メッセージをいただいたので、こちらでお返事させていただきます。


※送ってくださった方はブログをされていないので、ご本人が特定されることはありません。


 

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りこさんこんにちは。
息子は7ヶ月になりました。
最近は補聴器を装用していれば名前を呼ぶと振り向くようになりました。
とはいえ60db程度の聞こえですので言語の習得には程遠く、1歳になったら人工内耳のオペをと考えています。
今後の療育を含めた生活プランについて悩んでおり、ご意見をいただければと思いメッセージを送らせていただきました。

現在私は育休中で、来年の春より保育園に預け職場復帰予定でおりました。
入園時息子は1歳8ヶ月。1歳になってすぐにオペをしたとしてもお耳の年齢8ヶ月での入園となります。
育児短時間勤務を使い、朝は8時半頃保育園に預け16時半頃お迎えに行く生活になります。
療育は月に数度であれば夫と交代で休みながら通えますが、週に数度となると難しい状況です。

通う予定の保育園は上の子が通っている私立保育園で、1クラス20名程度です。
難聴児の受け入れ自体は問題ないとおっしゃっていただけており温かな雰囲気です。
加配はつけていただけそうですが、つきっきりというわけにはいかないようです。

母親が療育に専念することがベストだと分かってはいるのですが、息子は手帳もまだ4級で手当てもない状況です。
通院、療育、維持費等これから掛かるお金を考えると、私が仕事を辞めるのであれば住居費の安い地域への転居も考えなければなりません。
息子の人生を考えれば転居なんて小さな問題です。
しかし上の子もおりますので、色々な方へご意見を伺い、慎重に結論を出したいと思っています。

長くなりましたが、実際問題、1歳台から保育園へ預けながら普通小学校へ通える程度の言語力まで持っていくことは可能なのか、いかが思われますか。
遠慮なく率直なご意見をいただければ幸いです。

 

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丁寧なメッセージありがとうございます。


私なりの率直な意見を述べさせていただきます。


ただ、最初に言いますが、私は医師でもなく言語聴覚士でもなく、ただ1人の難聴児を育てる母親です。真摯にお答えさせていただきますが、そんな立場からの勝手な意見であることをご承知おきください。


仕事を続けながらの療育は可能だと思います。





実はこれまでも似たようなご質問をいただくことがありました。

 

仕事を続けながら療育はできるのか

保育園に通って言葉が育つのか

毎日療育施設に行けないけれど普通小学校へ入学できるのか


療育オンリーだった専業主婦の私が、仕事と療育(子育て)の両立について語れるものではありません。あくまで療育の経験者としておはなしさせていただきました。しかし、同じようなお悩みの方があまりにも多いため、今回思い切って私なりの意見をここで書かせていただきます。





育休を最大限に利用するのがまずは一番だとは思いますが、1歳代で保育園に入園ということも場合によっては避けられないご家庭もあると思います。それでも家庭で療育は可能です。


但しその前に厳しいようですが、保育園や幼稚園で言葉を育ててもらおうというのはあきらめた方がいいと思います。


やはり幼児期の言葉は家庭で育てるものです。素地ができていない時点での集団生活は難聴児にしたらうるさいだけで、言葉としてはほとんど聞き取れないでしょう。発語が300語くらい出てくる頃になれば、少しずつ先生の話すことが聞き取れて理解できてくると思いますが、それまではただ遊びに行くところという認識でお預けになった方がいいと思います。

 



また添付の新聞記事(この部分はメッセージから削除させていただきました)のお子さんのように、1歳代からロジャーなどの補聴援助システムを活用するのは賛否あります。


「先生の指示は聞こえるけれど周りの音が聞こえにくい」ということすら分からないうちからロジャーを使うと、いろんな音を聞き逃すことになります。


一方で「しっかり指示が聞こえた方が言葉を覚えられる」というのも事実だと思います。聞こえない言葉を覚えることはできませんから。


もし、1歳代で入園してロジャーを使う場合、先生にはオンオフを徹底してもらいましょう。しかし協力的でない場合や先生の負担が大きい場合は、園でのロジャーの早期使用は控えた方がいいかと思います。


 



さて、早期に入園した場合、家庭の療育時間は


平日は朝の1時間、帰宅後の3時間で4×5=20時間、土日の10時間(睡眠14時間として)10×2=20時間

合わせて「40時間」ほどが家庭療育ができる時間の目安です。(実際は家事もあり、子どもと関わる時間はもっと少ないかもしれませんが、そこは上手く時間作ってください)

 

対して、入園しない場合は家庭で過ごす時間は「70時間」です。

 

およそ30時間差。

大きいとみれば大きいですが、考えようによっては働いても週40時間も子どもと過ごすことができるのですから、家庭療育する時間は十分にあります。




療育というと、はじめは何をしたらいいのかと迷われることもあるかもしれませんが、生活言語習得期はほぼ声かけです。あとは読み聞かせ。


おはよう

よく寝た?まだネムネムかな?


