早産で生まれた場合、妊娠しにくくなる | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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自分の生まれた週数と不妊との関連が報告されている興味深い論文がありましたので紹介します。

 

最初に出産時期には早産、正期産、過期産があり、正期産とは妊娠37週0日〜妊娠41週6日までの間で出産することです。妊娠22週~37週未満に出産することを早産といい、42週以降に出産することを過期産といいます。

 

この論文では妊孕性(生物が子孫を残すための繁殖力、つまり妊娠する力のことを意味します)が自分が生まれた週数でどのように変化するかを調べています。

 

方法

2007年〜2011年の間デンマークで研究が行われました。参加した方は2814名で、2569名が追跡調査を行えました。女性の年齢は18〜40歳で、自然妊娠を希望している方としました。12ヶ月間追跡調査をこない、その間に6回の回答を求めました。

 

結果

妊娠34週未満で生まれた場合:累積妊娠率は3周期目で12%、6周期目で28%、12周期目で48%。

妊娠37週〜41週で生まれた場合:累積妊娠率は3周期目で47%、6周期目で67%、12周期目で84%。

この2群間では妊孕比は0.38となった。

 

なお妊娠34週から36週で生まれた場合、妊娠42週以上で生まれた場合には妊孕性の低下は認められず、妊孕比は1.03、1.11となった。

 

結論

妊娠34週未満で生まれた場合、妊娠37〜41週ので生まれた場合の比較すると妊孕性が62%低下することがわかりました。

 

A prospective cohort study of a woman's own gestational age and her fecundability 

Hum Reprod (2015) 30 (4): 947-956.