愛情について学ぶ① ~愛するということ~ | 私、自閉症です。

愛情について学ぶ① ~愛するということ~

自閉症特性を持って生まれて、何が一番大変だったかというと、私の場合は『感情コントロール』でした。


自閉症は、感情の発達が未成熟です。

自分の感情を自覚することに困難があるので、怒りや不安などのマイナス感情をためこんでいても、爆発するまで、自分がためこんでいることに気が付きません。

また、感情を適切に表現することにも困難があるので、不安も、疲れも、イライラも、悲しみも、マイナス感情は全てパニックでしか表現できなかったりします。


自閉症の診断を受けて、感情コントロールに取り組むまでは、自分の感情に振り回されて、何度も苦しい思いをしました。

不安、悲しみ、怒りなどのマイナス感情が爆発した時のエネルギーはそれはすさまじく、感情が大暴れしてパニックを起こしている時は、周りも大変ですが、本人もとてつもなく苦しいのです。


感情コントロールに取り組み始めてからは、感情が爆発する前に、日々の生活の中で少しずつマイナス感情を発散することを意識するようになりました。

発散方法は、人によっていろいろですが、私がうまくいったのは以下の方法です。


①ヨガ、呼吸法、6時間以上の睡眠。

②定期的に一人の時間をもつ。

③定期的に支援者さんと会って、お喋りする。(他愛もない雑談でも、たくさん喋るだけでスッキリします。誰でもいいわけではなくて、私の特性を理解して、問題を共有してくれる相手であることが大事です。)

④定期的に楽しみな時間を作る。(USJやTDL、日帰りできるプチ旅行など)

⑤オリジナルの名言集(自分が楽になれる言葉を集めたもの)を読む


いろいろなことを試して、失敗したり、うまくいったりを繰り返す中で、少しずつ、マイナス感情をためこまないためにはどうすればいいのか、パニックになりそうな時はどう対処すればいいのかが分かるようになり、今では感情が爆発することはほぼなくなりました。

感情のブレが激しいと、体調も不安定になるので、感情の波が穏やかになってから、体調も随分安定してきたなぁと思います。


そうして、マイナス感情に振り回されることが減って、かなり生きやすくはなったのですが、いまだに未成熟だなぁと感じるのが、『愛情』という感情です。

これまで、マイナス感情だけではなく、『愛情』にもかなり振り回されました。

若いころの恋愛を思い返すと、惚れっぽくていろいろな人に愛情を抱いたけれど、そのどれもが本当の愛情ではなかったなと思います。


恋愛依存になった元々のキッカケは、16歳でパニック障害を発症したことです。

当時はパニック障害という病名そのものがあまり知られていなくて、その辛さがなかなか理解されませんでした。

学校の先生や病院のお医者さんから、「怠け病」、「気のせい」、「親に甘やかされて育ったから心が弱い」・・・と言われているうちに、だんだん、「誰も私のことを分かってくれない」と感じるようになっていきました。


また、自閉症は、自分の興味関心、自分のやり方や考え方、自分のペースを受け入れてもらえるだけで、「私は理解されている」と感じられることも多いのですが、社会に出ると、自分のペースはそっちのけで、周りのペースに合わせることや、臨機応変な対応を求められることが多くなっていきます。

そうした社会のペースに過剰適応しているうちに、「誰も私のことを分かってくれない」という思いがより強くなっていきました。


10代後半~20代前半の頃は、そんな日々のしんどさの中で、「あるがままの私を受け入れてほしい」という思いがどんどん強くなり、「私を受け入れてくれる人」を、異性に対して求めるようになっていった時期でした。

「好きだ」と言われたり、「この人なら受け入れてくれそう」と思ったら、深く考えずに付き合って、何かのキッカケで感情が衝突すれば、「この人は受け入れてくれない!」とすぐに別れて、またすぐ別の人と付き合って・・・と、ずっとそんな日々を繰り返していました。


結局、あの頃の私は、相手のことを本当に愛していたわけではなく、あるがままの私を受け入れてくれそうな人を探し求めて、「受け入れてくれる人=好きな人=愛情」だと勘違いしていたんだと思います。

だから、受け入れてくれないと感じると、すぐに冷めて、別れてしまっていたんだなぁと思います。


今は、いろいろな支援者さんと出会って、「私を理解してくれる人がいる」、「私は受け入れられている」と安心できるようになりました。

「誰も私のことを分かってくれない」という孤独感が癒されると、なんとあんなに惚れっぽかった私が、異性を好きになることがなくなってしまいました。

いえ、正確に言えば、これまでも、ただ私は理解者を求めていただけだったので、本当の意味で異性を愛したことはなかったんだと思いますが・・・(^^;)


愛情ってなんなんだろう、人を愛するってどういうことなんだろう・・・。

「愛情」という感情が、すっかり分からなくなってしまって、最近、エーリッヒフロムの本を読み始めました。


愛するということ


フロム『愛するということ』 2014年2月 (100分 de 名著)


まだまだ読んでいる途中で、内容を消化できていないんですが、これから少しずつ記事にしながら、私なりに愛情について考えてみたいなと思います。

長くなるかもしれませんが、お時間のある時に、お付き合いいただけたら嬉しいです^^