新しい小猫の屈託の無いフレンドリーな性格が思わぬ展開へ発展してしまった。


一昨日、黒猫オスと新しい猫の距離感が徐々に縮まり、想定通り早く受け入れられそうな展開だったのだが・・・

そして、黒オスと新黒が鼻チュンまで漕ぎ着けた所までは良かったのだが、そこで新黒のフレンドリーが炸裂して黒オスに自分から近付くようになった。

しかし、黒オスの後ろでビビリの灰猫が恐る恐る様子を伺っていたのが不幸の始まり。
無邪気に黒オスに向かって行く新黒、それを後ろで見ていた灰猫が自分に向かってきたと勘違いして、生まれて始めてのシャーを言ってしまった。

自分の直ぐ後ろでシャーと言われた黒オスは、自分に言われたと勘違いして、黒オスも反射的に生まれて始めてのシャーを言ってしまった。

灰猫はいつも仲良しだった黒オスにシャーと言われた事がショックで、脱兎の如く逃げ出した。
黒オスは「しまった!」と思ったのか、灰猫に取り繕おうと追いかけて舐めようとするのだが、ビビリの灰猫はそれを攻撃と勘違いして、本気モードでシャーを言ってしまった。

最初は何とか舐め舐めして仲直りしようと試みていた黒オスも、シャー返しをするようになってしまい、黒オスはストーカー状態と化した後、黒オスは三階、灰猫はや一階と屋上別れての家庭内別居状態に陥ってしまった。

灰猫は天岩戸作戦で引篭もって出て来なくなるし、黒オスは三階で失恋で落ち込む青年のように元気なく寂しそうにうなだれていた。

こうなれば、私が仲を取り持つしかない。

そこで、先ずは黒猫に餌を持って行き撫でまくり、その後に灰猫に餌を持って行き撫でまくる。
そして、灰猫を撫でた後には再び黒猫を撫でる。
これを時間を空けつつ何度も繰り返していた。

また、黒オスを私の部屋に入れ、新黒は娘の部屋で娘に世話をさせ、その間にケージを購入して新黒の隔離スペースを確保。

これは、あまりにフレンドリーな新黒を、在住猫達に不用意に近寄らせない為に必要と判断しての購入だ。

購入後は、新黒をケージの中に入れて、まずは新黒をケージに慣らす。
最初は「出して~」アピールが凄かったが、それを心を鬼にして無視。

ケージの置き場にも工夫を施す。
新黒は、猫の水虫と言われる真菌症の発症歴を持っているので、なるべくエアコンの部屋でとのお話しが合ったので、私の部屋の前の廊下を断熱カーテンで仕切り、私の怪我で無くなったガラス部分に貼ってあるビニールを少しめくり、私の部屋の空気が流れ込むようにした。

こうする事で、ドアを閉めてもエアコンの空気が入り、隔離も開放も出来る。
在住猫は隣の部屋から新黒に遭遇せずに私の部屋にこれるし、新猫の前を通っても来る事が出来る。

私の部屋は、黒オスにも灰猫にも安住の場所になっているので、新黒が仲良くなるまで極力入れたくは無い。
別猫の臭いが付けば、安住ではなくなるからだ。

新黒がケージで大人しくなって2時間してから新黒を娘の部屋に入れて、再び娘に世話をさせる。
娘が仕事に行っている時と睡眠中はケージに入れ、それ以外の時間は娘に面倒を見させている。

人間との時間も多くしてやらないと、せっかくのフレンドリーな性格を潰しかねない。

昨日の夜から私は黒オスに付きっ切り。
他の猫との接触を一切断ち、灰猫は姉に任せ新黒は娘に任せていた。

これは黒オスに私が一番気にかけているのはお前だと認識させる為と、私が動けば黒オスは私に付いて来てしまう。
私が灰猫の所に行けば、灰猫と遭遇してシャー合戦に発展しかねないし、こんな状態で新黒と遭遇させれば新黒にシャーと言ってしまうかもしれない。

まずは、三匹を遭遇させずに落ち着かせる事だ。

昨日はそんなこんなでおおわらわ。


そして今朝、私がトイレに行くと灰猫を見かけた。
昨日、日が落ちてからは姉しか灰猫の元には行かせていない。

天岩戸から出すには自分で出て来る様に仕向けるのが一番だ。

一晩屋上で過ごした灰猫は、寂しくてたまらない。
だから、様子見で下りて来たのだろう。

これはチャンス。

そこで、屋上菜園の水撒きに屋上へ上がる。
すると黒オスも付いて来た。

私が水撒きしていると、黒猫は昨日の事を反省したかのように灰猫から距離を取ってイジケポーズを取っていた。

私は灰猫にはいつも通り気軽に話しかけていると、灰猫に変化が・・・

自分から黒オスに近付き黒オスをナメナメ。
黒オスも灰猫にナメナメ返し。

そしていつもの二匹に戻った。

ヨッシャ! 仲直り作戦成功!


実は、黒猫と灰猫に餌とナデナデを交互に繰り返したのは、系統的脱感作法の応用だ。
相手の臭いを付けた手でナデナデしたりご飯を与える事で、相手の臭いが心地よい物としての関連付けを行なった訳だ。

新黒と在住猫達を仲良くさせるには、まず在住猫を仲直りさせなければ進まない。
かと言って新黒を放って置く訳にも行かないので、家族の連係プレーで何とか切り抜けた感じだ。

娘は灰猫と黒オスを擬人化して、何所かウハウハしていた。
シャーと言われた灰猫が「若い娘に鼻の下を伸ばして私にシャーと言うなんて許せない」と走り出し、「そんなつもりじゃなかったんだ」と追う黒オス。
そして「何よ、このストーカー」と言って追い払おうとする灰猫、「そんなんじゃないんだ」と言い訳する黒オス。

そして「絶対許さないんだから」と引篭もる灰猫、「なんで許してくれないんだよ~」と落ち込む黒オス。

まるで昼ドラみたいと言っていた。

なんともお気楽な娘だ。

しかし、この件で新黒の面倒を見ざるを得なくなった娘には、かなり良い経験になったように思う。

娘は不幸の先取りをする傾向があり、何かと理由を付けて動物の面倒を任されるのを拒んできた。

それは、責任感が強すぎて、もし何かあったらどうしようとの不安が先に立つ事と、動物が自分に懐いてくれなかったら心が傷付くので、最初から自分で拒絶して自分の心を守ろうとする傾向を持っている。

これは、母親に対する見捨てられ不安から来ていると分析している。

今回の新黒も、最初は拒もうとしていたのだが、状況から娘しか適役がいない事を理由に無理やり納得させたのだが、新黒は超フレンドリーなので、娘にペッタリとくっ付いて甘え出し、娘もまんざらではなくなる。

昨日は拒否したがっていた娘が、今日仕事に行く時には「帰ったら私の部屋ね」と言って楽しそうに出て行った。

娘にも変化が・・・


新黒は白のエンジェルマークが一つも無い漆黒の黒猫。
これはカラス猫とも呼ばれ福猫とされている。

このドタバタは新黒がもたらした福かもしれない。