犬・猫の「避妊・去勢手術」のメリットデメリット
避妊・去勢手術は全身麻酔を必要とする手術です。
メリットもありますが、その反面デメリットもあります。
そのことをしっかり理解していただいた上で手術を検討してあげてください。
- 人間も同じですが、手術を行うことは少なからず、体に負担がかかります。
その負担を考えると避妊・去勢手術を希望されない飼い主さんも
いらっしゃるかも知れません。
しかし、避妊・去勢手術を行うことによって、
生殖器に関連する病気の予防、問題行動の抑制や生活の質の向上などの
メリットがあります。
メリット ~避妊・去勢で防げる病気~
性ホルモンに関連した疾病の発病防止
メスの避妊
子宮蓄膿症
これは未避妊の高齢のメス犬で発症が見られます。
子宮の細菌感染による膿様物が子宮内にたまり、治療が遅れるとその細菌が、生み出す毒素によって死に至る病気です。
避妊手術にて子宮摘出を行えば子宮が細菌感染に侵されることは無くなります。
乳腺腫瘍
乳腺腫瘍は乳腺にできる腫瘍です。
犬の乳腺腫瘍の平均発症年齢は10~11歳です。
発症率は全腫瘍の30%でその半数が悪性腫瘍といわれていています。
乳腺腫瘍の発症データ
ある研究の結果で
【1】初回発情前の卵巣摘出
【2】初回発情後の卵巣摘出
【3】2回以上発情を発現した後の卵巣摘出の乳腺腫瘍の発生率を検査したところ、
【1】0.5% 【2】8% 【3】26%
とデータが出ており、発情の回数と結びつく結果が出ています。
すなわち早期に避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍の発症率が下がるのです。
オスの去勢
前立腺肥大症
犬の場合はオス犬が高齢で発生する病気で血便や、排便障害、などの症状を引き起こします。
この病気も精巣から分泌されるホルモンが発症に関与していると言われています。
去勢手術を行うことでこの病気の発症を予防する事ができます。
会陰ヘルニア
中年齢以降の雄犬に比較的よくみられます。直腸を支える筋肉群が萎縮することにより、腸管などの器官が会陰部(肛門のまわり)の皮下に脱出する病気です。詳細な原因は不明といわれていますが、性ホルモンの関与が推測されており、去勢手術によって、その発症を抑制できると考えられています。
肛門周囲腺腫
高齢の雄犬でよくみられる腫瘍で、肛門周囲の皮膚に発生することが多いです。
良性の場合が多く、良性のものであれば、去勢によってその発育を抑えることができ、
再発の防止にもなると言われています。
デメリット ~避妊・去勢でのデメリット~
避妊・去勢手術のリスク
麻酔のリスク
避妊・去勢手術は全身麻酔を必要とします。
麻酔に対してのリスクは0%とはいえません。
中には麻酔に対して、アレルギーを持っていたり、シーズーや、パグ、
ボストンテリアなどの短頭種では麻酔後に気道が閉塞してしまう可能性もあり得るため
全身麻酔に関しては短時間であっても十分に慎重に行う必要があります。
肥満
避妊、去勢手術の後に肥満傾向になる犬や猫が多くみられます。
手術後に基礎代謝率が減少することによりカロリー要求が減ります。
行動範囲が狭まることで、運動量が減り、体重が増加してしまいます。
対策としては一定量の食事を規則正しく与え、適度な運動をすることです。
また、避妊、去勢した犬猫専用のフードなどもあり、手術後の肥満防止を図ることができます。
このことを書いたとき、あるわんこのコトでお問い合わせをくださった方からのメールで、
「あなたは、自分の子供に避妊去勢手術をしますか?私だったらしません。
だから、うちで迎える子に関してはしません!!」という内容をもっときつくメールで入れていらっしゃいました。
ええ、言われることはごもっとも。
でも、人間は自分でコントロールできるでしょ?
発情した雌犬を前にして、雄犬はとめられるのでしょうか?
まぁ、どちらにしても、その問い合わせのあった子は避妊手術はしてありましたし、意図をご理解いただけない方はお断りする方向でしたのでいいのですが。。。
そして、なぜまたこのことを改めて書こうと思ったのか・・・
つい最近のお話です。
あるお宅で20匹のわんことお年寄りが暮らしていました。
そのお年寄りが病院に入ることになり。。。20匹を「処分してくれ」と持ち込んだそうです。
人になれていない、威嚇する子などは譲渡対象にはなりません。
保健所も処分などしたくないのです。でも、それが仕事であり・・・
14匹はすでに処分されたと聞きました。
6匹は職員の方々が判断し、新しい飼い主さんに飼われるようにしばらく募集するそうです。
処分する保健所が悪いのではなくて、処分されるような状況になってしまった飼い主さん、よく考えてください。