昨日の夕方の事だった。
量販店のスーパーで食品を選んでいると、一瞬何か光るものを感じた。
振り返ると、そこに立っていたのは警視庁のロゴが入った制服警官が3人。

警官の一人がカメラで、商品ケースの中を撮影していたのだ。

何事か?と様子を伺っていると移動しながら次々と陳列棚を変えて写している。

邪魔になると悪い様な雰囲気だったので、買い物客は写そうとする場所からどいて移動していた。



それに気付かない御婦人が一人商品を見つめている。


おばさん、ほらどかないと写真に写っちゃうよ!




私は大きな勘違いをしたようだ。

警官が撮影していたのは、商品ケースの前に立つまさにそのご婦人だったのである。


「次はシュウマイ?はい? どこ?」




万引きは昔と違い警察に引き渡されれば前科がつくようになった。
どう見ても普通にどこにでもいる初老の家庭の主婦だ。
でもそんな事は関係なくこうやって買い物客が大勢賑わう中で、現場検証と

証拠写真を撮られる事になるのだ。



青白いとても健康そうには見えない小柄な女性。
さらし者になっているその状況に、目じりの下だけ蒸気して赤らんでいるのが分かった。



万引き犯に同情したりしてはいけない事は良く分かっている。
店にすれば潰れるほどの大損害だ。


でも何だか悲しくないですか。



盗んだ物は野菜、佃煮、惣菜・・・一人分程度の小さなパック詰め。
買えるお金が本当に無かったなら、命つなぐ為の食べ物だったなら。
胸が詰まりました。

何が悪くてそうなったのか。
どうして人生後半、身も心も全てが充実し残りの余生を楽しむ時に、そんな事を

しなければならなかったのか。



万引き犯の人生まで案ずるのは勝手な憶測だし余計な事なのかな。



帰り道、ただただ悲しかった。

そんな出来事でした。