遅くなりましたが、5.5に川崎クラブチッタで行われた、D 19th Anniversary Special Premium Live「Dearest you 2022」有観客LIVEお疲れ様でした!そして本当にありがとうございました!
紆余曲折はありつつも、無事に2年3ヶ月ぶりの有観客ライヴを終えられたことで、やっと17周年と18周年の無念さを晴らし、ほっと胸を撫で下ろすことができた気がします。

未曾有の新型コロナウイルスは今も世界中を苦しめ続けていますが、ワクチンや治療薬の開発に加え、国民の多くは感染病予防もきちんと行っていることから、少しずつですが状況も良い方に変化してきたように思えます。
だからこそ、僕らDも有観客公演に踏み出せたわけですが、この日はファンの皆さんにもなるべくソーシャルディスタンスを確保しやすい形でライヴに参加していただきました。

そして例年では声を出す面も多かったライヴ中も、きちんと全員が「声を出さない」という大事なルールを守った上で参加していただけたことは大きな勝因だと思っています。
これはメンバーやチッタに携わってくれた全スタッフだけでなく、ファンの皆さんも含めて、全員で勝ち取った勝利です!
目に見えないコロナウイルスを殲滅させるという意味では打ち勝つことはとても難しいですが、戦い方を身につけて自分たちの領域に侵入させないという意味では大勝利を得たと思っています。

毎年、GWの終わりは高田馬場AREAで周年のグランドファイナルとしてライヴをやってきましたが、今年は19周年として、15年前の「Dearest you」を彷彿させる想い出の川崎クラブチッタで行われました。

当日は初夏を思わせるような晴天で、まるでDの19周年をお祝いしてくれているように思えました。
入りをして挨拶を交わしながら楽屋に荷物を置いき、そしてステージの様子を見に行くと、「今日、これからライヴが始まるんだ」というなんとも言えない胸の高まりを感じました。
高らかな天井、広々とした開放感のある空間の隅々にまで届く楽器の音、そして自身の歌、これぞDの音楽なのです。
リハを終えて、メンバーの清々しい表情や楽しげな言葉を耳にし、皆、想いは等しく同じであることがとても嬉しかった。
無観客公演の時もリハを行い、メイクをして衣装を着ましたが、やはり有観客時のあの独特の雰囲気は別格なのです。
やがて17時になるとスタッフから開場が告げられ、身体中に心地よい緊張が走り、また高揚感を感じました。
1時間後には開演です。
いつもの喉の為の漢方薬を飲み干すと、僕はこの公演に対して願うように、否、祈るように目を閉じ、そして精神を集中させました。
「オンでいきます!」
その声に「よろしくお願いします!」と応えると、僕はSEの流れるステージの袖に立ちました。
2年と3ヶ月ぶりに静寂の向こう側から感じる気配。
まるで自分自身が水中にいるかのように感じられた別世界から、光が射す水面へと顔を近づけると、僕はようやく肺いっぱいに空気を吸えたような気持ちになれました。
かつてひとつであった世界が分かたれ、今、永い時を経て、ようやく互いの世界の扉が開かれ、還ることができたのです。

結成当初からライヴの始まりと共にファンに投げかける言葉は、19年経った今も変わらない。
「Dの領域へようこそ!」
忘れもしないDの1周年を飾った「Night-ship“D”」。
赤と黒の旗が乱舞し、声を出せずとも、心の声で目一杯、ファンのみんなが僕らDを迎えてくれるような、そんな気がしました。
しばらく港に留まっていたDの船も、またここからメンバーやみんなとの旅が再開されると実感することができました。
僕は船長としてしっかりと舵を取り、そして船員もそれぞれの役割を担い、新たな航路へと向かう未来が見えた気がしました。

続くナンバーは「花惑」。
こちらも結成初期から今もなお演奏され続けているDらしさ溢れる楽曲のひとつ。
風が巻き起こるかのように、一心不乱にノッてくれるみんなの姿に、僕らのボルテージは更に上昇した記憶があります。
Gソロで4人がフロントに集合するのもいつぶりだろうか。
互いの表情を目にし、今が夢ではなく現実なのだと確かめ合うように。
ステージで鞭を扱うのも実に久しぶりでしたが、いざ手にとってみると、しなやかな革は手と同化し、鮮やかに振り下ろすことができた気がします。

