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夏の扉

ゆうぐれにわたくしということばあり せみのぬけがらじりじりこがし
しまわれた紅い蛇口のましたから獣の吐息したたりおちる
ころころと流れる河にさからえばせきこむ胸に黒々と闇
猫目石ゆうひともえて焙じ茶のほそきはしらにたつ香ばしき
こうしゃうらはよびだされるせっていのそんざいかちだあぁせいしゅん!
朝陽 海 ぞわぞわはねる 夕陽 うみ 15の夜はくりかえされて
あっさりと波にくずるる砂山のしろさにくらむゆうぐれの朱
なやむならじゅうねんごでもかまわないレモン水はじけるごごの夏