バブソンMBAのベンチャー日記 -2ページ目

意思決定のスピード

経営者になるということ

最近、会社経営ってのは大変だなぁとつくづく思います。社長として、会社の舵取りを行い、成長させ、利益を上げなければいけない。そのためには、従業員を雇用し、鼓舞し、育成しなければいけない。人間、完璧じゃないのだけど、完璧であるかのような能力を求められる。踏んではいけない、地雷も多い。

そこで、ここ1年の間で感じた、会社経営する上での大切なことを、備忘録的にまとめておくことにしたい。

■言っている事と、やっている事は一致させなければいけない。(言動一致の原則)


■社長は、誰よりも高いパフォーマンスを発揮する必要がある。部下の目は厳しい。


■自分以外に、戦略を考えてくれる人がいると期待してはいけない。


■社長であるという肩書き(権威)を楯に、仕事を進めてはいけない。


■自分の時間の使い方=会社のリソース配分=戦略の体現。何に時間を使うかは、熟慮の上決めること。 


■自分の都合で、部下の時間を浪費してはならない。


■自分(社長)に対する牽制機能をどのように効かせるか、その仕組みを整備しておく必要あり。


■部下の育成は、言って聞かせることに効果なし。やって見せなければ、育たない。


■自由闊達に議論できる雰囲気(空気)作りは決定的に重要。社長にもの言える環境は、社長が作らなければいけない。オープン・ドア・ポリシー。


■悪い報告は、上がってこないと考えておいたほうが良い。


■部下の能力(実行力)の見極めも重要。どこまで任せられるか。本当に成果につなげられるか。出来ないことを、無理にやらせてはいけない。見切りは必要。


■辛い仕事、嫌な仕事、リスクのある仕事ほど、部下に押し付けてはいけない。


■経営チームをつくりまとめるのが社長の仕事。良い経営チームを組成できなければ、会社は伸びない。


■創業期の会社は、株主を慎重に選ぶべき。現金確保のため、むやみに株主を増やすのは危険。


■候補人材が自社にフィットするかは、採ってみなければ分からない。採用後のplan Bを持つことが望ましい。


■現実を正しく直視する(できる)ことが大切。将来については、楽観的にではなく、悲観的なシナリオを想定しておくべき。


■組織を変えるのには、時間がかかる。社長だからといって、思い通りにいくことは、ほとんどない。


■社員が辞めたら、自分に責任があると考えるべき。人間的魅力がないと、人はついてこない。


■自信と謙虚さを併せ持たなければならない。一瞬たりとも、傲慢になってはいけない。


■噂は瞬く間に、社内に広がる。自分の中に留めておかない限り、秘密にしておきたいことを秘密にできていると思うべからず。

私、社長ではなくなりました

ワイキューブの社長であった安田さんの新著。

知らなかったんだけど、リーマンショックの煽りをもろにうけ、ワイキューブは倒産(民事再生)してたんだね。ワイキューブは一時、売上30億円強まで成長し、採用支援系企業としてはかなり勢いがあり、社長もまっとうな経営者っていうイメージもあったんだが、この本は、その内情を率直に暴露していて、面白い。

安田さんは、かなりぶっとんだ社長で、社内に社員専用バーつくったり、アルバイトに営業電話させたり、社員の給与を極端に上げたりなどといろいろな破天荒な施策を打ってきた。

その中で、DM打ったり、挑戦的なタクシー広告や、会社のイメージを上げるためのブランディング施策などはあたったわけだ。一方で、銀行から借りた資金で、社員の平均給与を700万くらいまでにあげたり、2年目にはグリーン車のせたりなど、愚の骨頂とも思える施策もある。

そんな風に、他社(他者)がやらないことをやってきたから、創業ベンチャーとして成長してこれたんだろうけど、まともな会社へトランスフォームするための経営スキルは全くなかったんだろうね。

どんな社長も人間だから、完璧じゃない。

一時は時代の寵児的にもてはやされるベンチャー経営者も、会社つぶしてしまえば、落伍者の烙印を押される。

いま、私も社長のすぐそばで仕事をしているけど、経営判断には答えがないものばかり。社長の判断に対して、正しいと思わないものも当然あるわけだけど、それが経営。いやなことも、たくさんある。

私、社長ではなくなりました。 ― ワイキューブとの7435日/安田 佳生(やすだ よしお)

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