そして3曲目はDの代表曲のひとつ「闇より暗い慟哭のアカペラと薔薇より赤い情熱のアリア」。
「My Dear Rose~」と歌い上げるに相応しい天井高。
愛という名の光を求めながらも闇の中でしか生きられなかった怪人。
人は皆、孤独ではあるけれど、毎日朝がやってくる度に、光は誰の頭上にも訪れる。
怪人が信じられなかったのは人ではなく、きっと自分自身だったのです。
愛しいクリスティーヌの想い、怪人の想い。
この曲を歌っている時はファントムの想いに寄り添いながらも、決して僕自身が闇に飲み込まれることはないと確信しました。
なぜなら、僕らにはこんなにもDの音楽を待ち望んでくれている人がいるのだから。
変わらぬ愛の形を、歌と言う名の赤い薔薇に代えて。

4曲目は「太陽を葬る日」でした。
ツネが加入して、初めてMVを撮影した曲でもあります。
イントロからDらしさ全開のハードな演奏に、流れるようなメロディをのせ、「これぞ生のライヴだ!」と言わんばかりに、僕もメンバーも、そしてファンもみんなの気持ちがヒートアップしたと思う!
そしていつもなら差し伸べられる手という手に自身の手を重ねるものの、忌まわしきコロナウイルスの感染症対策を踏まえてそこはグッと我慢をしなければなりません。
今にも感情が溢れそうになりながら、曲が終わる度に拍手で想いを伝えてくれるファンのみんな。
みんながどんなに気持ちを堪えながら、両手に想いを託していたかと思うと目が熱くなりました。

続く5曲目は「Sleeper」。
オンライン上では活動しながらもオフライン、現実の世界では眠れる者であったDは、まさに「Sleeper」とも言えます。
そこから新たに、「目覚めし者」としてようやくファンのみんなの前に現れることができたのは、本当に素晴らしいことでした。
膝を抱え、生きる意味がわからなかったかつての僕はもういない。
もしも胸に突き刺さる棘が抜けなかったとしても、僕はその棘と共に生きる術を必ず見つけ出すから。
Dの19年間にはその確かな経験がある。
だから、僕は今も明日を見続けているのだと思います。

17周年、18周年を祝うことができなかった分も、この19周年の春は何倍もの喜びに溢れていました。
無事に迎えられら周年ライヴに加え、去年の末から森に住み始めることになった自身の環境の変化も加算され、6曲目の「春の宴」はより一層胸が熱くなりました。
「来る日も来る日も私は励まされた おまえ達がいたからここまで来れた」
春が来る度にDは年を重ね、四季の移ろいは輝かしき日々を思い出させてくれます。
人生を振り返り、懐かしむには決して早くない時期です。
ずっとずっとDを存続させたい気持ちはあるけれど、どれだけ、あと何回、みんな元気に春を迎えられるだろうかと思うと、胸がぎゅっとなりますが、それでもやっぱり春はあたたかで優しい気持ちになれる、素敵な季節だなと改めて思いました。

7曲目はDの7年目に生まれた作品「7th Rose ~Return to Zero〜」からの「7th Rose」でした。
この曲から10年どころか、12年が経とうとしていることに驚きを隠せません。
当時、Dと言えばシンプルに薔薇だという印象を持っている方が多かったと思います。
ですが、Dはただ美しいだけの薔薇ではないということを打ち出す必要がありました。
美しく、気高く、原生の強さを兼ね備えた古の薔薇、それがDだということを。
結成5年目に念願のメジャーデビューを果たしましたが、インディーズであろうと、メジャーであろうと、どんな舞台に立とうともDがDであることを証明するような、そんな曲にしたいと思って作った曲です。
「7th Rose」のFINALをDVDとして形に残せなかったことが、後々心残りだったのですが、当時、参加してくれたみんなの心に灼きつくようなライヴになったことで、目には見えなくとも永遠となったのだなと言う想いが甦りました。

