日経ヘルスで過去に「脂肪は適量で高炭水化物のダイエットがいい--米農務省」 という記事が掲載されていますが,この中で「減量や健康維持の成功率がもっとも高い食事の具体例」として「食事ピラミッド」と訳されて紹介されています.
USDA(アメリカ農務省)のサイトコンテンツの一つです.ページランク9ですよん.スゴイかも...
食事ガイドラインに基づいた(推奨の)1日の総摂取カロリー,摂取すべき各栄養素の割合が算出されます.
ダイエット目的というよりは健康目的の食事なんですが,ダイエットにマイナスになることはありません.
■ My Pyramid Plan の使い方
右サイドのMy Pyramid Planのところで
Age → 年齢を入力
Sex → 性別を選択 Male=男性,Female=女性
Physical activity : ほぼ毎日,日常生活に追加して行う運動量を選択
less than 30 minutes=30分以下
30 to 60 minutes=30~60分
More than 60 minutes=60分以上
と入力・選択して SUBMIT=送信ボタンを押すだけ
■作成された My Pyramid Plan の見方&解説
具体例にそって解説をいれますので,見ながら読んでください.(^^;
具体例 : わたし(=33歳女性 普段の運動30分以下)の場合
1日総摂取カロリー :
My Pyramid Plan のタイトルが書いてあるところの下4行目.赤字にした部分.
Your results are based on a 1800 calorie pattern
わたしの場合は1日1800kcalのようですわ.
年齢,性別,運動量から算出してあるのでアバウトといえばアバウトですが,その他の問題点と比べたらたいしたものではありません.
BMIから算出する総摂取カロリーの目安では,BMI22の体重1kgにつき25~30kcal.
わたしの身長が161cmなのでBMI22の体重は57kg.1425~1710kcalところ.
それほど大きな誤差ではないようなかんじ.
少々オーバーしている分はアメリカ人と日本人の体型の差というところですね.
栄養素の内訳 :
その下のカラフルな表.
Grains 6 ounces = 穀類 170.1g = 8.5単位
Vegetables 2.5 cups = 野菜類 2.5カップ=600ml = 1単位
Fruits 1.5 cups = 果物類 1.5カップ=360ml = 1.5単位
Milk 3 cups = 乳・乳製品 3カップ=720ml = 6単位
Meat & Beans 5 ounces = 肉・卵・豆類 141.75g = 3.5単位
栄養群の分類&その量を単純に日本の単位量に換算し,さらに1単位=80kcalに換算してみました.
一概に単位換算,カロリー換算しがたいところがあるので正確なものではないと思うので,目安としてください.
日本のものより乳・乳製品の割合が多いですね.穀類が少なめに感じますが,果物類,イモ類の単位数も加えた炭水化物の量としては少ない量ではないと思います.
穀類=ごはん=170.1gと考えてしまうと量が少なく感じますが,調理済みのものの重さではなく,調理前のものの重さのようです.ごはんなら米,パスタならゆでる前のパスタ...
単位にカップを使っているところが日本人には馴染みのないところ.
容積の単位としてのカップはアメリカの場合1カップ=約240ml.ここでは容積の単位としての「カップ」と器としての「カップ」がごちゃごちゃしています.器としての「カップ」の使い方は日本でいうお茶碗●杯の「杯」と同じような感覚かも.野菜や果物をどうやってカップで測るかは,Vegetables Food Gallery ,Fruites Food Gallery を見ると納得すると思います.
食品交換表みたいに見た目での判断はしやすいですけれど,
ぜんぶグラムで書けよ
って突込みをいれたいものです...(-.-)
こんなんでカロリー計算が大丈夫なのかどうかははなはだ怪しいですわ.
細かく計算しなくても大雑把でOK~★というところなんでしょうねぇ...
だから,肥満大国なのかも...
その他 :
その下に穀類,野菜類に関する注釈が書いてあります.
Make Half Your Grains Whole
穀類の半分はWholeの穀類で.Whole Grains は直訳すると全穀ですかね~? 小麦粉だったら全粒粉,米だったら玄米がこれにあたります.
