Q&A1195 33歳、採卵4回、移植0回 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 私33歳、夫33歳
結婚して1年半、子供に恵まれなかったため、27歳で近くの不妊専門クリニックを受診しました。基礎体温、血液検査、卵管造影検査、フーナーテスト等問題なく、しばらくタイミング法で様子を見ましょうと言うものでした。半年が経ち一度も妊娠に恵まれることはありませんでした。
フーナーテストの結果が良好の場合、人工授精は有効ではないとのことで、早く子供を授かりたかった私たちは体外受精に進みました。薬はクロミッド+スプレキュアのみで無麻酔下にて、2個の卵子を採卵しました。精子の結果はふりかけで大丈夫とのことで、体外受精をしました。受精しましたが、分割せず移植に至りませんでした。新鮮胚移植の予定でしたが、上記のことから胚盤胞移植のほうが良いとの診断で、2回目の採卵では胚盤胞まで育ててから凍結との説明でした。しかし、1回目と同様、クロミッドとスプレキュアを、使用しての採卵でしたが、育った2つの卵胞は空胞だったため中止となりました。その時の精子の結果は卵子が得られていても顕微受精になっていたと言われました。数値は渡されておりません。3度目の正直と、3回目の採卵。今度は、クロミッドとフォリスチム注射、スプレキュアを使用し採卵に挑みました。7個の卵子を採卵しました。全てふりかけにて体外受精し、5つの受精卵が出来ましたが、1つも胚盤胞になることはありませんでした。医師の説明では原因はわからないとのことでした。看護師からの説明ではまだ3回目、始まったばかりと励ましていただきました。若かった私たちはには大きな経済的負担と精神的負担で、原因がわからないのなら自然に授かるのを待とうと言う答えを出しました。
そして、32歳。やはり、自然に授かることはなく、もう一度体外受精を受けてみようと思いました。
主人の転勤もあり、新しい土地で初めてのクリニックにて完全自然周期での採卵をして参りました。2個の成熟卵、MI期が1個、GV期が5個採れました。成熟卵はふりかけ、MIまたはGV期は成熟したら顕微授精の予定でした。その時の主人の検査結果は初診時12.6M/ml、採卵時14.3M/mlと、正常値より低い結果でした。結果成熟卵は受精せず、GV期の卵子が成熟し顕微授精されましたが、胚盤胞までにはならず終了いたしました。

ここで質問なのですが、精子の成績はその都度変わるとの認識でいたのですが、2回連続あのような結果であることから、自然妊娠にいたらなかったのは、精子の要因もあるのではないかと推測しております。フーナーテストが良好でも精液検査は不良な場合もあるのでしょうか。また、28歳で分割までいかず移植に至らなかった私が、33歳になって確率は下がる一方なのではと途方に暮れております。妊娠は年齢も関係していると聞きます。このまま理由がわからず治療を進めるのも不安があります。何かいい方法はないものか専門家の立場からご意見いただけますと幸いです。今のクリニックで、多嚢胞と言われたことがありますかと言う問診がありました。一度も言われたことない病名でしたが、今のクリニックで多嚢胞だと診断を受けた訳ではありません。20代で移植に至れたかったため、聞かれたのでしょうか。本来ならば主治医に相談するべき事柄なのに申し訳ありません。

A この文面の中だけで考えてみても、いくつかの問題点があるように思います。
1 フーナーテストの結果が良好で、精液所見が不良な場合は少ないですがありえます。しかし、単なる精液所見ではなく、妊娠できる精液所見であるかどうかの判断は難しいものです。男性不妊専門医の意見を聞いてみてください。男性不妊専門医がおられないようでしたら、転院をお勧めいたします。
2 その方にあった刺激方法を選択すべきですが、合っていないように思います。私なら、年齢とAMHに合わせきちんとした刺激周期を行います。現在の方法では厳しいでしょう。
3 胚盤胞にならない方は、胚盤胞を狙わず初期胚で勝負した方が良いことが多いです。胚盤胞にこだわるクリニックでしたら、転院をお勧めいたします。
4 この年齢で一度も移植できていないのは不自然です。何か重大なポイントが見逃されているかもしれません。次回も新たな提案がないようでしたら、転院をお勧めいたします。