愛情について学ぶ⑥
『愛情について学ぶ』の記事は、
・フロム『愛するということ』 2014年2月 (100分 de 名著)
の2冊の本を参考にしています。(引用は一部要約しています。)
前回の記事で、フロムは、『愛とは何よりも与えることであり、もらうことではない。成熟した愛とは、与える喜びをお互いに分かち合うことである。』としていました。
フロムは、さらに、愛には『配慮、責任、尊重、知』の4つの要素があるとしています。
1つめは『配慮』です。
『愛する者の生命と成長を積極的に気にかけること』、つまり、思いやりを持って行動することです。
母親は、わが子が小さいうちは、お腹がすいていそうだなとか、そろそろ眠いんじゃないかなとか、子どもの気持ちを想像しながら行動しますが、それと似ているかもしれません。
『配慮』は、相手の気持ちや立場を想像して行動する、とも言いかえることができそうです。
2つめは『責任』です。
責任というと、なんだか重い感じがしますが、フロムは『母子の関係についていえば、生理的要求に対する配慮』、『おとなどうしの愛の場合は、相手の精神的な求めに応じること』としています。
『精神的な求めに応じる』というのは、決して相手の言いなりになることではありません。
「弱いところも、ダメなところもあるけれど、そんなあなたでもまぁいいじゃない」と、あるがままを肯定し、認めることだと思います。
また、「あなたが○○してくれたら、愛してあげる」と、無意識のうちに愛情に条件をつけることがありますが、そうした条件付きの愛では、精神的な求めには応じていないのかもしれません。
3つめは『尊重』です。
相手を独立した1人の人間として認め、『愛する人が、私のためにではなく、その人自身のために、その人なりのやり方で、成長していってほしいと願う』ことです。
これは、恋愛もそうですが、子育てにおいても大切なことだなぁと思います。
子どもには子どもの人生があることを忘れて、親が自分の希望を押し付けて、勝手にレールを敷いてしまうと、子どもは自分のためではなく、親のために生きることになってしまいます。
子どもも、恋人も、自分の所有物ではなく、独立した1人の人間であることを、忘れてはいけないなと思います。
4つめは『知』です。
つまり、相手のことを知ることです。
発達障害児の支援においても、その子の特性をきちんと知るのは、とても大切なことです。
「きっと○○だろう」と、自分の思いこみだけで支援してしまうと、支援や配慮が的外れなものとなったり、かえって子どもの負担になってしまうことも少なくありません。
相手のことをきちんと知ろうとすることは、信頼関係を結ぶ上での基本とも言えるかもしれません。
『配慮、責任、尊重、知』 このどれか一つが欠けても、愛情は、依存や支配、所有へとすり変わってしまいます。
成熟した愛とは、自分自身が大切な存在であること、そして、相手も一人の大切な存在であることを心から実感できた時に初めて、生まれてくるものなのかもしれません。
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