以下、JUGEMより転載。2006年5月1日投稿分。


4月30日放映のあるある大辞典Ⅱで放映された「カロリーの最新理論!?糖VS脂肪 あなたの燃焼型を診断 食べてヤセる食事法」の紹介とムムム?について.

推奨される成人のカロリー摂取量の目安は,男性で2300kcal,女性で1800kcal.
ところがあるあるの調査では,上記のカロリーよりも少ない食事であるにもかかわらず,まったく痩せない,太った...という人が続出.
エネルギー源となる糖質と脂質の代謝は,糖質燃焼型,脂質燃焼型とひとによってどちらが得意かという差があり,カロリー制限をしても得意分野を抑えていないと体重は減らない...ということになるようです.
摂取カロリーはいままでと変えず,摂取しているカロリー源=カロリーの質を変えることで,効率的なダイエットが可能!
それを可能にするにはまずは,タイプの判別から...ということで,糖質燃焼が体・脂質燃焼型タイプ別カロリーチャートと,痩せる食べ方が紹介されていました.

■タイプ別カロリーチャート
5つの質問に答えると,自分の燃焼型がどちらなのかがすぐ分る!という判別チャート.

質問1.性別は? A女性 B 男性
質問2.学生時代得意だったのは? A短距離 B長距離
質問3.日常生活で自転車は? A毎日乗る Bほとんど乗らない
質問4.どちらかというと朝食は? A食べる B食べない
質問5.体質は? A寒がり B暑がり


答えがAなら右,Bなら下に移動してください.
最後にたどり着いたところが,あなたの燃焼型.
このチャートで糖質にたどり着いた人は,糖質燃焼型.
糖質を使いやすく,脂質の利用は苦手=脂質で太りやすいタイプ.
脂質にたどり着いた人は,脂質燃焼型.
脂質を使いやすく,糖質の利用は苦手=糖質で太りやすいタイプ.

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┃1-→2-→3-→4-→5→  ┃
┗|┛┗|┛┗|┛┗|┛┗↓┛  ┃
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┃2-→3-→4-→5→     ┃
┗|┛┗|┛┗|┛┗↓┛ 糖質  ┃
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┃3-→4-→5→        ┃
┗|┛┗|┛┗↓┛━━━━━━━━┫
┏↓┓┏↓┓           ┃
┃4-→5→           ┃
┗|┛┗↓┛           ┃
┏↓┓       脂質     ┃
┃5→              ┃
┗↓┛              ┃
┃                ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛

女性は妊娠をするので脂質を蓄積し糖質から利用するため,女性は糖質を使いやすく,男性は逆で脂質を使いやすい.
瞬発力に関係する白筋は糖質を利用し,持久力に関係する赤筋は脂質を利用するため,短距離が得意な人(=白筋が多い)は糖質を使いやすく,長距離が得意な人(=赤筋が多い)は脂質を使いやすい.
調査などから両足に筋肉負荷が集中する自転車による運動はアドレナリンの分泌が減少し糖質を使いやすいため,自転車に乗る回数が多い人は糖質を使いやすい.
糖質は長期保存はできないので朝食の有無が習慣化すると,朝食をしっかり食べる人は糖質を使いやすく,朝食抜きの人は脂質を使いやすい.
寒がりは体温をあげるためすぐにエネルギーになる糖質を利用しやすい,暑がりは体温が高いので脂質分解酵素リパーゼが活性化しやすく脂質を利用しやすい.

といったことが「質問」から糖質・脂質を分類するときの理由となっているそうです.細かいところを深く掘り下げていくと,「そうとも限らない」ということはあるので,あくまでも「万人向けに簡単にセルフチェックしやすく」してあるチャートといった認識で捉えた方が無難ですね.

■痩せる食べ方紹介例

あるあるで紹介されていたタイプ別の食事の気をつけ方です.

糖質燃焼型

  • 焼肉はカルビよりハラミ
  • ラーメンは豚骨より醤油
  • おやつは洋菓子より和菓子
  • ひき肉よりかたまり肉
  • 間食しない.3食キッチリ


脂質燃焼型

  • 焼肉は豚肉(糖をエネルギーにするB1含有)
  • ラーメンはネギ,ニンニク入り(B1と結合するアリシン含有)
  • パンよりごはん
  • 少量を何回かに分けて食べる


■どの程度,正確なのか?

あるあるタイプ別カロリーチャートでチェックしたみたら,わたしの場合は,脂質燃焼型=糖質で太りやすいでした.
糖質で太りやすいか,脂質で太りやすいかといったものは,マトリックスダイエットの洋ナシ型(脂質で太りやすい),リンゴ型(糖質で太りやすい)が有名ですよね.
マトリックスダイエットの公式サイトでセルフチェック が行えますが,こちらも言ってみれば「あるあるのカロリーチャート」と似たようなものです.あくまでも「万人向けに簡単にセルフチェックしやすく」したもの.
こちらでチェックしてみると,わたしの場合は洋ナシ型=脂質で太りやすいでした.こういったセルフチェックでは,個人個人を細かく分析しているわけではなく,このタイプはこういう傾向にあるという特徴を抽出して,少ない質問数でタイプわけを出来るようにしたものですから,その結果が本当に正確なものかどうかは分りません.
わたしのように行うチェックによって,まったく逆に結果が出てしまうという場合も十分に有り得ます.
正確にはどうなのかは,マトリックスダイエットの方では,細かい肥満遺伝子検査をやってみないことには,本当にリンゴ型なのか洋ナシ型なのかは分りません.さらには,肥満遺伝子検査で遺伝子的にどちらなのかが判別しても,その他の要因(筋肉の付き方,日常生活量,運動の種類,量など)によっては変化する可能性もあります.
あるあるの方では実験として行っていましたが,カロリー測定を行って実際のところどうなのかを見ないと分りませんよね.

