実務ネタは疑義を招くことがあったので、しばらく避けていたのですが、思うことがあり、久しぶりに書きます。

自営を開始した当初、客先の要請等から、同業者や、シニアアドバイサーのようにそれに準ずる方と「連携」を行ったことが幾度かありました。
具体的なことについては御容赦いただきたいのですが、たとえば、自分の方は事務管理のみを行う、シニアアドバイザーが小規模企業の知財部役をし、その指示に基づいて出願書類を作成する、と言ったようなところです。
事務管理のみであれば実体的内容に関与できませんし、間にアドバイザーが入ったケースでも自分単独の場合に比べて相当に裁量の余地は狭まります。
また、こちらに入る収入も微々たるものです。

それでも、当初は少しでも仕事を取らざるを得ませんでしたし、それ以上に、恐らくは優秀であろう「連携」者の仕事におけるノウハウを吸収するチャンスと考えたためです。

その当時に出願をした案件に、昨年秋頃からアクション(拒絶理由通知等)が出始め、再び彼らと「連携」をすることがありました。
しかし、恐縮ながら彼らの仕事ぶりに疑念を生じ得ないことが少なからずありました。

まず思ったのが、ご自身の能力に相当に自信をお持ちなのか、自身の意見を強く押しがちな傾向が観られます。
そりゃ、客先より代理人等の方が知識・経験は当然あるでしょうから、基本的には間違えたことは言っていないのでしょう。
しかし、拒絶理由を解消させる方法は一つと言うことは少なく、色々なことが考えられると思います。たとえば、客先が広く権利を取りたいと考えており、あまり減縮となる補正をしたくないと言う場合、もちろん私見を述べるのは構わないとしても、その意図はなるべく汲み取ってあげるべきだと思います。
そこを、「その程度の補正では権利化は難しいと思います。」と無下に突っぱね、対案すら示さないと言うのでは、客先も良い気持ちはしないでしょう。

それに派生して、強い言い方も、客先が理不尽な物言いをしているのでなければ避けるべきだと思います。拒○査○不○審判請求後に、いきなり○絶審決は無いであろうと考えている客先担当者に、単にそういうことがある旨を直言的に指摘するだけでは、担当者だって人間ですからムッと来るでしょう。
もちろん、理屈からすれば、そういうことはあるでしょう。ただし、それは、どのくらいのケースで有り得るのか、該当案件ではどうなのか、仮に該当案件でそうなると懸念しているのであれば、どうすべきであるのか、と言ったフォローぐらいは、サービス業なのですから必要だと思います。

次に、提出書面を観ると、確かに問題は無いとは思いますが、たとえば、「補正の根拠」のように不備さえなければよいような箇所を長々と記載している一方で、肝心な技術上の差異が紋切り型な記載に止まっている感があるとか、メインクレームで勝負したいと考えてる割にサブクレームの技術効果を必要以上に主張していたり、少なくとも、自分ならば、そういうことはしないと思うことが、ままあります。

案の定、そういうケースは、1回目の拒絶理由通知で、ある程度の補正をしているのに、いきなり拒絶査定が来たりしており、自分がやっていたら、そういう結果にはしていなかっただろうなあと感じたりします。

さらに、これが一番ハラハラさせられるのですが、レスポンスが遅すぎる感があります。
自分であれば、アクションが出れば、原則として、自分なりに考えられ得る対応策についてコメントを作成した上で、それとともに(アクション内容を)客先に送るようにしています。
それを、期限ギリギリまでほったらかしにしておき、場合によっては、客先からこういう策はどうかと言った問い合わせまで受けているのに、1か月以上も放置しているとなれば、自分が客なら、どんなに腕の良い代理人であったとしても、他の方を検討するようになるでしょう。
ましてや、ご自身がそうやって期限ギリギリとなった案件に、今回は期限がタイトだったから、もっと取り分を多くしろと、こちらの雀の涙程度の収入まで奪い取ろうとするなど言語道断です。

もっとも、我々の業務の場合、客先も仕事としてやっているにすぎず、レスポンスが遅くても期限徒過さえしなければ鷹揚に構えてくれているケースも少なくはありません。
しかし、客商売以前に、催促があるまで返答をしないと言うのは、人として如何なものかと思います。

そうやって観ると、我々の業界は、人間としての最低限のマナーを守るだけでも、付加価値となる可能性があり、皮肉にも、まだチャンスの芽は多いように思えて来ます。