江國 香織
神様のボート

内容(「BOOK」データベースより)
“私の宝物は三つ。ピアノ。あのひと。そしてあなたよ草子”。
必ず戻るといって消えたパパを待ってママとあたしは引越しを繰り返す。
“私はあのひとのいない場所にはなじむわけにいかないの”“神様のボートにのってしまったから”
—恋愛の静かな狂気に囚われた母葉子と、その傍らで成長していく娘草子の遙かな旅の物語。


海にでるつもりじゃなかった
(アーサー・ランサムの小説のタイトル だそうです)

小さな、しずかな物語ですが、これは狂気の物語です。
そして、いままでに私の書いたもののうち、いちばん危険な小説だと思っています。

と、あとがきで江國さんは語っています。

なるほどって思いました。
そう。出会ったときはあんなに すきドキドキ になるなんて気付かないもの。
一途に思い続けることはいつか狂気に変わってしまうということも。

主人公 葉子は狂っていたかもしれないけど、それを感じさせなかった。あの人を思い続けられたのも、娘 草子がいたからだと思う。

草子はよくできた、思いやりのあるとてもいい子。葉子のことをほんとうによく考えてたと思う。子供ってママに嫌われないように、ママの悲しい顔がみたくないから、っていろんなことをやってくれたり、我慢したりします。
(マリーんとこのチビちゃんもそうであるように ねっキラキラ
そーゆう、母と娘の絆が強く描かれています。

そして、この本には素敵な言葉や言い回しがたくさんでてきます
たとえば
 
 骨ごと溶けるような恋 宝石赤 とか
 
 倒れそうに甘くて病みつきになる味 宝石紫 とか

そそられるでしょ?
けど、もう味わってるかもしれないんですよ。ただ気がつかなかっただけで。こうゆう表現ができるから江國さんの小説っていいなぁって思います。

箱のなか」っていう表現も、マリーすきだなぁ
(ま~読んでみてくださいよ)

はじめにも書いたように、この作品は静かな物語です。ながれるような日常と、葉子と草子[子供のような大人と大人のような子供]のお話しです。
待つ」ってことは寂しいし、不安になるけど、「必ず会える」って信じて待つことは楽しいことだと思う。

 
★★★★☆

この作品をオススメしてくれたマキちゃん、ありがとう。こんなに人のことを想えたら幸せだねぇ~ って今は幸せ真っ只中ですねラブラブ