先日、従兄妹の息子が離婚した話を聞いたのだが・・・

お互いが素朴で仲むつまじかった二人だっただけに驚いた。
しかし、理由を聞くとすれ違いの原因がなんとなく分かる。

二人は去年だったか一昨年だったか、瀬戸内海の島に夢を持って移住。
夢とは、瀬戸内海の島で仕事を見付けて働き、お金を貯めてその島で二人で喫茶店を始める事。

私の娘より年下だった従兄妹の息子の行動力に驚かされた。

その従兄妹が移住して一年足らずで離婚するとは、一体何があったのだろう?

理由を聞くと、奥さんが移住先に馴染めず、色々と溜め込んでしまったと言うのだが・・・

まず、ご近所さんに言われた事が、昼は窓を開け庭には何か植えなさい。
旦那は長距離トラックの運転手の仕事に就いた。

情報はこれだけだが、これだけである程度は分かる。

奥さんの口にする理由などは、参考程度にしかならない。
問題は本質だ。

本質で考えると色々な事が見えて来る。
基本的に本質とは敵か味方かに起因する。

夢を抱いて移住するのは良いが、移住先では必ずよそ者になる事を忘れてはならない。
なので、夢や希望に隠れて意識としては表面化しないが、本能の部分では周囲に対する警戒心からストレス状態に入る。

移住先の住人も、何所の誰かも分からないよそ者に対する警戒心が生まれる。
昼は窓を開けてと言う言葉には、空気を入れ替えたほうが良いとか、窓を開けていれば涼しいとかの表面的な理由の裏に、締め切っていたら何をしてるか分からないからオープンにしろと言う、本能的な警戒心から来る意識が働いていたのだろう。

そして、庭に何か植えた方が良いと言うのは、色々な意味でのアドバイスだった様に思う。
庭ににか植えろと言うのは、意識的には生活のアドバイス的な意味だと思うが、本能的には姿を見せろと言う事だろう。

それらは、裏を返せば住人側の受け入れ姿勢の表示でもある。

よそ者を仲間として受け入れるには、先ず相手を知らなくてはならない。
その為には、だからこそのオープン、そしてコミュニケーションできる環境として外に出る事、それ故の庭なのだろう。

しかし、都会育ちの二人にはそんな意識は無い。

それ故、そうした田舎の人間関係が煩わしく思えて、ストレスになる。
加えて旦那は長距離運転手で家に居ない。

奥さんとしては本能的には敵地に取り残された心境になった事だろう。
しかし、本能的な部分は意識化されることは無く、言い知れぬ不安に苛まれ、その不安に理屈を付けた物が奥さんの言い分になる。

その言い分を真に受けて対処しても始まらない。

恐らくだが、もしご近所さんの話を、旦那が一緒に実践していたら、結果は違った物になっていたように思う。
不安の原因は本能の部分で、敵認定し、敵認定されていた事による孤立。
それを一人でやる事は、敵中に一人で切り込んでいくような物。
しかし、旦那が一緒ならかなり心強く思えるだろう。

そうしてコミュニケーションを重ねる事で、敵認定が溶けて行く。
敵認定が解ければ、少なくとも敵中孤立の孤独感は無くなりストレスは軽減されただろう。


奥さんが依存傾向が有った事も、ストレスに拍車を掛けているように思う。
仲むつまじさの裏には、奥さんの旦那に対する依存傾向が見え隠れしていた。

依存していた旦那が、仕事で夜戻らなければ寂しさに包まれる事だろう。
しかも、知らない土地で一人取り残されれば、その寂しさは計り知れない物となったように思う。