追憶[ユンジェ小話]-TOKIIROセレナーデより | 魔法の城の王子様

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嵐. &羽生結弦
櫻葉、JYJ、ユンジェ妄想小説など好きな話題を
気のむくままに☆☆☆



本来なら真っ白で柔らかなはずのジェジュンの手


それは日々の冷たい水仕事や重い荷物のせいで、ガサガサに傷ついて赤くはれていた。


小さな背中を少し丸めて、ポケットのなかに突っ込んだジェジュンの両手。

それでもその手にはささやかな夢がにぎられているから、寒くはなかった。



・・・・きっと次の春になれば、母さんの体調もよくなって退院できる。


夜遅くに訪ねる病室の母は、そっとジェジュンが手を取ると、必ず目覚めて微笑んでくれた


月明かりよりも儚げなその優しさだけで、あすもがんばれる。


ジェジュンの夢は、母が元気になること

そうしてまたふたりで一緒に暮らせること。ただそれだけだった。



ユノに出逢うまでは



「ジェジュン!」



駅裏の古びたホテルのレストラン。

寒さをしのぐ重たいドアを開けたその先に、雪の降るなか自分を待っていたひとをみつけ、ジェジュンは一瞬あっけにとられる


「ユノ・・・ヤ?」



いったいどれほどの間、そこに突っ立っていたのか。

背の高い允浩の頭には、白い雪が積もり、思わず驚くより先にジェジュンは笑った



「ユノ、まるで雪だるまみたいに頭に雪がのっかってるよ?」


「え?あ!・・・どうりで冷たいと思ったよ!」


「あっははは!なに言ってんの?」


おかしそうにジェジュンは、允浩が子犬のようにブルブルと頭を振るのをみていた


「どうしてここに?」


「うん、ジェジュン、雪のなか自転車で帰るのかなって、ちょっとね。心配で来ちゃったよ」

「なにそれ?こんな寒いなか待ってるユノの方が心配だよ。オレのことなんか心配しなくていいのに・・」



なぜか不満げに唇を尖らせる相手を、允浩はうれしそうに見下ろした。


「なに?・・」


「いや・・・自転車じゃなくて歩きだね。。。一緒に帰ろう?ジェジュン」

「う・・ん。」



今度は少し恥ずかしそうに小さくうなづく

そのジェジュンの手



「ジェジュン。もうすぐさ、クリスマスイブだろ?・・・それで、渡したいものがあるんだ」

「え?オレに?」

「そう。」



大切そうにジャンパーの内側から、ユンホがなにかを取り出した

それはひと組の赤い手袋。



「うわあ、あったかそう。え?でも・・・・なんで?」


ユンホから渡されたその手袋の甲には白い『Y』の文字が入っていた


それはユンホの頭文字。


実は同じ手袋を、ユンホは色違いで持っていた。祖母から送られてきた今年のクリスマスのプレゼントは

なぜかふたつの手袋だった。


そのことを、少し照れくさそうに打ち明けながら、隣り合って歩く親友の顔をみた



「ありがとう!オレ、これ使ってもいいの?」


きらきらとしたジェジュンの笑顔に、雪が優しく降りかかる。



「もちろん!ごめんな、でも、俺のイニシャルだし赤い色だから気になる?」

「ううん、ぜんぜん。だって、カッコいいもの」



ユンホはいつも駅裏のレストランの水仕事で、ひどく荒れた手を痛そうにさすっている

自分のことを心配してくれていた。


そんなの大丈夫だよとこたえながらも、くすぐったいような嬉しさを運んでくれるユンホの優しさが好きだった。



うふふと笑うジェジュンは、悪戯そうにユンホを見あげる。


「ねえ、ユンホの手袋はなに色なの?」


「え?ああ・・・俺のは緑だよ」

「ああ、そっか!赤と緑でクリスマスの?」


「うん、そう。ペアの色違いなんだ」



言ってしまってから、恥ずかしい。


いまごろ賑やかな繁華街では、恋人同士がクリスマスムードいっぱいのネオンのなかで愛を語り合っているだろう。



このひっそりとした小さな町の、静かな街灯の下。

それは、まだ恋とは呼べない友情以上の愛おしさ。


そばにいるだけで胸のなかもあつくなるような、幼い愛があふれ出す


ふたりを包む雪のように真っ白で、まっさらな想い。




「ジェジュンア・・・」


そっと差し出してつないだ手を、ことさらにギュッとユンホは握り直す。


愛しさがそこから生まれ、ふたりに微笑みをはこぶ。





「ありがとう、ユノヤ」


「うん・・・」






長いこの道も、少しも寒くない


ずっとふたりで歩いていける



歩いていこう


























おめよごしでお粗末でした(笑)

ユンジェからは長くもう遠ざかっております(笑)

たま~のたま~には、またこういうお話をUPするのもアリなのかなあ?

こういう小さなちょっとしたお話にも、なんとなく私自身の彼らへの世界観が滲んでいるといいんですが。

なかの在中と允浩の、小さな小さなエピソードになります( ´艸`)

お気づきの方もいらっしゃるかもですが、これは私が書いていた『TOKIIROセレナーデ』という物語の

ユンジェ小話でした(笑)

実は去年のクリスマスあたりに気まぐれに書いていて、ブログにもあげずにそのまま放っていた



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