今回は,わたしには縁が遠い便秘の話.
ダイエッターや女性にとっては天敵でもある便秘ですが,
便秘には食物繊維...というのは当たり前のように言われていますよね.
でも,待ってください...
便秘にも食物繊維にも種類があります.
あなたの便秘には本当にその食物繊維で大丈夫でしょうか?
と...書き出すと怖い話のようですけれど.
便秘には食物繊維が効果的と言われている反面,
便秘の種類によって,食物繊維の種類によって,逆効果の場合があるということはあまり話題になっていません.
やみくもに便秘だから食物繊維...とするのではなく,自分の体質や便秘の種類に合わせた対処をする方が安全です.
■便秘の種類
便秘にもいくつか種類があります.
●器質性便秘
腸の部分的な細さ(腸閉塞,炎症,腫瘍など),腸の長さ,大きさなど物理的な問題で生じる便秘.
●機能性便秘
腸の動き,機能などが原因で生じる便秘.急性と慢性とに分れます.
●急性便秘
1.運動不足
運動不足や寝たきり状態などで,腸の動きが低下して,食べたものが腸の中を通るのが遅くなって生じる便秘.
2.食事量不足,食物繊維不足
便の材料となる食事そのものが少なかったり,食物繊維の摂取が少ないことで生じる便秘.
一般的には野菜不足,偏食から生じますが,低カロリーダイエット(食べる量が減るため),低炭水化物ダイエット(主食が減るため)の場合にも生じやすいです.
3.水分不足
体内の水分不足が原因で,便の水分が不足して生じる便秘.
水分摂取が少なくても生じますが,運動で汗をたくさんかいたときにも生じやすいです.
4.ストレス
環境の変化,旅行といった身体的ストレスや,精神的なストレスによって生じる便秘.
5.薬の副作用
高血圧,胃薬,向精神薬など一部の薬の副作用によって生じる便秘.
6.生理前
生理周期のある女性の場合は,女性ホルモンの影響によって生じる便秘.
排卵から生理がはじまるまでは,水分を身体に溜め込みやすくなり水分不足が生じることと,腸の動きが低下することで,便秘になりやすくなります.
●慢性便秘
1.弛緩性便秘
腸の動きの低下,筋力の低下によって,便が腸の中を移動したり,排泄したりする力が低下することで生じる便秘.
高齢者や出産回数の多い女性などで生じやすいようです.
2.痙攣性便秘
腸の動きが強すぎて,逆に便が移動しにくくなって生じる便秘.
腸を刺激するタイプの下剤を乱用している場合,過敏性大腸炎などで生じやすくなります.
などなど
慢性便秘の種類は他にもあるのですが,ここでは割愛いたします.
以上,便秘の種類を紹介しましたが,便秘も原因はいろいろ.原因によって対策もいろいろになってきます.
また,原因がひとつというわけではなく,複数の要因によって生じることも多いです.
ダイエット中の女性に便秘が多いのも,女性ホルモンの影響や腸の動きの低下による便秘が生じやすい状態で,食事量や食物繊維不足,水分不足,ダイエットのストレス...と重なることが原因かも.
■食物繊維の種類
体内で消化されない,難消化性成分を食物繊維と総称しています.
便秘にいいダイエットにいいと言われていますが,種類によって働きが違います.
●水溶性食物繊維
水に溶けやすい食物繊維.体内ではゲル状になるため,食べたものの吸収や移動がゆるやかになります.便に水分を与えて便秘を解消させるほか,糖の吸収速度を抑えたり,コレステロールの吸収を抑えます.
●不溶性食物繊維(難溶性食物繊維)
水に溶けにくい食物繊維.体内では水を吸収して膨張するため,満腹感を得られやすく.また膨張したものが腸を刺激するため,腸の動きが活発になって便秘を解消します.
食物繊維の種類によって,作用も効果も違うことが分ると思います.
ここで重要なのが,不溶性食物繊維.
腸を刺激して動きを活発にさせ便秘を解消させるものなので,
腸の動きが強すぎるために生じる「痙攣性便秘」には良くありません...
というわけで,この記事のタイトルは,正確には,「痙攣性便秘には不溶性食物繊維はNG」.
まったく摂らないというのも難しいのですが,控えた方が無難ですね.
不溶性食物繊維をたくさん摂れば摂るほど腸を刺激するので,便秘の症状が悪化することもありますので.
水溶性,不溶性,ともに含むものが多いので,どの食品にどちらが多いかの詳細は食品成分表で確認してください.(^^;;;
ダイエットでよく使われるものだと,寒天,こんにゃくは水溶性,おから,大豆,豆類は不溶性が多いです.野菜は種類によってどちらが多いかはいろいろ.
通常の便秘(とくに食物繊維不足や腸の動きの低下が原因の便秘)では,相乗効果が得られるので,水溶性,不溶性をバランスよく摂るのがベスト.
とはいえ,便秘の原因は食物繊維や腸の動きによるものばかりではないため,必ずしも「食物繊維を摂れば便秘が治る」わけではないのでご注意を...