未知のメニューはリスクがある
既存客にはその思いを施術中にお話できますが、見込み客に、どのような手段で伝えたら良いのか分からない時期が続きました。
また、講習会では最新の技術を他店が始める前にしようとすると、前例がないワケですから、実際始めてみて、売れるメニューなのかは誰にも分かりません。
先にはじめるということは、そのお店が前例になるということ。
そこで成功するか失敗するかを試してみるお店になるワケです。
それをあなたは何度となく経験していると思います。
勉強熱心な先生であればあるほど・・・。
その中のいくつかのメニューは利益を生んだでしょうが、
そうでないものの方が圧倒的に多いワケです。(私の場合)
ですから、新しい技術メニューを始めるということは、とってもリスクがある。
逆に、自分の経験豊富の技術はそのようなリスクはない。
そしてその経験を分かりやすくこのチラシで知らせることができるので、新規客はいともカンタンに集客できるということになるのです。
通常、売上減少で「最近あのお客様が見えないわ。
そういえば○○さまも・・・。」と、来なくなってしまったお客さまのことを考えがち。
「いったい何がいけなかったのかしら?」って。
もっと技術や接客を磨かなければ・・・と。
当然、失客率を下げることは必要です。
しかし、「あなたのお店に現在来店している人はなぜ来ているのか」に焦点をあててみましょう。
「これだけ美容室理容室が多くあるのに、そして四分の一の料金でカット出来る激安店があるのに、なぜ?あなたの店に来ていただけるのか?その激安店の金額を越える価値観があなたのサロンにはあることも理解できますよね。
それが、あなたのお店の売り。
それがあなたのお店のUSP。
今来店くださるお客さまは、なぜあなたのお店に通っていただいているのか?
気さくに話せる常連客に聞いてみましょう。
すると、次第に明らかになってくる。
あなたの店だけが持っている利点、特性そしてオンリーワンが。
それを、そのままチラシに書いて、あなたのお店の常連客が喜んでいることを、あなたのお店に一度も来たことのない見込み客に教えてあげるのです。
お客さまが見えなくなってしまう怖さ
・なぜ?あなたのパーマのロットの巻き方はそのようにしているのか?
・なぜ?パーマ剤は今のものを使用しているのか?
・カラー剤はそのメーカーのものを使っているのはなぜか?
・なぜ?縮毛矯正のアイロンは今のものを使っているのか?
・既染毛とバージン毛の部分で縮毛矯正の薬を使い分けているのはなぜなのか?
今使っている薬剤・機材に到達するまでにはいくつもの薬を使ったり、試行錯誤を繰り返して行き着いたものが現在の薬剤・機材と思うのです。
このようにあなたの経験をチラシで見込み客に伝える、あなたの美容に対する、お客様に対する気持ちを正直に伝えるワケです。
それは、「自分を売る。スタッフを売る」ということです。
「自分自身の歩んできた経験を売る」ということでもあるのです。
これからの自分ではなく、いままで歩んできた自分自身の経験を売るということ。
技術競技大会もそうですが、確かに短時間に高度な技術を創作できるようになることは、とても大切ですし、お客様にとっても喜ばれることなのですが、あまりのめりこみすぎるとヘアースタイルを作ることが目的になってしまって、人間であるお客さまが見えなくなってしまう怖さもあります。
私も選手時代は、髪の毛の流れやヘアースタイルのストーリーをも考えながら短時間で仕上げる練習を毎晩繰り返しました。
全国大会のレベルになると髪の毛一本一本の再現性まで求められ、突き詰めれば突き詰めるほど芸術の域に入っていく。
精神的にも鍛えられた時期でもありましたが、ある時見方が、現実のサロンワークでのお客様から離れていくように感じたことがありました。
自分の目が、高度な芸術作品を創る目になっていき、普通(お客さまの目線)の目で見ることがだんだん出来なくなってしまう。
また、自分自身が、通常レベルの仕事では納得できなくなってしまう。
言ってみたらお客様(素人)には見えない技術のレベルの範囲内で磨き続けている自分がそこにはあったのです。
後に、「お客さまの目線(見える、感じるレベル)を忘れないように技術探求しなくてはいけない」と気づかされました。
講習会で、新技術を学ぶときもこれと同じで、どんどんいろいろな技術に目が行ってしまい、はたしてそのようなことばかりを、お客さまは求めているのか?
実は、「もっと当たり前のことを求めているのではないか」と感じはじめたワケです。
常識という催眠術
ここでのポイントは、「今まで当たり前だった、自分のそして業界の常識を疑ってみる」ということ。
そのことによって、「自分の視線を変えるきっかけ」になるかもしれないということなのです。
それは講習会に出席するしないに限らず、きっかけさえつかめればどんなことでも良いと思います。
変化を必要とする時代では、あなたが今まで信じてきた常識は、言ってみたら催眠術にかかっているようなものですから。
当たり前(常識)という催眠術。
私の場合はたまたま「技術講習会に出席しない決断」が「催眠術を解くきっかけになった」ということなのでした。
私も長年、何人ものスタッフを育ててきました。スタッフは同じように育てていても、3年ほどすると、それぞれのスタッフに「好み・思い」が現れてきます。
当然、技術にも同じように出てくるわけです。
その技術がそのスタッフの特徴であり、スタッフ自身の個性なのです。
それぞれ考え方があり、人間性も違い技術の癖も違う。
それを表現すると、その思いに共感するお客さまが、それぞれのスタッフに指名客として付く。
それぞれの特徴(理由)で分かれるワケです。
例えば、トップの髪をカットすることひとつとっても、スタッフによってその人の癖がありますよね。
本人は気づいていないかもしれないけれど。
なぜ?あなたのカットは、トップの髪を長めに残すのでしょうか?反対に、トップの髪を短めにカットする癖があるのでしょうか?
それぞれの技術者の好みが出るワケです。
でも、それには想いがあるのです。
長めに残すことでトップのボリュームが出やすいようにしたい、髪に動きをつけて女らしさを表現してあげたい。
短めにして、毎日のシャンプーブローをカンタンにしてあげたい等々、様々な理由があると思います。
お客さまのスタイル、長さによって使い分けはありますが、根本的な技術者の趣向は出るワケです。
そこをチラシ媒体を使って、より広げてアピールする。
「私の美容室では、お髪の多いあなた様にはカットだけで、全体的な長さは変えずに、シャンプーブローの時間を驚くほど短くすることが出来るのです。
なぜならば、見た目に影響のない余分なトップの髪だけを短めにカットすることによりそれがカンタンに出来てしまうのです!」
というように提案(自己表現)をすると、その技術者、美容室の想いが伝わるワケです。