さらにあるあるのタイプ別カロリーチャートの質問を見直してみると,
遺伝的な要因が影響しているのは,1の性別のみ.
赤筋・白筋は後の生活環境や鍛え方である程度変わってくるものですし,寒がりは基礎代謝の低下や血液循環の悪さも影響するのでこれも改善は可能.自転車を使うか使わないか,朝食を食べるか食べないかは生活習慣次第で変化しますよね.
自分の意思でいくらでも変えることが可能なわけです.

けっきょくのところ,

自分がどちらのタイプなのか簡単にチェックして,軽く参考にするにはOK.

ただし,脂質タイプ,糖質タイプだからと食生活を大改造するのには,
このチェックだけでは情報不足で不適当...といったところですね.


■適正なカロリー摂取,適当な栄養配分

体重が増えるか減るかは,摂取カロリーと消費カロリーの傾きによるもの.
摂取カロリーよりも消費カロリーが多ければ,痩せる.
これは当然の話ですよね.
簡単に消費カロリーを増やすには,カロリー制限をすればいい.
今回のあるあるの内容は,こういったカロリー制限ダイエットやカロリー絶対主義に注意を与えるようなものでした.
「カロリーの質」というところに着目したのは評価できますが,「質」の内容としては今ひとつ踏み込みが甘かったように思います.

カロリーの質がメインとした放映内容だったためか,低カロリーダイエットや健康への注意点にまったく触れていませんでしたが,人間の身体は機械とは違います.
カロリーオーバーすれば余計な分を溜め込みますが,カロリー制限しても制限することで痩せるのは初期のうちだけ.そのうち,少ない摂取カロリーに見合って体が動くよう基礎代謝が減っていき,少ない摂取カロリーでも動ける燃費のいい身体になりやすくなります.
カロリー制限のみにたよるダイエット方法では,

単純に摂取カロリーを減らすだけでは,消費カロリーも減る

という認識も必要かと思います.
健康上への注意点についてですが,あるあるタイプ別チャートやタイプ別の痩せる食べ方は,糖質燃焼,脂質燃焼,簡単に体重減少ということに焦点をおいたものです.
脂質を使いやすくしたいからと,毎日きちんと食べていた朝食をムリに抜いてその後に過食を起こしたり,自転車を乗らずに自動車に乗ったりでは意味がありません.(^^;;;

また,脂質燃焼型タイプの食事を極端に行うと,アトキンス式低炭水化物ダイエット(低炭水化物,高脂質,高たんぱく質)にもつながります.
健康上問題がなく,減量し減量した体重を維持するために,現在適切だと言われている栄養配分は,

糖質:脂質:たんぱく質=50-70%:20-30%:15%

これはターザン462号「夏までに理想のカラダになる,100の方法」に紹介されたいた数値ですが,「第6次改定日本人の栄養所要量 食事摂取基準」を踏まえたものになっています.

「第6次改定日本人の栄養所要量 食事摂取基準」によると,
1日の総摂取カロリーのうち,少なくとも55%を糖質(=炭水化物)で摂った食事がいちばん体脂肪蓄積の可能性を低減する,75%以上ではたんぱく質,脂質,その他の必要な栄養を十分にまかなえないとのこと.
また,この基準では成人のたんぱく質摂取量は14-15%となっています.

日本人のものではないので鵜呑みにすることはできませんが,アメリカ農務省推奨が推奨している栄養配分は,

糖質:脂質:たんぱく質=60%:25%:15%

「脂肪分から摂取されるカロリーが30%を超えず,たんぱく質の総量が20%程度,野菜,果物を十分食べ,いろいろな種類の炭水化物を50~60%程度になるように摂取して満腹感を得る」 というのが,減量や健康維持の成功率が最も高い食事として,推奨されています.

ちなみにアトキンス式低炭水化物ダイエットは,

糖質:脂質:たんぱく質=10%:60%:30%

あるあるの脂質燃焼型では,カロリーオーバーをしなければアトキンス式ダイエットでもOKということになってしまいますが.
アメリカでもこちらも短期間では減量可能としても長期的な健康への影響に難色をします意見が取り上げられています.

ダイエットで活用する場合には,
推奨されている栄養配分を基本とする方が無難ですね.
とくに減量した体重を維持する,長期管理する,標準体重を無理なく目指す場合には重要になってくると思います.
あるあるタイプ別カロリーチャートや痩せる食べ方は,
短期ダイエットなのか,長期健康管理なのかをよく考えたうえ,適正な摂取カロリーをオーバーしない範囲で脂質燃焼型,糖質燃焼型を食事メニューやおやつの選択時に加味する程度にした方が良いかと思います.
脂質燃焼型,糖質燃焼型といっても,本当にそうなのかの確証はないのですから.