不妊症は増えているのか? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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本論文は、不妊症は増えているのか

 

Fertil Steril 2023; 120: 914(米国)doi: 10.1016/j.fertnstert.2023.07.006

要約:1995〜2019年の全米家族調査(NSFG)をもとに、不妊症の頻度と人種や学歴について調査しました。なお、人種や学歴は自己申告によります。多変数ロジスティック回帰分析により年齢を調整後、不妊症の頻度は調査期間内で一定していましたが、どの時期の調査でも黒人と中卒以下の不妊症率が最も高くなっていました。また、不妊治療実施率は年々増加傾向にありましたが、どの時期の調査でも白人と学士以上の女性で不妊治療実施率が最も高くなっていました。

 

解説:本論文は、全米家族調査(NSFG)をもとに、不妊症の頻度と人種や学歴について調査したものであり、年齢を調整すると不妊症は増えていないことを示しています。また、高学歴の女性ほど不妊治療を受ける傾向がありました。日本でも同じ傾向があるかについては不明です。