otuo 日経ウーマンで連載されていた作品を含む10篇が楽しめる短編集。
OLとして働く女性の葛藤、悩み、憤り、不満などを描く。
確かにこんなことってあるだろうな、と思える、普通に働く女性の物語。


『四人と一人』の主人公は5人の女子社員。
同じフロアで働き、ランチはいつも一緒の仲良し5人組だった。
しかし、或る日1人が居ない時に温泉旅行が決まってしまった。
悪気はなかったが、4人での旅行を実行する。
はじめて社外での交流を深めた4人はプライベートや家族の話などをし、今までとは違った付き合い方に目覚めてしまう。
そうなれば、残された1人は違和感を感じることになる。
気を遣い、仲間はずれにしたのではなくたまたまの出来事だったのだ、というのを装っていたが次第に疲れはじめる。
残された1人は何か悪いことをした訳でもないのに疎外感を感じ、悩み始める。
今までいつも5人一緒だったランチが気まずいだけでなく、避けられるようになってしまった。
1人でランチを取ることに抵抗があったものの、止む無く外に出て本を相手にランチを取ることにする。
最初は抵抗があったものの、1人でランチタイムを過ごす女性は多く今までの拘りがくだらないものだったと気付く。
偶然遭遇した社内の人間との交流、その人からのアドバイスなどでいつもつるんでいた人間以外とも付き合いはじめ、交流の幅も広がり1人が楽しくなったり、違う人たちと一緒にランチに行く喜びを知っていく。
そして4人はその1人のことを忘れ今までどおり楽しくやっていたのだが、新しいメンバーが加わりまた1人が外されてしまう。
そして外された1人は、初めて自分がハブられる辛さを知り焦り悩みはじめる。


実は旅に出ていた。
暫く更新できなかったのはその為だ。
しかし本を持参するのを忘れ、出先の古書店で購入した本を読んでいた。
そのうちの1冊が本書である。

OL経験者として共鳴する場面も多々会ったし、実際にこういったトラブルが職場にあったなと思い出す場面もあった。
管理職ではなく、一般職として働くOLが大半の物語は親近感たっぷりである。
古い本なので時代背景など今では考えられない部分もあるが楽しめる娯楽小説である。


<ベネッセコーポレーション 1996年>


衿野 未矢
平成OL お局未満物語―オフィスのたたかう女たち