この青空に手をつなごうー[ユンジェ妄想単発編] | 魔法の城の王子様

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嵐. &羽生結弦
櫻葉、JYJ、ユンジェ妄想小説など好きな話題を
気のむくままに☆☆☆



うっすらと明けゆく朝の気配のなか。

ふと、ベッドヘッドで点滅する携帯のメール着信に気づいて手に取ると、

おまえからのメッセージに、疲れていたはずの脳細胞が一気に覚醒する。



(おはよう、ユノ。元気?同じカナダにいるなんて、偶然すぎるね^^)



いまどき、女子高生みたいな絵文字のならぶその羅列に、思わず声をだしてフッと笑ってしまう。


おはよう、ジェジュン。おまえこそ、元気でいるのか?


俺の心配よりも、ハードワークな自分にあえて身を置いているような、あいつの打たれ弱さを俺は案じてしまう。

そう、もう、おまえは以前ほど、弱くもないのにな。






「ユノ、今晩つきあってよ!」


嫌なことや、へこむようなことがあると、おまえは必ず俺を酒の席に誘った。それも笑顔で楽しそうに。

その意味がわからなくて、最初俺はとまどったものだ。


「俺、飲めないけど?」


「うん、わかってる」


「いいのか?つまんないぞ」


「いいの。だって、ずっとシラフでオレの愚痴、ユノに聞いてもらえるもん・・・・オレの気が晴れる」


「・・・・そっかぁ」


えへ♪


と、悪戯っ子のように笑うおまえに、俺はいつも甘くて。誘われるのが俺だけだってことが、なによりも嬉しかった。

それだけおまえに惹かれて、いつの間にか夢中になっていたんだってことを、

ほかでもない、おまえ自身が気づかせてくれたんだったよな。


ジェジュンア・・・。おまえはいま、誰に聞いてもらってるんだ?

とりとめもないおまえの愚痴や、悩みを。

些細なこだわりも、大きなプレッシャーも、おまえは誰にもなかなか口を割ることがないから、

みんながおまえの悩みに気づかずに、ただ明るく笑うその天真爛漫さだけに、むしろ癒されて・・・。




でも、そんな健気なおまえが、俺にだけは平気で弱音を吐いて、酒を飲んでクダを巻いて、素直に不満を並べるさまを、よく朝までみつめていたよな。



カナダの東部。おまえのいる街からは少し遠いけれど、同じこの国のこの高層ホテルの部屋から、

俺は同じ空をいま、みあげている。

真っ青な空に、おまえの眠る姿、そして目覚める様子を想い出してみる。






「また、しばらく逢えないね。電話もしないよ、会いたくなるから・・・」


ソウルの馴染みの店で、ひさしぶりにふたりで食事した後、別れ際、ほんの少し寂しそうにうつむいていたあの

夜のおまえ。

飲んでもいないのに、うっすらと染まったその頬に、俺はドキンと次の言葉を待った。




「なに、考えてんの?」


「・・・え?」


「いま、や~らし~顔してたよ、ユノ」


「そっか?・・・」


とぼけた俺に素早くキスを寄こしたおまえに、不意を突かれてまじまじと、その綺麗な顔をみつめてしまった。

こんなときこそ照れりゃいいのに、なぜかおまえは真剣すぎる眼で俺を見返すから、眼のやり場に困る。


「煽るなよ。離れられなくなるだろ」


「嘘つき。そんなわけないくせに」


「なんで?」


「さあ、なんででしょう?」



ほんの少し拗ねた口調は無意識なのかもしれないが、それがよけいに俺の胸の隙をついてくる。



「本気だよ。本当は・・・行かせたくない」


ギュッと腕の中に抱き込んで、もう一度、今度は俺からのキスのお返し。


「ユノ、こんなとこで!」


ビックリしたおまえが、俺の胸のなかで跳ねる。フワッと、甘い薫りのおまえの柔らかな髪が、俺の頬をくすぐる。




「なんだよ。今さらおまえが言うなよ。本気だって、信じないおまえが悪いんだ」


「わ・・・かった・・・から。・・離して・・・ヨ」


か細い声の息が、俺の首筋をかすめる。


「ジェジュンア・・・」


なんでまだ、怒ってるんだよ?それじゃあ、まるで立場が逆だろ?




