ドクターこまちの雑文日記 -3ページ目

包茎手術の闇(フィクションです)

新井直彦(23歳:仮名)はいたって健康であるが体のことで悩みがある


包茎では無いかと心配で彼女と深い関係になることをためらっていたのである


YouTubeを見ていて包茎専門クリニック「スーパークリニック」の紹介動画を目にして、行ってみる覚悟を決めたのである


決めた理由に健康保険が使えるかもしれないということと男性スタッフだけだということで恥ずかしさが少しはマシになると思ったからである


恥ずかしけど、我慢してLINE登録をしてカウンセリングの予約をしてみた


指定の時間に行ってみると雑居ビルの中に殺風景なクリニックがあった


ドアに「スーパークリニック」とだけ書かれている


受付で診察の申し込み書に記入をしていると勤務先と年収を書く欄があったので受付に座っていた男性に声をかけて聞いてみると


「必要な項目ですので書いてください」と事務的に言われた


不審に思いながらも記入して待合室で座って待っていた


男性週刊誌が乱雑に置かれた部屋で待っていると、程なくして先ほど申し込み書を記入するように指示した受付の男があらわれて診察室に案内された


「カウンセラーの藤田です」と愛想よく挨拶をしてきた


診察室では下の衣類を全て取って下半身を露出し、診察台に寝て待つように言われたので指示通りにした


バスタオル一枚で下半身を覆って寝ていると恥ずかしさが戻ってきた


医師と思われる中年男性が入ってきて、「担当医の窪田です、よろしくお願いします」と挨拶をしてきたので


「新井です、よろしくお願いします」と挨拶を返した


バスタオルを捲られて局部を触られている時間が妙に長く感じられた


担当医の窪田は、「これは難しい手術になりますね、新井さんはカントン包茎ですので通常の手術では再発します、再発防止に亀頭増大術が必要ですから長持ちするヒアルロン酸を4本入れないといけません。手術も傷が目立たない特殊なデザインのスーパー亀頭直下デザインで、術後の傷跡が目立たないスーパー縫合糸を使います」との説明を受けて重症だったんだと驚いて動揺していると


もう一人の医師と思われる男が入ってきた


直彦の局部をチラッと見て、「窪田先生、いつも君の注入は少ないね。コラーゲン4本では少ないから再発する、6本にしなさい。」


「はい、かしこまりました、院長」と担当医の窪田は恐縮して返事をしていた


二人の医師が出て行くと先ほど藤田と名乗ったカウンセラーが手術の同意書と治療費の説明をしだした


「スーパーデザインが15万円、包茎手術の亀頭直下法が75万円、スーパー縫合糸が1本2万円で4本使いますから8万円、ヒアルロン酸が1本10万円ですから60万円で合計が158万円です。モニターになれば15%オフの134万3千円です。本日、手術をすればヒアルロン酸の料金が1本6万円になりますので113万9千円ですみます。お得でしょ!」と早口でテレビの通販番組みたいに甲高い声で話しだした。


下半身が裸であることも忘れて、「エッエッ!今日は話だけ聞くつもりで来たんですけど。」と断ろうとすると、カウンセラーの藤田は「こんなにお得なチャンスを逃すのですか?本日は院長の手術予約がキャンセルになったので、特別に院長の指名料無しで院長が執刀されるんですよ。包茎手術を10年間で1万5千例もなさっているスーパードクターなんですよ。あなたの収入だったら医療ローンを組めば簡単です、この同意書と医療ローンの申し込み書にサインをすれば、明るい未来が待っていますよ。」と畳み掛けるように話をされて、早く終わらせて逃げ帰りたい気持ちもあり、ついつい承諾してサインをしてしまいました


再び院長と窪田医師が登場して、手術が始まりました


局所麻酔は激痛でしたが、麻酔が効くと痛みなくなり気分が落ち着き、無事に手術が終わりました


医療ローンと同意書を手渡され、カウンセラーの藤田から「うちは通院不要ですから、来なくてもいいよ、溶ける糸だから抜糸も要らないし。」手術前と違い、ぞんざいな口調でクリニックから送り出されました。


「ずいぶん予定より高かったな。」と不安になったのですが、「一生がかかっているから仕方ないか。」と諦めて帰りましたが、これから始まる地獄の生活が待っているとは思いもしませんでした・・・


(続く)