グレードの悪い胚盤胞について | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

グレードの悪い胚盤胞について

グレードが悪い胚盤胞ができた時、これを移植するべきか、凍結するべきか悩むところです。

施設によっては「これ以下のグレードの胚盤胞は治療に用いない」、そういう施設もあります。

また「胚盤胞であれば全て凍結する」、こういう施設もあります。


グレードの悪い胚盤胞を治療に用いる事のデメリットを以下に説明します。


①グレードの悪い胚盤胞は妊娠率が極めて低くなります。

施設によってもグレードの評価の方法が少し異なるため、具体的な妊娠率は異なるかと思いますが、グレードが低い場合は染色体異常率が高いため妊娠率は低いと考えられています。


②妊娠したとしてもかなりの率で流産します。

流産する事の問題点として、流産すると妊娠している間の数週間及び流産後の数週間次の治療を待たなければいけなくなります。

また流産による精神的なダメージも相当なものになります。

そして流産の手術をしなければいけない時にもその負担は精神的にも肉体的にもかなり大きくなります。

また流産手術を繰り返すと子宮内膜が薄くなることもわかっています。


③コストの問題

胚凍結した場合、凍結や融解のコスト、また凍結更新のコスト等かなりの金額になります。


その一方で妊娠率は低いものの妊娠して無事に産まれているケースもあります。

また妊娠率が数%だとしてもそれが高いと考えるご夫婦もいます。その反面数%では低すぎてとても治療をする気が起きないと考えるご夫婦もいます。


そのため一番好ましい方法としては、グレードが悪い胚盤胞ができた時に、主治医の先生からその胚を移植した場合の妊娠率について充分に説明を受け、それを受けて、御夫婦でどのようにしたいかを十分に考えて、主治医の先生と最善の方法を選択する事が大切かと思います。