七日七夜【7】 | 風の庵

七日七夜【7】

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「土産だ、そなたに」



 そう言ってジルベルトが差し出したのは、真っ白な椿の花だった。受け取らずにそれを不思議そうに見つめるデアノラに、ジルベルトは微笑を浮かべて言った。

「“冷ややかな美しさ”、そなたにぴったりだ」

「何だと?」

 ジルベルトは自然な動作で、眉を顰めたデアノラの髪に白椿を挿した。

「人間の世界には“花言葉”なるものがあるらしい。花に意味を付し、贈る相手に心を伝えるのだ。この白椿の花言葉はそなたに相応しい」

 そう言ってジルベルトは目を細める。しかし、暫し言葉の意味を考えていたデアノラは、スッと半眼になった。

「嫌味か貴様」

「まさか、そなたを讃えているのさ。白椿の別の花言葉は“申し分ない愛らしさ”」

「―――っ」

 途端に目を眇めていた少女の白い頬に朱がさす。その純粋な反応が普段の冷淡さと相俟って可愛らしく、ジルベルトは口元が弛むのを禁じ得ない。



「私の、そなたへの想いだ」



 低めた声で囁くようにそう告げ、滑らかな頬を親指でなぞれば青く美しい瞳が彼を見上げ