1日に摂取する穀類のうち少なくとも半分以上は,玄米にしてください...といった意味合いになりますね.
Vary Your Veggies
野菜と一言で言ってもいくつかのグループに分けられます.ここでは1グループに偏らず,さまざまなグループの野菜を摂るよう進めています.
具体的にはその下に書いてあるようなもので,上から順に,濃い緑の野菜,オレンジの野菜,豆類,でんぷん質の多い野菜,その他の野菜,と分けるようです.
Oils & Discretionary Calories
脂質やその他の砂糖分などについて.
油は1日小さじ5杯以内.その他脂質,糖分などは195kcal以内に.
■My Pyramid Plan の使い心地
アメリカの食事ガイドラインなので,
体格,遺伝的体質,食習慣が違う
という理由から,日本人には一概にあてはまらない,日本では使いにくいのでは?と思いながら使ってみましたが.それ以上に,
重量や容量の単位(オンス,カップ)が違う
食材の分類が違う
というところが使いにくい部分でした.
重量や容量の単位の違いについては,前述の栄養素の内訳のところで,
ぜんぶグラムで書けよ...
と愚痴りましたけれど.食べる分量を,グラムで統一するか,●杯分(カップ)といった表記で統一するかした方が使いやすいですね.
また,食材の分類についてもかなり違いがあります.
日本では,四群点数表による「炭水化物」,「たんぱく質」,「無機質」,「脂質」,の4分類.
これを細かくした食品交換表による「穀類・イモ類・豆類」,「果物」,「魚・肉・卵・チーズ・大豆類」,「牛乳・乳製品」,「油脂・多脂性食品」,「野菜・海藻・きのこ類」,の6分類がよく使われています.
ここで,じゃがいも,さつまいもなどのイモ類は,炭水化物が多い食品として,穀類と同等な炭水化物類として分類されるのが一般的だと思います.
しかし,アメリカの分類では,
イモ類は野菜です
じゃがいもはStarchy Vegetables,さつまいもはOrange Vegetables,でそれぞれのグループは週にどのくらいという推奨量が示されてはいますが.イモは野菜なんですよ...
確かにビタミンCやミネラル,食物繊維も豊富ですけれどね.
いくら国をあげて肥満対策を行っても,イモは野菜だという感覚で食べているようでは,アメリカの肥満化はまだまだ続きそうな気がします.
■日本版との比較
グラムで書け,イモ類は野菜か?といった不満な点も多い食事ピラミッドですが,
USDA(アメリカ農務省)は,My Pyramid Tracker といったサービスも提供しています.
食事ピラミッドをベースとした食事日記の記入と栄養バランスのチェック,運動の記録が行えます.
内容的には,Yahoo!ビューティーの90日間ダイエットダイアリーやgooダイエットのダイエット日記のようなものに食事内容のチェック機能がついたものというかんじですね.
また,以上は大人向けのものですが,子供向けの食事ピラミッド もあります.
大人向けは入力して結果が表示されますが,子供向けの方はフラッシュを利用したゲーム仕様 .
ゲーム中で1日に摂った食事,行った運動を入力し(どちらも選択式),それが推奨ものに適していればゲームクリア.適していなければゲームリタイアで,どこを見直すべきかが表示されます.
ゲーム感覚で1日の食事と運動の見直しができる仕組みになっているので面白いですが,選択する食事の種類は日本にはそぐわないかもしれません.
さて,日本との比較ということなので日本のものについてですが,
あまり知られていないかもしれませんが,食事ピラミッドの日本政府版もあるんですよ...
日本政府版食事ピラミッドというより,日本政府機関が「独自に検討して作成したもの」ということなんですけれど.
詳細は「日本版食事ピラミッド=食事バランスガイド」 の記事で紹介していますが,アメリカの食事ピラミッドMy Pyramid Plan,My pyramid Tracker,子供向けの食事ピラミッド...といったコンテンツの豊富さと比べると,日本のは多少見劣りがしますね.
アメリカは政府主導で食事ガイドラインや肥満対策に力をいれているかが伺えます.
それだけアメリカでは肥満問題が深刻だということで,日本は肥満のレベルはたいしたことがないということの現れなのかもしれません.