結婚式が終わり、俺と千葉くんは新郎の控室を訪ねました。
Ｋ「先輩、改めて御結婚おめでとうございます！あと、彼女さんのオメデタも！」
千葉「おめでとうございます！！」
先輩「ありがとう！」
Ｋ「てか、赤ちゃんのこと驚きました～」
千葉「ごめん僕知ってた」
Ｋ「そうなの！？じゃあ二宮さんやＪくんも？」
先輩「うん（笑）」
Ｋ「え、なんすかこの東京勢との情報格差！これが『地方の壁』ってやつですか」
先輩「いや二宮がＫくん驚かせようって（笑）まあ、余興も盛り上がったしね」
千葉「めちゃめちゃ楽しかったです！」
先輩「次は千葉くんだね？」
Ｋ「千葉っちの式でもJUMPやろうよ？」
千葉「え・・・いいの？」
Ｋ・先輩「もちろん！」
千葉「ヤッター！！」
Ｋ「何の曲がいいかなー。ウエディングソング的なやつがいいよね・・・あ！あれ、『Candle』どう？」
千葉「Candle・・・うん？」
Ｋ「Candle」
千葉「失恋ソングじゃん！山ちゃんの激重失恋ソングじゃん！！」
Ｋ「冗談だよう（笑）しかし、すぐ気づくとはおぬしもすっかりJUMP担だの～」
千葉「いやＫくんのせいでしょ？」
先輩「ふふ（笑）ふたり仲いいね。なんか今日はほんと幸せな日だな～。あとはＫくんが幸せになってくれればね」
Ｋ「あ、『恋をするんだ』のとき余計な仕込みしましたよね・・・」
先輩「あのあと花ちゃんと話した？」
Ｋ「いや話してないですけど」
先輩「なんでだよ」
Ｋ「・・・だって、俺2回もフラれてるんですよ」
先輩「2回目は引っ越しの時に手紙渡しただけでしょ」
Ｋ「でも3ヵ月も返事ないし」
千葉「ちょっと待ってＫくん・・・手紙だったの？この時代に」
Ｋ「なんだよ？手紙悪いかよ。平安の時代から恋文ってのは」
千葉「いま令和だよ！平安でも平成でもないんだよ！？あと、花ちゃんは直接言葉で伝えてほしい派だと思うんだ」
Ｋ「出た、元カレ発言。誰かさんは何年も言葉にせず待たせたもんな」
千葉「あれは悪かったと思ってるよ。でも今は僕じゃなくて、Ｋくんの問題でしょ」
先輩「千葉くんの言う通りだよ。僕は何度も彼女にフラれてるけど、何度も好きだって伝え続けた。セトリ変えたのも、Ｋくんのきっかけになればと思ったんだよ」
千葉「このあと2次会で会えるし、そのとき話してよ。僕は話してほしいと思ってる」
Ｋ「でも・・・」
そんな会話をしてたとき、控室に二宮さんが入ってきました。
二宮「あ、王子くんここにいた。なんか花ちゃん帰っちゃったらしいよ。2次会もキャンセルだって」
Ｋ「え・・・」
千葉「いつ帰ったんですか」
二宮「さっき。あのあとなんか言った？」
Ｋ「いえ俺は何も」
二宮「そっかーやっぱあのラブソングは重すぎたかー。気まずくなっちゃったかな」
Ｋ「そんな」
二宮「確実に引いたな。ま、これでハッキリしたしよかったじゃん」
千葉「いやそんなのダメですよ！Ｋくん！追っかけるべきだと思うんだ」
Ｋ「・・・いい」
二宮「て、追いかけないのかよ。静岡と東京じゃもう会うことないかもしれないよ」
Ｋ「帰っちゃたのはそういうことだし・・・また日を改めてというか・・・」
先輩「ばかなの」
Ｋ「え」
先輩「もう一度言うけど、ばかなの」
Ｋ「・・・」
先輩「Ｋくんに心の傷があるのは知ってる。でも、今、こんなに友達いるじゃん。人間関係も、お父さんのことも、就活も、仕事のことも、いろいろあったけど、最終的にちゃんと向き合ってきたじゃん。それは一番近くで僕が見てきた。Ｋくんはすごく成長したと思う。あとは恋愛のことだけなのになと思ってた。そして初めて好きな人ができた。なのに。今でも好きなんでしょ。なんで。ここで逃げる？」