そして8曲目は「それまでDを知らなかった人が、最もDを知るきっかけとなった曲」と言えるかもしれません。
「闇の国のアリス」はホラー映画のタイアップがあり、制作の締め切りを考えると、ツアー中の2日ほど自宅に帰れるタイミングで作らなければ間に合わない為、必死にひねり出した曲でもありました。
ホラーの世界は決して映画やドラマ、小説やアニメの中だけに留まらない。
現実は何よりもリアルに人を恐怖に陥れる。
だから、少しでもファンのみんなの救いとなれるような曲にしよう、そう思ったらすぐにイメージが浮かんで書き上げることができました。
今だからこそ、Dの代表曲のひとつとも言える曲ですが、当時はタイトなスケジュールゆえに苦しんだこともありました。
でもあの日、あのタイミングだったからこそ生まれた楽曲でもあると思うし、5.5のこの日もみんなの心に手を差し伸べるつもりで歌いました。
ドラムソロに入って、ヒロキ君の熱いドラムプレイが響き渡る中、僕ら4人は一旦楽屋へ。
迸る汗と、こみ上げる喉の渇きはまさにこの数年間求めていたライヴ感でした。
鏡に映る自分の姿は、まさに歌を求める獣であり、真のASAGIであると実感しました。
そして一息つく間もなく4人はステージへ。

ここから2曲の9曲目、そして10曲目は有観客としては初披露の「Zmei~不滅竜~」「Venom immunity」。
「愚かしい竜の夢」と「ヴァンパイアストーリー」というDの二つの血脈が結びつくことで過去は未来を生み出すことができるのです。
とてもライヴで初めて体感したとは思えないほどの会場全体の熱気、そして鼓動を感じました。
不滅の竜も、毒耐性を手にした新種の竜も、その他の楽曲に現れる全てがDの一部分なのです。
喜びも悲しみも、様々な感情は皆、音楽として創り出してきました。
聴く者の心に寄り添い、共に時間を重ねて来たことによって、不滅の力も毒に打ち勝つ力にも近い力を、Dは手に入れられたのだと思っています。

本編も佳境に入った11曲目は、それぞれが自らの意志によって戦うことを選んだ「In the name of justice」。
強制的に誰かの下に従事するのではなく、自分の本当に守りたいものの為に戦うことが大切なのです。(※現実世界での軍事侵攻や戦争を支持するという意味ではありません。命を奪うことはそこにどんな理由があろうとも許されないので)
混沌の日々が続いたこの数年間、人々の心にはどうしても翳りが見えた気がします。
雲が晴れず、漠然として明日さえも見えない中を彷徨っても、目的地に辿り着くことはできません。
このコロナ禍ゆえに、人前で歌うことはかなりナーバスな部分もあったのですが、この日はしっかりと距離も取れたおかげで、不安や躊躇いもなく歌うことができました。
て士気を高めて前に進んで行く勇気を、改めてこの曲で得られた気がします。

そして続く12曲目の「黒薔薇の騎士」ではジャスティスから一転して、ドライツェンの厳かでありながら凜とした姿を意識しながら歌いました。
今回は一環したコンセプチュアルな曲を集めたセットリストではなかったので様々な曲を演奏し、そして歌ってきました。
「Dearest you」の衣装はヴァンパイアコンセプトではないのですが、どんな衣装であれ演奏が流れ、そして歌が始まればそこに映し出されるDの姿は、その曲のテーマを彷彿させるべきなのです。
ですので、ヒョウ柄のワイルドな姿ではあるものの、心はドライツェンとなり、黒薔薇騎兵団を統率すべく衣装を翻しました。
僕の姿、シルエットをドライツェンと重ねてくれた人もいてくれたかと思いますが、僕の目にもみんなが颯爽と馬に乗り、崖を駆け下りていく勇姿が映し出されましたよ!
ライヴ感の強い楽曲は、無条件に有観客ライヴで良かったと思えるひとつだと思います。

そして13曲目は「迷いの森」でしたね。
この曲は「Dearest you」のc/w曲ですね。
Dの楽曲は19年の間に数多く、そこれそ数え切れないほど生まれてきたので、物理的に中々ライヴでは披露できていない曲も多々あります。
今回は「Dearest you 2022」ということもあり、「Dearest you」に含まれる楽曲を全て披露したいなと思い、セットリストに組み込まれました。
森は美しくもあり、また怖ろしくもあります。
この曲は動物園の檻の中しか知らないライオンが、外の世界に焦がれて脱走するものの、我が血に流れる本能と理性の間で揺れ動く心理を、生と死が巡る森でと掛け合わせて描いた曲です。
人は誰しも時に迷うことがあります。
考えれば考えるほどに、森の奥深くへ向かい、そして帰り道を失ってしまうのでしょう。
夢と現実の天秤に揺られながら、それでもいつしかみんなが自らの正しいと思える道に進めるよう、願いながら歌いました。
久しぶりの曲を歌うと、故郷が森であることも含め、なんだか無性にノスタルジックな気持ちになりました。

