不育症に関して | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

以下日本産婦人科学会のHPの不育症 に関するものです。


反復・習慣流産、いわゆる「不育症」は、検査方針やリスク因子毎の治療方針が定まっていないことや、流産・死産してしまったというストレスがさらに流産・死産の要因になること、何もリスク因子がなく、たまたま赤ちゃんの染色体異常をくり返しただけの全く健康なカップルが半数くらい存在することなどから、産婦人科医にとって難解な疾患(病気) となっていました。


 これらの問題点に対応するため、平成20 ~ 22 年度に、厚生労働科学研究費補助金(成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業)「不育症治療に関する再評価と新たなる治療法の開発に関する研究」(研究代表者:齋藤 滋:富山大学教授)(以下、「厚生労働科学研究班(齋藤班)」という。) において、不育症のリスク因子や治療法、ヘパリン自己注射等の安全性について、調査研究を行いました。平成23 年3 月に、同研究班では「不育症治療に関する再評価と新たなる治療法の開発に関する研究班を基にした不育症管理に関する提言」を作成し、全国の産婦人科医療機関に配布しました。(研究結果の詳細や提言等について:HP アドレスhttp://fuiku.jp )。
 これにより、不育症の検査方針や治療方針は、ある程度整理されました。引き続き、検査の精度や標準化等について、研究が行われています。


 一方、くり返し流産・死産をしてしまった方に、適切に相談対応をすることで、次回の妊娠が継続して子供が生まれる率( 生児獲得率) が高くなることが、国内外からの報告で明らかになっています(1-1、1-2、1-3)。しかし、不育症であることを誰にも相談できずに1 人で悩んでいる方が多いという問題点も指摘されています。


 流産は全妊娠の10 ~ 20% に起こるとされています(1-4、1-5)。厚生労働科学研究班( 齋藤班) によれば、妊娠歴のある35-79 歳の女性のうち、3 回以上の流産は0.9%、2 回以上の流産は4.2% で、38% が1 回以上の流産を経験していることが明らかになっています。流産や死産を繰り返す苦しみなどの相談に対応するとともに、正確な情報を提供することが必要とされています。


 このマニュアルは、自治体や事業所、医療機関等で相談対応を行う保健師、助産師等を対象に、不育症の相談に適切に対応するための基本的な知識と、考え方を提供することを目的として企画され、厚生労働科学研究班( 齋藤班) の研究班員らにより作成されました。相談対応や問い合わせの際等に、幅広くご活用いただければ幸いです。


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