今日も世界は美しい -690ページ目

傘は要らない

昨日。

彼の墓へ向かう、バスの中で。


“不平等なモノトーン”




ドクターペッパー。
ハイライト。

彼が好きだったジュース。
当時、僕がビールで、彼はコレだったなぁ。

コレ、なかなか売っていないのよね。
奴が消えたおかげで、毎年、千葉駅周辺を探し回ることになっています。
面倒臭い思いをさせやがって。
死にやがって。

彼が消えた日。
たまたま吸っていたのが、ハイライトだった。
ただ、それだけの話。

で、届けました。



“不平等なモノトーン”




しっかし、霊魂とやらも忙しいな。
墓地に居たり、仏壇に居たり。
天国に居たり、地獄に居たり。
時には、後ろで護ってくれたり。


なァ、何かがオカシイと思わないかい?


今日は、土砂降りでしたね。
結局、今日の昼頃、墓地を出ました。
一晩、座り込みました。
ビールをたくさん、飲みました。
閉園時間なんて、有って無いようなもの。
飛び越えられない柵が無い限り、そこは僕にとって、入っていい場所。

一年に1回の、命日。
この日は“独り言大会”です。
積もりに積もった一年分の話と、これからの話。


彼の幽霊とやらが在るならば。

彼しか知らない話が、たくさん有ります。
あんな話や、こんな話。
バラされたら、マズい話ばかり。
うひひ。



昨日の記事をアップした際、僕は言いました。



『お前が戦っていたモノに、今度は僕が戦うぜー。
 お前は負けたんだ。
 僕は、勝つ。


 んじゃ、アップするよ』



で、アップした瞬間。
雨が降って来た。



どんな演出だよ、それ。


偶然って、時に素敵。
僕は、ニヤリと笑ってしまった。


そんなこんなで、昼近く。
帰ろう。


だって、ビールが無いからっ。

親友の家族に挨拶する為、彼の自宅へ。
墓地を出た時には、小雨だった雨。
歩き出すと、土砂降りになりました。


傘は、要らない。
このまま、歩こう。


傘は、どうも好きになれません。
…いや、壊したからじゃない。

片手が空いていないのが、どうにも窮屈なんだ。
…いや、壊したからじゃない。

雨ってさ、体中で感じるものだろ。
…いや、壊したからじゃないって。




…はい。


壊 し ま し た 。



だって、すぐに、

開かなかったんだもん。




その結果。
全身、ズブ濡れになりました。
本当に悔やんだわ…
(笑)
いつもそうなんだよなぁ。
壊してから、気がつくんだ。
『“大切なモノ”だった』と。
愚かで、愛すべき存在、ニンゲン。

彼の自宅に到着。
彼のお母さん、元気でした。
良かった。

ネコも元気でした。
彼が死んだ直後に飼い始めた、ネコ。
長生きだなぁ。
10歳かぁ。

しかし“10年”とは、凄い。
昨日、彼が死んだ場所に行った。
今まで、気がつかなかった事に、気がついてしまった。
彼は、
死にたくなかったのかも知れない。

何故、気がつかなかったのだろう?
こんな、簡単なこと。



10年目の今日。


僕が得た教訓。



“雨の日は、傘を差そう”


にしし。

今日も世界は美しい。