14曲目は「Guardian」でした。
こちらもc/w曲ですがライヴ向けのが曲なので、お馴染みの曲のひとつですね!
初期から今に至るまで、コンパクトな場所でも広々とした場所でも場所を選ばずに、ファンのみんなの元気な姿が見られる曲です。
この日も会場全体の「うら若き花々」である皆の想いは、ちゃんとステージ上の古代種の薔薇にまで届いていましたよ!
この曲は後の「7th Rose」と繋がっているわけだけど、Dは手折られるだけの弱い薔薇ではいられないからね。
ツル薔薇部分の蕾はファンのみんなのイメージなんだけど、害を為す者を許さないという強い気持ちの表れを歌詞に込めています。
ライヴver.は音源Ver.と違って、長く楽しめる煽り部分もあるけど、メンバーそれぞれが客席を煽る姿も久しぶりに見てもらえた気がするな。
るいちゃん、英蔵君、ツネ、ヒロキ君もみんな気愛たっぷりだったし、僕自身も久しぶりの生ライヴの感覚が気持ちよくて、それが現実のことなのかなんだかわからなくって、ふわふわと夢現に感じる部分もあったなあ!
多分、脳内ドーパミンが分泌されていたのかも(笑)。
そして「Guardian」が終われば、この日の本編最後の曲の始まりです。
15曲目はそう、今回のライヴタイトルでもある「Dearest you」。
15年前に始まった「Dearest you」のMV撮影と、あの日交わした約束を思い出しながら、この日を迎えられたことに深く、深く感謝を胸に感じました。

いつの日もかわりに泣いてくれたのはそう、「最愛なるあなた」でした。
そして、いつか滅びゆく日が来るとしても、今日の宇宙を思いだせばいい。
信じられるものがあるから、それだけで生きる意味がある。

「Dearest you」は全て、ファンのみんなに捧げる歌詞と曲です。
バンドを19年続けられたということは、簡単なことではありません。
達成したいと思っても、誰もが叶えられる夢ではないのです。
それでもここまで来れたのはDのメンバーがいて、サポートしてくれる方々がいて、そして信じ、信じられるファンのみんながいてくれたからです。
いつもみんなでジャンプをする場所。
この日も元気に飛んでる姿を目に映すことができて嬉しかった!
会場がひとつになって手を繋ぐことは今は叶いませんが、心と心が結ばれたようにも感じられました。
この曲ではいつも最高の夜空を観てきましたが、この日も素晴らしい最高の夜空を観させてもらいました。
色とりどりに輝く星々がDの未来をも照らしてくれる、そんな気がしました。
15年前、満天の夜空の下で誓った未来がきっとこの日への約束だったのかもしれません。
そしてまた5.5に再び僕たちは誓い合いました。
この先、どんなことが起こるかはわかりませんが、信じられるものがあれば、それは生きる糧になるのです。
楽しい時も、苦しい時も、悲しい時も、この日を想い出して、明日を生きよう。
そう思えるライヴでした、本当にありがとう!

始まりがあれば、必ず終わりがやってくる。
それが世の理であるけれど、終わりもまた始まりに繋がる。
そう思って、最後の曲を歌い終えました。

「アンコール!アンコール!」
いつもはそう言って、僕らを呼んでくれる声が楽屋まで響いていましたが、コロナ禍ではコールは全面禁止となっている為、ファンのみんなも声を出すわけにはいきません。
そんな中、手が痛くなってしまうかもしれないのに懸命に拍手を続けてくれました。
鳴り止まない拍手、想いの籠った特別なカーテンコールは、僕らをステージに呼び戻しました。
ホッとした気持ちと熱い想いがこみ上げてきて、MCは上手く話せなかった記憶があるけど、とにかくあの日を迎えられて、そして本編までを無事に終えられて、本当に嬉しかった想いが強いです。
こんなに長い間、ライヴをしなかったことは人生の中で他になかったし、コロナ禍が始まった当初はこれほどに長引くとは思いもしなかったので。
コロナ禍の間もDとしてできることを一生懸命考えて、Dなりに頑張ってきたつもりでしたが、やっぱり根本的な部分では「生でライヴをやりたい、聴いてもらいたい」ということが拭えませんでした。
なので、今回本当に長い間お待たせしたけれど、ファンのみんなの前で「ただいま」と伝えられたことは大きな喜びとなりました。
そしてみんなにも「Dの領域へおかえりなさい」と声をかけられたことに安堵を感じました。
17周年、18周年の願いは叶わなかったので、19周年を成功させることはとても大事でした。
この19年間に出逢ってくれた全ての人たちに感謝の気持ちを込め、そして20年目に向かうことを約束した夜になりました。

