安保関連法について。
1つめ。
時の政権の解釈によって憲法規範の意味が変わる解釈改憲は、「人の支配」である。
司法国家の下、憲法を「権力を制限する規範」と考えるかぎり、政治部門・行政部および立法部による憲法規範の変更は、限界がある。
たといそれが解釈によるものであるとしても。
制限規範としての憲法とは、つまり、そういうものだからである。
限界をこえる憲法の解釈変更およびそれにもとづく立法は、立憲主義にもとる。
2つめ。
国会周辺のデモ参加者が、彼らのデモこそ民主主義だと叫んでいたことについて。
デモなどにより主権者たる国民が政治的意見を表明することは、政治活動の自由にふくまれる。
ところで、憲法が採用する議会政の下では、有権者がその意思を直接、政治に反映させることができる権利や機会はかぎられる。
代表者をつうじて政治的意思決定をするのが議会政(間接民主政)である。
とりわけ、日本の代表政の意味を自由委任や政治学的または社会学的代表としてとらえるならば、だ。
デモは、政治的意思決定のプロセスに直接コミットするものではない。また、憲法上認められた政治的意思を直接政治的意思決定に反映させる場面でもない。
したがって、彼らのデモは、政治活動の自由として保障されるとしても、彼らが表明していた「自分たちの活動や見解こそ民主主義である」という趣旨の考えには左袒しかねる。
これらは、一見矛盾するようにひびくかもしれない。
しかし、まっとうな政治学をまなんだ者の大方の賛同を得られる意見だと自負する。