軍帥(帝國ザイクス教祖:伯壬旭・小島露観氏)は、初期の古代帝國軍(ザイン帝國)は「前衛党」を作りたかったのだろうと思うのです。もちろん、私の想像ですのでご了承の上お読みください。

ザイクス内部で繰り返し行われた糾弾会は、左翼系セクト団体の内部引き締めの方法ととても似ていると思います。

”オルグ学入門 勁草書房
「恐怖喚起アッピール」というのは、対象者に強烈な恐怖感・危機感を
喚起させるような内容のコミュニケーションを行い、それから逃れる方法は
ただひとつ、大衆組織に参加し、組合活動をすることだと主張するもの。

そのためには裏づけになる都合のよい事実のみをあげ、都合の悪い事実は隠す。
なぜそれから逃れる方法が大衆組織に参加することなのかの説明は論理的でなくてもよい。

「スケープ・ゴート法」は、いけにえをつくり、すべての悪の責任を
その人に押しつけ、そのひとを打倒するということで組織の団結を強化するもの。”


その急進的な霊的前衛党=ザイクスの軍士は、軍帥の理論と志を理解することを求められる。マルクス理論の真の理解者でなければ、マルクス主義の実践及び指導者として務まらないという社会主義的な方法論とも重なると思う。

前衛党 

”レーニン主義では前衛党は職業革命家により構成される党であり、
一般の労働者は入党できない。その任務は以下の通りである。
資本主義国家にあっては、反体制運動を責任を持って牽引する。
革命に成功したら、奪った権力を行使して、革命を反革命から防衛する。”



ザイクス内部では、常に陰謀論が語られていた
組織は常に敵対勢力の監視と妨害工作、スパイ活動とのはざまで戦っていると。
確かに、社会転覆を公言していた当時は公安の監視がかなりあからさまな形であるはあったのでした。しかしずっーと、ザイクスを監視し、マークするためにザイクス上層部にスパイを送り込むことまでしていたのでしょうか。

ザイクス施設内部では、政治的な話題をすると盗聴されることを警戒して、軍帥の指示により筆談をしていたことも数多くありました。また、隠語(ハム=公安など)を使い政治的な会議をしていたこともありました。今考えれば、お笑い種なのですが大真面目にしていた訳です。まぁしかし、スパイと疑われると、証拠なく糾弾会がザイクス内部で始まる訳ですから、ザイクス内部では相互監視も緩やかに機能してた。

ザイクス内部のスパイ活動について、在籍時からかなりの疑問が幹部間でも語られていたのでした。秘密にするような話はそもそも無いに等しい。大半は軍帥の”ご教示”=霊言集な訳で、ホントに幹部に外部機関のスパイはいたのかどうか。まぁ、いないと思うのですがザイクスに限らず、カルト系団体にはこの手話題は尽きないようです。

社会学者の宮台真司さんの本でかなり納得のいく、そういった組織内の「疑心暗鬼」について構造的な解説を見つけたため長文ですが、まんま引用します。
内容は、オウム教団について記述されていますが、ザイクスのこととしても十分に当てはまると思うのでした。

”「終わりなき日常を生きろ」(ちくま文庫)
「オウムは二重組織」論のくだらなさ 23ページ

4月下旬になってから麻原逮捕のXデー近しと噂されるようになるころから、マスコミを
席巻し始めるのが「オウム二重組織」論である。謀略集団がオウムと結託し、あるいは
内部に入り込んでいるのだとする例の話だ。論者のいう謀略集団は自衛隊右翼だったり
統一教会だったりするが、これを創価学会や公安警察に置き換えれば、オウム教団自体の
主張に重なってしまう。ことほどさように、このような主張には本質的にいって意味はない。これを理解するのに役立つのが、「神政政治」という政治学の基本概念である。

神政政治とは、「これが良心である」という具合に心のあり方について裁可するものが、「これをなすべし」とふるまいについても命令するシステムのことだ。私たちの社会では「殺すな、盗むな、犯すな」と政治権力によって命じられているが、殺そうと「思うこと」、盗もうと「思うこと」、強姦しようと「思うこと」は自由である。

省略

神政政治では、下部の人間が、「神聖なる統治者」に疑念を挟むことは許されない。疑念を抱くことは「悪しき心」を証明しているからだ。だからふるまいを命じる者は、心をいじくり回せることを隠れ蓑にして、何でもでき、どんな動機も抱ける。当然ながら上層部にはいろいろな動機をもった人間たちが入ってくる。権力欲だけが目当ての者、金銭欲だけが目当ての者、色事三昧に耽りたい者…。省略
統治者は心の操縦を隠れ蓑にして身勝手な動機を抱き、あるいは当初の「革命の志」を変質させて「王朝」を作り上げてきたのである。

省略

神秘体験を導きの糸にして世界の解釈の仕方を教え、善業・悪業の区別について教える麻原教祖は、「無限地獄」を脅迫材料にして内外での非合法活動を命令する。麻原教祖は、考えよいことと、いけないことを峻別する内面世界の主宰者であると同時に、教団は、教祖の命令で手足のように動けるよう政治的に組織化されている。オウムを一つの国家と見立てれば、典型的な神政政治国家だとみなせるのである。

であるならば、教団上層、とりわけ教祖の動機や内面が不透明になるのは、致し方がないと言わねばならない。かつて立花隆は、日本の主要な過激派セクトでは上層部の少なくない数が公安のスパイだと情況証拠を挙げて推測したことがある(『中核vs革マル』)セクト上層部が疑心暗鬼になるのと同じように、オウム上層部もまた他の宗教団体や公安警察による食い込みに疑心暗鬼になって当然である。政治学的に見るならば、組織の上層部が謀略説を流すことそれ自体が、その組織が神政政治のシステムを採用していることの明確なシグナルになる。神政政治は、外からは二重組織に見て、内部ではスパイや謀略の存在に疑心暗鬼になるというわけだ。

(いったい謀略集団が何者なのか、上層部がどんな「エゴ」をもつのか、これをくわしく追求することは、心理学的にはいざ知らず社会学的には無意味だと言わなければならない。。世の中に特殊なエゴや動機を抱えた人間がひとりふたり出現するのは「偶然の問題」、すなわちいつでも起こりうることだ。しかし、そのような彼が大規模な組織を作れるかどうかは、その社会が備えている「偶然ではない条件」に依存する。)”


ザイクスを語る上で「疑心暗鬼」は重要なキーワードだと思いますね。
外部社会に対してと、内部の会員に対しても軍帥とその取り巻きの幹部は常に疑心暗鬼の渦中にあるのです。

15年間、軍士として軍帥に師事していた経験からそのように思うのでした。


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