アンコールの一曲目はコロナ禍で生まれ、「生きて逢おう」と約束した曲。
ライヴでは初披露となる「Hang in there」。
いつの日か、再会の喜びを分かち合えるようにと作った曲です。
例年通りのライヴとまではいかなくても、同じ瞬間を共有できる喜びは何にも代えられません。
歌詞の最後「Stay home」=「家にいよう」の歌詞部分を、ライヴ Ver.として「From here」=「ここから」に変更しました。
それまではい自宅で我慢しようという意味で「Stay home」にしていましたが、有観客公演を始めるにあたって「ここから始めよう」という意味で「From here」にしました。
みんな、この2年と3ヶ月もの間を、嚙みしめるように聴いてくれていた気がします。
だから僕もこの日の想いと奇跡のような再会を忘れずに、この先も進んでいきたいと心に誓いました。

アンコールの2曲目は「Day by Day」でした。
巡りゆく日々の中、過去を顧みず、争いは繰り返されます。
儚い人生を生きる僕らは未来に何を遺せるのか。
何も変わらないと嘆くのか。
それとも願い続けるのか。
小さな願いが、いつかバタフライエフェクトのように、世界の裏側で変化するように。
そう強く願いながら歌った曲です。
勿論、一日一日、みんなの日々にも優しい木漏れ日のような光が差すように。

アンコールの2曲が終わり、盛大な拍手で見送られ、僕の心はあたたかい想いで満たされていました。
それでも再び、僕らを求めてくれる拍手が鳴り響き、最後にもう一曲だけ披露することにしました。

激しい曲で終わることも考えましたが、2年と3ヶ月ぶりのライヴなので、やはりみんなの心に沁みるような1曲にしようと思い、選んだのは「EDEN」でした。
結成当時の19年前からずっと演奏し続けてきた曲です。

「さあ 手を掴んで」見えない未来があるとしたら
やがて来る嵐の中 支え合ってくれますか?

19年前に伝えたかった「見えない未来」「やがて来る嵐」はこのコロナ禍とも言えます。
世界中が未曾有の危機に陥り、それでもお互いへの想いを忘れずにここまでやってきました。
実際の手と手は重ねられなくとも、心の中で結ばれた手と手はより深い部分で掴み合えたと感じられました。
「EDEN」は通常、曲の最中に演奏が止み、僕の歌に続いてみんなの歌が会場に響き渡る部分があります。
今はみんなに歌ってもらうことは叶わないので、みんなの分も僕が歌うと伝えていました。

ただ僕を包んで 暖かな光と その声とその愛で
もう何も迷わない このすべて捧げよう
いつまでも いつまでも とめどなく
今君を包んで 購と祈りで 罪さえも許される
祝福が降り注ぐ 君となら誓えるよ
側にいて 側にいて これからも

アカペラの中で、自然と始まった手拍子。
声に出せない中、みんなの声は形を変えて会場に響き渡りました。
きっと事前にファン同士で示し合わせたわけではないでしょう。
とても自然に、そして優しく、それは春風のように。
僕の歌に春を届けてくれるような手拍子でした。
こんな素敵なファンがいるバンドで、本当に良かったです。
最高のライヴになったのは、この19年間に関わってくれた全ての人の想いが連なったお陰だと思っています。
いつも応援してくれる皆さん、久しぶりに逢いに来てくれた皆さん、都合がつかなかったり、事情等があって来れなかったとしても、このライヴの間、Dへと想いを届けてくださった皆さん。
本当に皆さん、ありがとうございました!!
色んな想いが溢れてきて、感想を書き終えるのが遅くなりましたが、多くの方々の支えの上で僕らDは成り立っていると思っています。
これからも感謝と初心を忘れず、Dらしく未来を築いていきたいと思いますので、20年目のDも何卒応援よろしくお願いします!
いただいた想いは音楽に代えてお返ししていきたいです
それが僕としては最大の感謝の証になるので。
改めて、本当にありがとうございました。
Night-ship“D”号は新たな旅路へ…我らの!航路に!

 

 

ASAGI