春は別れ、そして。 | 魔法の城の王子様

魔法の城の王子様

嵐. &羽生結弦
櫻葉、JYJ、ユンジェ妄想小説など好きな話題を
気のむくままに☆☆☆



桜は恋しいけれど、きっと寂しい

知っていることを、知らぬふりのままで過ごすのも嘘くさい

目黒川の桜が美しくもない青いイルミで賑わうさまに、ちょっとした憤りを覚えた冬


下世話なクリスマスに苦笑しつつ

めざす店のドアを押した私は、いつでもそこではひとりだった


春はめぐり、そして別れる


いつかと思い、それは3月

その一番終りの前の一日

ジェジュンがソウルを離れる


そしてその次の月の27

有天が行く


3兄弟はしばらく、それぞれの道を歩きだすことになる


韓国を最後に私が訪れたのはそう遠い話じゃない

濃霧のせいで、仁川空港に到着するのが6時間以上も遅れ、遠く離れたまるで違う空港に

緊急着陸。その間私の乗った航空機は、韓国の空の上を何時間も旋回しつづけた


ソウルに向かう高速は濃霧でなにもみえず、まるでホワイトアウト状態のあと

一歩まちがえば事故にあいかねない。

仁川の空港はそんな難ありのハブ空港だった


韓国の地下鉄を、私は自由に乗りこなせ、聞くだけならハングルの会話のおおまかな意味を

聴き取ることが出来た程度には、あの国の文化にも馴染んでいたように思う


その昔はだ。。。。


とてもつらい陸軍兵役の実態


また少しは改善されたのか?


陰湿な上官からの虐め。倒錯的な所業の強要


おおよそ、日本の自衛隊では想像もつかないような過酷で下品な行為が横行しているとされる

兵役青年に課せられる秘密裡の訓練の一環


どれもこれも謎めいてはいるが、現実でもある


愛されて幸せなひとたちが、任務のために過酷な世界に身を投げねばならない韓国のルール


世界中で幸せな国など、ほんとうはどこにもないのかもしれない

真の幸福がそのひとの胸のなかだけに存在するのであれば

どんな過酷な状況にも、笑って耐えられるのだろうか?


それを強さと呼ぶのだろうか?


それが国のためだと言えるのだろうか?


国を守るために戦う

そこに生きる同胞のために戦う


そもそも、戦うとはどういうことか


他人の命を奪えば、自分を守れるというのか?

幸せになれると?


そういう世界の軍隊に、飛び込んで行かねばならない心優しき青年に

いったいどんな言葉が贈れるのだろう



戦いは愚かだと、とうにわかっているのに


憎む行為に励む訓練を強いられるのが、彼らの喜びだろうか?

あたりまえの義務だろうか?



春になれば、花が咲く


そらは晴れ、風もあたたかい


太陽はハチミツのようにかがやいて、誰もに等しくその光を降りそそぐけれど



青いほどその空が憎くなるのはなぜか


優しく風が吹くほどに、呪いたくなるのもなぜ



どこまで人間ってやつは馬鹿なんだ


きっと、どこまでも馬鹿になれるから



それが人間の罪深さと滑稽さだ



戦いを生まない世界にするために、人間はもっとも人間らしい覚悟を持たなければならないのに


長い長いときが過ぎても、まだ戦おうとする愚かさだけを重ね続ける


幸せの笑顔は、その戦いの先にあるか



わかっているのはその答えを、誰も知らないという事実だけだ



やがて桜も咲くだろう



そして季節は春になる



桜の散るさまはうれしくもあり、寂しくもあり



どこかで命が繰り返す宿命を散る花にたとえながら、ひとは泣きもするだろう


そのむなしさゆえ


その儚さゆえ


なにより己れの無力さを、しみじみと感じながら涙もするだろう


花は散ると

知っているから


お帰りなさいを言える日を、待ち続けるためにこそ