Ｋ「逃げる・・・」
先輩「親友として言うね」
Ｋ「はい」
先輩「Ｋくんばかなの！今すぐ走れ！！」
夢中で走った
スーツのまま、全力で走った
式場を出て、左に向かい
なぜか頭の中でカモナが流れていた
先輩があの日、東京ドームへ走ったときのように
交差点を右に曲がったとき
花ちゃんと出くわした
Ｋ「花ちゃん！？」
花「Ｋさん」
Ｋ「帰ったんじゃ」
花「うん、でも引き返してきました。Ｋさんは？」
Ｋ「花ちゃんに話があって」
花「私も伝えなきゃって」
Ｋ「もしかして手紙の返事？」
花「はい・・・遅くなってごめんなさい」
Ｋ「いや、ごめん、俺こそ一方的に手紙渡して」
花「Ｋさん、あの私やっぱり・・・」
Ｋ「いや、ちょっと待って」
そうだ、先輩と千葉くんにも言われた
直接自分の言葉で伝えないと
カモナマイハウス 答えを 聞かせて
いや、その前に
素直な気持ち 伝えるのさ
Ｋ一世一代の告白だ！！
Ｋ「あの、俺からいい？」
花「はい」
Ｋ「あのね・・・」
花「・・・」
Ｋ「俺はね・・・いまも・・・」
Ｊ「あれ、お兄ちゃん花ちゃんどうしたの？」
Ｋ「ええ、Ｊくんなに！？」
Ｊ「コンビニ行ってた。これから二次会の会場先行くの。僕と二宮さんが幹事だからさー」
なんでこんな大事なときに現れるんだ弟よ
Ｊ「そういえば、お兄ちゃんと花ちゃんって付き合うの？」
花「うん」
Ｋ「へ」
Ｊ「わーおめでとー」
Ｋ「え・・・ありがと」
Ｊ「だよね～やっぱこんなハイスペック男子なかなかいないもん。お兄ちゃん、『恋をするんだ』やってよかったじゃん！あ、準備行かなきゃだ」
Ｋ「い、いってらっしゃい」
Ｊ「あ、花ちゃん、兄をよろしく～じゃ」
そう言って、弟は爽やかに去って行きました。
なにこれ
Ｋ一世一代の告白は？
答え、なんでＪくんが聞いてるの
Ｋ「え、なんで・・・」
花「『恋をするんだ』かっこよかったからかな」
Ｋ「そうなの？」
花「・・・本当はドームで告白されたとき、あのときはまさかって思ったけど、あれからＫさんに会うとドキドキして。Ｋさんがいないときも、ここにＫさんがいればって考えるようになって」
Ｋ「・・・俺もだよ」
花「でも静岡行っちゃうし。一度振っちゃってたからなんて返せばいいかわからなくて。Ｋさんの手紙すっごい長文だったし」
Ｋ「長文いうな（笑）」
花「転勤してからずっと連絡なかったので。それは私のせいだけど。もう私のこと好きじゃないのかな、忘れられたかな、とか悩んで。それはやだって気付いたんです。今日の歌聴いて、もしかしたら、でも、いや、まだ間に合うかもって」
Ｋ「・・・うん」
花「てか、便箋4枚は多いですよー（笑）」
Ｋ「確かに長い（笑）じゃあさ、やり直させてほしい。便箋4枚もいらないから。一言で終わるから。いい？」
花「短めにですよー（笑）」
Ｋ「うん。俺は花ちゃんのことが今でも好きだ。付き合ってください」
花「はい！」
最後のセリフに、君が頷いてくれました。
Ｋ「じゃあ、結婚式場行こうか？」
花「え、Ｋさん！？展開早くないですか？」
Ｋ「いやっ、そういう意味じゃなくっ！」
花「びっくりしたー」
Ｋ「ふたりのこと、先輩たちに報告しようよ。きっと喜んでくれるよ」
花「そうですね！」
俺は彼女の手を取って、式場に向かった。
俺たちは遠距離になるけど、きっと乗り越えていける
エンドロールは
悲しい歌じゃなくて
歩きながら彼女が聞いた。
花「あ、JUMPのツアー、静岡でもやるといいですね」
Ｋ「だね」
花「そのときは連れてってください。い～の？」
Ｋ「おっ慧！」