小学5年頃の話です。
宗教をしている祖父母が身近に居りまして、朝夕と家の中ではお経が響いておりました。
夏休みのある日。
鎌倉から従兄弟が泊まりに来る事になりました。
その話を聞いた私は、嬉しくて、何をして遊ぼうか?
何処に連れて行こうか?とその夜は眠れない程嬉しくなっていました。
それくらい従兄弟とは仲が良かったのです。
翌日。
祖父と熊本空港に迎えに行きました。
家に着くとゆっくりする間も無く、近くの川へと自転車で向かいました。
水着に着替え、車のタイヤチューブに空気を入れ、それを浮き輪代わりに遊ぶのです。
今は見ない光景でしょうね。
川へ浮き輪と共に入り、上流から下流へと川下りをするのです。
今で言うならばウォータースライダーのような事を川でやって遊んでいたのです。
川の流れに乗り、どんどん進んで、楽しく川下りをしていたのですが、
突然、私の少し前を行っていた従兄弟がいきなりひっくり返りました。
一見、大丈夫かとも思いましたが、手だけが水面に出ているようで、溺れていました。
もう随分と前の事なので、実際にどうだったかはっきりとは覚えていませんが、無我夢中で、私は、従兄弟の右手を掴み引き上げたのです。
あわや大惨事となる所だったのです。
ヘトヘトになりながら、なんとか川から上がり、
「溺れた事は内緒にしよう」と話をしながら帰りました。
次の日の朝6時くらいだったでしょうか。寝
ていた私の耳に、毎朝のお経が聞こえてきました。
いつもの事なので、最初はそのまま、また寝ようとしておりましたが、祖父母のお経を上げる声に交じって従兄弟の声が聞こえたのです。
え?
と思い、
仏間の障子を少しあけて覗くと、タスキを掛け、一心にお経を上げる従兄弟がいました。
え?
小学校6年の従兄弟がお経を上げる姿に、恐怖を感じました。
従兄弟は、その後6日間、我が家にいましたが、何事もなく、帰っていきました。
最後に、あの従兄弟が我が家に遊びにきたのは、中学2年だったと思います。
後で解った事ですが、従兄弟の家族も同じ宗教に入っていまして、鎌倉支部長をやっていたそうです。
大人になり、私の結婚式の招待状を出した時には招待状は返ってきませんでした。
連絡先は知っていたので、連絡してみましたが返事はありませんでした。
仲が良かった記憶もあり、従兄弟には結婚式に来て欲しいと思っていましたので、
叔父に連絡を取って欲しいと伝えましたが、今、仕事が忙しいから連絡取れない、とだけ。
叔父も叔母も連絡が取れない状態だったのです。
それから3年程経ったある日。
母と世間話をしていると、あの従兄弟の話になりました。
私が結婚した年、従兄弟は夜の仕事している女性にお金を入れ込んでいたというのです。
耳を疑いましたが、さらに話は続き、消費者金融とヤミ金に手を出し、
お金を返せず利息が膨れ「追われている」というのです。
あの従兄弟がです。
本当にショックでした。
従兄弟には姉がいました。
その姉は同じ宗教の方と結婚し子供を2人授かりましたが、2人とも食物アレルギーとアトピーで辛い思いをしてるらしく。
今もあの従兄弟とは連絡が取れない状態です。
宗教で幸せに為りたいと思って毎日お経を上げ、先祖供養してるのに・・・。
何故、幸せが来ないのか。
自分達の信仰心が足りないのか、と考え悩んでる人は多いのではないでしょうか。
見えない世界の真実を知った今ならば分かります。
そもそも一般の方が先祖供養など出来る事では無いのです。
宗教とは生きる為に必要な教えを教えてくれる事はあります。
周りの人に感謝しましょう。
先祖は大事にしましょう。
でも、毎日、お経を唱える事で、どれだけ多くの浮かばれない霊体が集まってくることか。
恐ろしい現実なのです。
時見