隣のクラスに居るアイツは、一般的に言えばかなり男らしい。
スポーツ万能で、体育会系の部活の奴らにも負けない。
思ったことは、きっぱりいい。自分の考えは決して曲げない頑固者。
曲がったことが大嫌いで、この間先輩に虐められていた同級生を助けたばかりだ。
そんなアイツと俺は幼馴染で、恋人同士だ。
アイツの名前は、竹内 桜。戸籍上は女である。性格は、男っぽいけど。
「なぁ、賢治。今週の日曜空いてるか?」
休み時間、アイツが俺に話しかけてきた。
「あ、ああ」
俺は、ちょっとある期待しながら次の言葉を待った。
そういえば最近行ってないな。デート。
「その日隣の学校の奴らとサッカーの試合あるんだよ。お前も来い」
「なんで俺が・・・俺運動苦手なのに」
ここだけの話だが、俺はスポーツ苦手だ。
跳び箱飛べなければ、運動会の短距離走で万年ビリタイプだ。
「バーカ、応援に来いって言ってんだよ。お昼の弁当ヨロシクな」
確かに俺は料理が得意だ。家事も得意だ。
だがな、だからと言って・・・あれか?なんとかとはさみは使いようってあれか?便利に使われてるのか?俺は、ただの弁当係なのか?
「なんだ、ガックリして」
「デートかと一瞬期待してしまった自分が悔しい。ってか、俺はただの弁当係なのか?」
「いんや。お前は、俺のお昼ごはんで、幼馴染で、彼氏」
「お昼ご飯が一番先に着てるのが、キニナルンデスガ」
あと、彼氏が一番最後なのも密かに気になるんですが
「気にすんなよ」
まったく、こいつという奴は。
「つーかさ、普通逆じゃねー?立場」
「気にすんなよ。細かいこと気にすると、将来ハゲるぞー。タダでさえ、お前ハゲやすい遺伝なのに」
「ハゲる言うな!っとにお前は、もっと女らしく、かわいくできねーのかよ」
「いいじゃん、俺は俺なんだし」
まっ、それもそうだ。
それに、女らしいこいつなんて想像しただけで嫌だ。