反復流産の場合PGSか待機療法か | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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反復流産の場合、着床前スクリーニング( PGS )か待機療法かに関する論文が8月号のHum Reprod.出ていましたので紹介します。

 
反復流産の場合、流産をさけるため欧米ではPGSが用いられています。この論文ではPGSを試みた場合と、待機療法とでどちらが優位かを調べています。
 
方法
2009年から2014年までに300名の反復流産の患者を対象としています。
112名の反復流産の患者はPGSを選択し、188名は待機療法を選択しました。
妊娠率、出産率を評価しました。待機療法群は6ヶ月間に渡り妊娠を試みました。
 
結果
IVF では168周期の採卵が行われ、38周期はPGSがキャンセルになりました。
残りの130周期にPGSを行い、74%(n=96)において少なくとも一つ以上の正常の胚が得られています。
この正常の胚を移植したところ72%が妊娠し、57%が出産しています。
PGS群と待機療法群で臨床結果は同じとなりました。
妊娠成立までの中央値はPGS群は6.5ヶ月、待機療法群では3.0ヶ月 となりました。
 
結論
反復流産においてPGSを行った場合と、待機療法との場合で妊娠率、出産率、流産率に差は認められませんでした。
 
この結果から言えること
着床前スクリーニングをしても、待機療法でも臨床結果には変わりがない事が分かります。
 
Hum Reprod (2016) 31 (8): 1668-1674.