二宮編で書いたお話の
櫻葉さんサイドです。



Side :  A



隣の部屋が空いてから…
もう、半年は 経っただろうか。


 壁の薄い、このアパートに

オレは 恋人とふたりで 住んでいる。


この ご時世

いくら 家賃が安いとはいえ
こんな…吹けば飛ぶような所を

好んで選ぶ人間は 
そう  多くはないのだろう。



隣の部屋が空いているという 事実は

オレとしては…
スゴくありがたくて。



…なぜかって?


アノ時の声を 
我慢しなくて良いから。



この薄い壁は
隣の物音や、声なんか
結構聞こえるんだよね。



だから 隣に 住人がいた頃は


いつも、声を押し殺して
…愛し合っていたんだ。



その日も、何で そうなってしまったのか。

もう、今となっては  
よく分からない。


翔ちゃんと  ふたりで いる 時間は
いつでも  幸せで。


ただ…目が 合った、とか

手が 触れた、とか


そんな  他愛ない 事。

…全てが 嬉しくて
自然と 近づいてゆく。



どっちから、だったのかな?

キス…を したんだけど。



翔ちゃんは それじゃあ 止まらなくて。


唇と、舌 が。


口内を  一通り 探り終わると


手 が  大事なトコに伸びてきて
オレを  確認した。


「…あっ! ダメだって…」

「お前だって、こんなになってんじゃん。
どうする?…欲 しい んだろ?」


そう言うと…下 着の 中に
手を差し入れ

オレ を ヒヤリ、とした 
外気に 晒すと


熱を帯びた 掌 に包み込み
ゆるゆる と  上下させ 始めた。


翔ちゃんが 触れた それは

すっかり…膨らみきっていたんだけど



窓にかかった 薄いカーテンから
差し込む光が …眩しすぎて

{BB14377B-5BF9-4A69-AF06-C412BBA90ABD}

これ以上の事をする、のに

ちょっとした 
背徳 感を 感じてしまった。


つづく



2015. 2.8   miu