ストレスが溜まったときにはスポーツをするとよいとは、よく言われます。確かにストレスのレベルが軽い場合には有効だとは思います。


 しかし、自分の経験からして、本当にストレスが溜まったときには、それによって事態が悪化することはあっても改善することは全くないように感じます。

 一般的には、仕事が終わった後にスポーツクラブ等によって軽く汗を流すということになるのでしょうが、ストレス状態のときは、以下のような理由から、そんな気になれないと思います。


 まず、いくら定時に仕事が終わったとしても、通勤時間や睡眠時間、食事、風呂といった時間を除くと、体を休められる時間はせいぜい3時間程度でしょう。

 そこにスポーツをすれば、2時間ぐらいは取られるでしょうから、休める時間が大幅に減るというのは、物凄い不安になると思います。


 次に、そのストレスが仕事に起因している場合、仕事では曲りなりにも給料はもらえるし、相対的な社内関係はともかくとしても、世間一般からみたら、仕事に関係することは自分にとって得意と言え得る分野であることは事実と思われます。

 つまり、自分にとって自己実現が図り得る場ですら行き詰っているからストレスになっているのに、増してや自分にとって何のアドバンテージも関心もないスポーツをやっても余計に苦痛になるだけのように感じます。

 言い方を換えると、スポーツが得意な人ならともかく、そうでないのならば、例え簡単なスポーツでも、しばらくは全くついていけないでしょうから、そのことによって余計に落ち込んでしまうと思います。


 さらに、例えその場では一時的にストレスが軽くなっても、また翌日には各活動におけるもっとも長い時間を、職場という苦痛極まりない環境で過ごさなければならないわけです。

 はっきり言って、これだけ苦痛な環境など、一日のうち一瞬だけてもイヤで仕方ないでしょうに、その環境に長きにわたって身を置くわけです。心情的には殺されに行っているようなものでしょう。

 その状況がある限り、一時的な解消策など焼石に水だと思います。


 しかも、そういう状態のときには最悪の事態を考えて、できる限り所持金をセーブしたくなる傾向があります。そうすると、1回のスポーツで費やす数千円単位の金銭の出費に不安感を伴うでしょう。


 あくまで主観的な考えですが、本当にストレスが溜まったら、その直接原因となっている対象を取り除く、つまり仕事だったらその職場を辞めるか、偶然によって事態が変わるまで怯えながら耐え続けるかのどちらかしかないように思います。

 そして、幸いにも偶然によって事態が改善して来たならば、スポーツなどを始めるのも有効だと思います。また、そのときに、二度と以前のような状態にならないように防御策を講じることも重要だと思います。


 実は、自分もそういう経験がありました。例えば、弁○士試験に受かる少し前から、自営開始直前まで勤務していた職場では、本当に苦しめられました。

 試験合格により多少(本当に多少でしたが)気を使ってもらえるようになったこと、皮肉にも離職者が多かったため苦しんでいるのは自分だけではないと励みになったこと、イヤなヤツの一人であった年配者が(そのこと自体は不幸であったと思うが)急死したこと、など偶然が重なり事態がいくらかマシになり、その後はヨガのような緩いスポーツを始めて状態を改善させて行きましたが・・。

 とはいえ、一度そういう目にあった職場に対しては強い不信感を持ちますし、雰囲気そのものは社会事情も相まってむしろ悪い方向に行ってましたから、また苦しめられるかも知れないという不安感は常にあり、いずれ辞めたいとは思ってましたけど。


 なお、もっと酷い状態だと、それも効かない場合もありそうですが、休日(平日は疲れるのでダメ)に図書館や本屋で長時間過ごすと少し落ち着くという効果があったように思います。