本の紹介 ~女性のアスペルガー症候群~ | 私、自閉症です。

本の紹介 ~女性のアスペルガー症候群~

前回に引き続いて、今日も本の紹介です。

女性のアスペルガー症候群 (健康ライブラリーイラスト版)


私は、自閉症スペクトラムの診断を受けていると言うと、かなり驚かれます。

「ももこが発達障害のわけないでしょ」

「え?今はもう治ったんでしょ?」

などなど・・・。


日常生活でも、職場でも、それなりにグループの輪に入って世間話もこなせるし、わりとアクティブに活動するタイプなので、「発達障害って、社会性やコミュニケーションの障害なのに、ももこはどこが発達障害なの?」と、そんな風に思われてしまうようです。


私は、自分の生きづらさを自覚しています。

でも、他人からは、私の発達障害の特性はほとんど見えないのかもしれません。


そんな時に読んだ『女性のアスペルガー症候群 (健康ライブラリーイラスト版) 』は、「あぁ分かる分かる!これってまさに、女性の発達障害の特徴だわ~!」って思いました。

以下、本の中から、発達障害の診断基準について引用します。


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アスペルガー症候群は、アスペルガーという精神科医が発見した症候群です。

アスペルガーは20世紀なかばに、数名の男子に同じ特徴を見出し、報告しました。

のちにそれが、アスペルガー症候群と名付けられたのです。


つまり、アスペルガー症候群はもともと男子の特徴をまとめたものだということです。

研究がはじまった当初から、女子の特徴はよく知られていませんでした。


その後、アスペルガー症候群の診断基準が確立されてからも、症例の中心は男性でした。

男性のほうが女性よりも数倍多いとされてきました。

しかし、女性の研究が進み、男女で特性の現れ方が違うという説が出てきました。


男性では幼少期から特性がみられるが、女性では思春期まで特性が目立たず、また、思春期になっても社会性の乏しさが男性ほど顕著ではないなどと、報告されはじめたのです。


まだ仮説段階の話ではありますが、アスペルガー症候群の診断基準や対応法は男性に合わせたもので、女性向けにはなっていないのかもしれません。

今後の研究に期待がかかります。

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これを読んで、「あぁそうだろうな」ってすごく納得しました。

周りを見ていても、女性の発達障害者は、社会性やコミュニケーション能力に遜色ない人が多いのです。

(もちろん、人によりますが)

現在の診断基準では、女性は、アスペルガー症候群の典型例にはなりにくく、学校や職場などの集団の中で、それなりに活動できるケースが多いため、発達障害の可能性が見過ごされてしまうようです。


それでは、女性のアスペルガー症候群を見つけるためには、どうすればよいのでしょうか。

まず、アスペルガー症候群の女性は、男性よりも、原因不明の体調不良になりやすいという特徴があります。

とくに思春期以降、自律神経の調節がうまくいかず、不眠や寝起きの悪さといった睡眠障害、原因不明の発熱、吐き気、腹痛・下痢・便秘などの胃腸の不調、貧血、ひどい疲労感などの症状が起こりやすくなります。

ここに、生活上のストレスや、月経前後の体調不良が加わると、より身体症状が重くなったり、難治性の心身症やうつ病、統合失調症などを発症することもあるようです。


また、前ぶれなく急に感情がダウンして、唐突に泣き出したり、呆然として何も手につかなくなったりして、周りの人を困惑させてしまうことがあります。

自分では精神的な限界を自覚できないので、感情がダウンするまで無意識に頑張ってしまうのです。

感情の処理が苦手なため、ストレス耐性が弱く、トラウマが残りやすいという特徴もあります。(これは男女共通ですね)


女性のアスペルガー症候群 (健康ライブラリーイラスト版) 』の中には、他にもさまざまなアスペルガー症候群の男女の違いのチェックポイントや、女性のアスペルガー症候群によくある悩み、心身症状、対応方法などが紹介されています。

読んでいると、「そうそう!あるある~!」と共感できることがいっぱいです。


今の発達障害の診断基準は、女性向けにはなっていないというのは、まさにその通りだと思います。

こうしている今現在も、発達障害が見過ごされたまま、原因不明の体調不良や、生きづらさで、しんどい思いをしている人はたくさんいるんだろうなと思います。

一刻も早く女性向けの診断基準が確立されて、多くの人が適切な治療や支援が受けられるようになることを心から願っています。