それでは、小規模事業者等の方のみでは限界を感じるということの理由ですが、まず前提として、この様な方々の関わることについては、楽しく感じております。

 勤務して、このような仕事をしていれば、まず関わることが無かったであろう方々ですので、これまで、あまり認識をすることの無かった他業界の話を聞け、ビジネス云々と言うことを抜きにして貴重な機会であり、ありがたいと思っています。


 しかし、食べて行くことを考えた場合、この規模ですと、そりゃどこぞの業界最安値などと掲げているような方みたいなことはしませんが、本来なら、もっと費用がかかるところであっても、抑えられるところは多少抑えてあげたりということを、せざるを得ない場合も少なくありません。

 しかも、知財に関する知識が乏しいので、できる限り1から10まで説明せざるを得ません。

 そうすると、出願に、ある程度、慣れている依頼者と比べると、手間はかかる上に、身入りは少なくせざるを得ないということは想像に難くないと思います。


 また、出願前に、出願時にどのくらいかかり、登録時にどのくらいかかり、中間処理という業務で、どのくらいかかり、ということは事前に話すのですが、(特に商標関係の依頼者にありがちなのですが)いざ出願時以外に費用を請求するとなると、「え?!そんなのかかるんだっけ」と驚かれることもあります。特に、中間処理で費用がかかることには、説明を要する場合も少なくありません。

 つまり、1件の、しかも出願時にかかる費用のみで抵抗感を示している状態なのでリピートも期待しくいですし(もちろん規模的にすぐには別件はでにくいという事情もありますが)、ましてや外国出願など期待できません。また、関わっておられる方も特許だ商標だということに無縁な場合が多いでしょうから、つながっていくということも期待できない感があります。

 要は相乗効果が得にくいのです。


 それと、苦言っぽくて恐縮なのですが、こちらの説明に頼って、書面を見ない方が多いので、こちらの仕事に価値を見出せず、それでいて(実質はともかく)社会通念的に見れば高いと言える費用がかかるので、仕事をくれてやった、高いカネを払ってやったという感覚を持っている雰囲気があり、表面的にはともかく、たとえば、年賀状を出しても大半が返事すら来ない等、実質的には、あまり感謝されていない、というか業者レベルに見られているように感じます。


 その他にも、色々あるのですが、長くなるので、今回はこの辺にしておきましょう。


 一応まとめますと、手間の割に身入りが少ないし、相乗効果が期待できない、しかも、その様な中で良い結果を出してあげたのだから、敬意を示して欲しいところなのに、価値がわからないので費用だけで判断されて、むしろ低く見られやすいといったところでしょうか。