お耳、つけようね

おはよう

よく寝たね

おきがえしようね

今日は赤色のシャツにしようか

くつ下はどれがいい?こっちの白かこっちのてんてん(水玉のこと)どっちがいい?

パジャマぬぐよー

、、、


朝ごはん、いただきます!

おいしいね

バン、好きだね

むしゃむしゃ

りんご、シャキシャキだね

どんな味?

あまいね、ちょっとすっぱいね

よくかんでね

、、、


保育園に行く途中では、

しゅっぱーつ

天気よいね

おひさままぶしいね

雲がないねー

お外で遊べるね

今日はなにしたい?

おすな遊びかな?すべりだいかな?

お姉さんたちは小学校だね

赤いランドセル、かっこいいね

、、、


難しい声かけ、必要ありません。同じ目線での声かけだけです。一緒に過ごす時間は丁寧に声かけしてあげてくださいね。




また、絵カードなどの知育教材は市販のものを活用しましょう。


時間がないのに手作りする必要はありません。公文などから絵カードや知育教材がいろいろ出ています。工夫した手作り教材や幼児教育の中古教材はメルカリなどで安価に購入できます。お母さんが作ったかどうかは子どもには関係ありません。それよりも作る時間を一緒に遊ぶ時間に使う方が有意義です。





また、仕事をすると療育になかなか行けないという心配は無用だと思います。


わが家は言語訓練は週一でした。月にすると、3〜4回程度でした。それで上手く療育サイクルは回っていました。


療育は、

P(plan)

D(do)

C(check)

A(action)の中でいうと、療育機関や言語訓練ではCA部分を担当し、家庭でPD部分を担当するイメージです。


STの先生から子どもの成長を確認評価してもらい、伸ばすところや改善を提案(こんな声かけができるよ。こんな言い回しを入れてあげるといいよなど)してもらい、


家庭ではそれを踏まえて、今週の計画を立て、実践(声かけ)していました。






1週間の療育で成長するの?出来ることなんて増えるの?毎週計画は必要か?と思われるかもしれません。


はい、成長なんて1週間で見えませんから、できなかったことはまた来週でよしと思っていました。


でもできるだけ細かな計画(タスク)を作ることで、1つでもできれば良いとも考えていました。特に身につけたい「言葉」は1つでも入ってくれたらバンザイです。


療育週1のサイクルによって、経過実行の期限を1週間程度で区切ると、サイクルも回りやすく、療育にメリハリがつきました。


ただ、毎日療育機関に通う方の話を聞くと、週一しか療育機関に通えないことに焦りますよね。


私も最初はそんなふうに思っていましたが、息子との関わる時間が充実してくると、PDCAを回すには一週間が一番という結論に達しました。


もちろん毎日通うことによって得るものもあるでしょう。しかし、もし通うことで満足し、家庭ではフリーに子どもを過ごさせていたら、本末転倒だと思います。また、満足しないまでも、毎日付き添っていたら疲れやすい私は疲弊して息子と十分な関わりはできなかったと思うので、これで良かったと思っています。


そんなことから、仕事で療育機関に通う回数が少なくなってしまうことは気にしなくて良いと思いますよ。


うちはうち、これを貫いてください。



仕事を続けながらきっと療育できます!


陰ながら応援しています(^-^)/


またよかったらメッセージください。

りこ



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仕事をしながら療育も頑張るのは大変なのは承知していますが、限られた時間でもお子さんとの関わりを丁寧に継続することで、言葉の成長は必ずついてきます。ブロ友さんの中にもワーママの方がたくさんいますよね。


私自身は、出産前に技術職の仕事を辞めていました。しかしまた子育てひと段落したら復帰する青写真を描いていました。それが、息子が難聴で、自分のことは後回しに。


療育に専念できる環境があり、ある意味恵まれていたともいえます。しかし、同期たちが開業した話などを耳にすると自分の世界の狭さに鬱々としたりすることもあります。母親として子の成長の幸せと、自分自身が輝く場を持つことが同時に叶えられることができたらいいなと思うようになりました。


今もまさに自分の子が難聴だなんてと発覚したばかりで途方にくれている親御さんがいらっしゃると思います。はじめての難聴のお子さんの子育てに悩んでいらっしゃる方もいらっしゃると思います。仕事を辞めるべきなのか悩んでいらっしゃる方もいるでしょう。


そんな方々のお力に少しでもなれたらと思っています。


ブログもそのためです。なかなか書き進められていませんが、家庭療育のネタにしていただけたら幸いです。


これからもよろしくお願いします。


長くなりましたが、最後まで読んでくださりありがとうございます照れ

 




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わが家で実践してきた家庭でできる難聴療育をまとめています。時々、難聴雑感も。

どうぞよろしくお願いしますヒヨコ

 

右差し難聴赤ちゃんの子育て〜家庭でできる難聴療育〜