」
照れくさそうに微笑んだオレの頬を、ツンと指でユチョンがつつく。
「ジェジュンの寝ぼけた顔、可愛い・・・」
「可愛いって言うな」
「だって、本当に可愛いよ」
「やめろって」
ふざけてオレの脇腹を、くすぐりだしたユチョン。
「あっははぁ、ほんと、やめろって~もう!」
子供みたいに騒いでると、不意に携帯が鳴りだした。
「ジュンス?ああ、今日、仕事終わったの?」
「ジェジュンの料理が食べたいよ~!今からそっち行くから、なんか食べさせて?」
「おう、ちょうどよかった。ユチョンもいるし、3人で食べよう」
「うわはっはは~、ユチョンも行ってんの?以心伝心バンバイャ~だなぁ」
ジュンスの電話に笑いこけるオレ達。
3人で、いつもこんな風に笑ってきた。
オレのために、笑って愛してくれるこの可愛い弟たちを、オレは哀しませるわけにはいかないって、
ずっと悩んできたけど、頑張ってきたけど、
支えられて励まされてるのは、むしろオレだった。
いつの間にかオレなんかより、もっと逞しく、
頼りになる男に成長していたふたりを、オレは命がけで愛している。
そう自然と思った時、ハッと気づいた。
『誰かを命がけで、愛した経験はありますか?』
今がそうだ。
たった今も、そうなんだ。
オレは、この可愛い弟、いや、頼れる男たちを、
ジュンスを、ユチョンを、オレの命ごと捧げて愛してるじゃないか?
なんで、あいつを、真っ先に思い出した?
オレには・・・・・オレにはこんなにも愛しい存在が、すぐに眼の前にいるじゃないか。
「うわっ!なに?どうしたの?」
ユチョンの身体に巻きついて、ギューっと抱きしめるオレ
その胸で、大好きだよと、頭をこすりつけると、
「ジェジュン、なんだかジジにそっくりになってきたな。猫みたい」
「え?・・・・」
「でも、猫より可愛いよ。俺の猫になって、ニャぁ~って言ってみて」
「にャ・・・・・言えるか!そんなの」
「アハハ!あ、雨、止んだみたいだよ?」
ユチョンが微笑みながらオレの手を取り、冷たい指先を温めるように、
キュッと握りしめてくる。
「うん、そうだね」
もうすぐジュンスも、ここにやって来るだろう
そうしたら3人で、今夜の食事を作ろう。
オレは振り向いた夜のこの街の景色に、新しい光をじっとみつめていた。
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これ、ユンジェじゃないかも?(苦笑)
ユンジェが好きです。でも、今の私の心を支えるのはジェチュンであり、ジェスでもあります(笑)
ユンジェが過去なら、ここで描いた世界は、今の私の脳内に最も近い世界。
ユチョンのJJへの愛情が好きです。ジュンスはいつでもJJをほめて、称えてくれます。
ジュンスは照れずに、手放しでジェジュンをいつもリスペクトしている気持ちを表現してくれます。
そんな、ふたりが、3人が、本当に可愛くて微笑ましいです。
ユンジェの妄想愛は、そりゃまあ書いてても楽しいですが、今の現実とのギャップによく凹んでいます(笑)
妄想は、妄想ですから!テーマ的には←(そんなもの、あったのか?!)いっちゃん面白く萌えるのは
確かです。