平成25年1月にいただいた賞です。
岐阜県北方市主催の「第7回未来につなぐ心の糧」の作文募集にて、
入選をいただきました。
昨年のクリスマスイブ。
たくさんのサンタクロースからいただいた、
未来への希望のお話です
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「空からの贈り物」
クリスマスイブ。
二日前に足の骨を折ってしまった末娘は、
病院でクリスマスを迎えることになった。
生来骨の弱い病を持ち、
何度も入院を経験している娘も、
さすがに沈んでいた。
せめて何か明るい話でもしてやれないかと考えて、
以前ツイッターで遊んだことを思い出す。
くだらないクイズに真面目に答えてくれた大学生に、
二人で随分笑ったものだ。
そこで僕はツイッターにこうつぶやいた。
「サンタさん募集!
入院中の娘と友達にイブの幸せを少し分けてくださいませんか?」
気がついた誰かがツリーの写真でも送ってくれないかなと、
リプライを待った。
少しして友人からのリプライがあった。
今書いたという添付ファイルを開けて、
僕は思わず息を飲む。
両手を広げた優しい笑顔のサンタ。
心のこもったイラストが僕のスマホの画面にあった。
感慨に浸る間もなく立て続けにリプライが届く。
全く面識もない人たちが、
ツリーの写真やサンタのイラストを次々に送ってくれた。
その数はたちまち十になり、そして二十になった。
想像をはるかに超えたサンタさん達の登場に、
僕は不覚にも泣きそうになっていた。
不思議そうな顔で画面を眺めていた娘が、
僕を見上げてひとつニコリと笑った。
サンタさんはちゃんといた。
四角い窓に切られていても、
この空は世界に繋がっていて、
そして人の心にある優しさが空を駆けて届けられる。
目に見えないネットの繋がりが、
トナカイの曳くソリのように温もりあるモノに感じられた。
この繋がりこそが未来への希望だと思う。
だから僕たちはどんなに辛くても、
いつもこうして笑顔を取り戻せるのだと思った。
遠くに住む友達サンタがくれたメッセージ。
「心の想いは見えませんが、
私は今、病院にいる皆さんに心を馳せています。
想いが皆さんに伝わりますように。
心と心はつながっていますよ」
心に沁みた。
いつか僕もこの空の何処かにいる誰かに、
希望のカケラを配るサンタになろうと,
心に決めたイブだった。
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