「もう、行くよ」



先に歩きだしたその背中を追いかければ、おまえはほんの少しだけ俺を振りむかずに待って、

そのまま夜の街に消えた。



そう、ここで、さよならだ。

逢うまえから、そう約束していた。

あのまま指をからめて、もう一度深いキスをしてしまえば、冗談じゃなく本当に離れるのがつらくなる。

いつだって、こうしておまえを困らせているのは俺の方だ。


いつだって逢いたくて、片時も離れてなどいたくない。いられない。



愛して、愛して。骨の髄まで喰らい尽くして、おまえをその身体ごと喰らい尽くして、俺のものにしてしまいたい。



そんなほの暗い、抑えきれない俺の欲求に、一瞬怖気づくおまえのとまどいや抵抗さえ、俺にはたまらない誘惑でしかないって、充分すぎるほど。

おまえはイヤと言うほど思い知らされ自覚しているんだろ?


逃げたおまえの残像に、苦笑しながら誰もいない家に戻る。

明日から、いや、たったいまこの瞬間から、俺には世界は色褪せてみえ、おまえだけのための五感を研ぎ澄ませてゆく。




離れていても、聴こえるその声。その仕草、笑顔、あの匂い。

俺の腕のなかで、俺の身体の下で。

ふるえて泣きながら、『もっと・・・』と、せがむおまえの耳に絡みつく甘たるい吐息も、なにもかも。


離れているからこそ、おまえを求めて、おまえを愛して、おまえを誰より近くに感じている俺がここにいる。





「次はいつ逢える?」


なんて一度も訊かなかったおまえ。

最後に逢ったあの夜のあいつを、俺はまた想い出していた。




ジェジュンア・・・おまえの姿を想うだけで俺は!・・・。








その時、またふいに携帯が鳴り出した。



(浮気したら、許さないからね(-з-))



「うん?」



添付されていた画像に、俺は吹き出した。


そこには、ふたりでベッドインして、のん気にピースサインなんかしている俺とジェジュンが寄り添って写っていた。それも、愛し合ったあとの、裸のまんまの門外不出の特一級品だ。



「あいつめ・・・」




俺は声を出して笑った。本当に久しぶりに、笑い転げそうになった。

そして、即座に返信を打つ。




(そんな日は一生来ないよ、バカジェジュン・・・・・・・おまえに逢いたいユンホより)




絵文字もないメールだけれど、おまえへの言葉に、俺はいつも愛を添えて送っているって気づけよな。





「さて、ソウルに帰るとするか」





まるで夏真っ盛りのような、冴えたこの青空はどうだ。

真夏の季節でも、真っ白なままの、あいつの摩訶不思議な魅惑的な美しい肢体。

本人から送信された、その妖しい画像にもう一度見入るうちに、妙な気分を刺激され、



「やべぇ、アドレナリンが全開しちまうだろ」






苦笑まじりに液晶を閉じ、俺は身支度を整え、トロントの空港へと向かった。










fin


゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚



ユンジェがどんな携帯を持っているかとか、深く考えないで下さい(笑)

JJは常に、いま、6台は持っていますから(笑)


ユノもきっと、JJのために余分に他人には滅多にみせない携帯を隠し持っている。いや、いるだろう?

やや、絶対持っているに違いない(笑)

ま、悪戯予防のためにも、1機じゃすまない彼らの事情がありますもんね←だから、なんだ?(笑)

ユノさん、JJのあれこれ回想しているうちに、すっかりカナダの朝を迎えました・・・とさ(´0ノ`*)