叔父が他界しました。
怪我に病気、あらゆる荒波の中で
生きていた叔父は、最期の最期まで我が儘で、自己中で、迷惑極まりない、言わば家族のお荷物的な存在でした。
生前、喧嘩ばかりで、叔父の事が憎くて“嫌い”しかなかった。
はずだったのに…
告別式の席上で、涙をポロポロ零して大泣きしたのは、家族の中で私が一番でした。
今日、長い時間を費やしてようやく読み上げた一冊の本が、そんな叔父との最期の瞬間を、私の心に蘇らせてくれました。
『余命10年』
2年前に坂口健太郎さんと小松菜奈さんのW主演で映画化され、話題にもなった、小坂流加さんのノンフィクションともとれる小説。
小坂さんは、20代の頃に難病指定されている“原発性肺高血圧症”と
いう病に陥り、2017年2月に39歳という若さでこの世を去りました。
その去り際の最中に、この小説は生まれました。
だから私は、小説の中に生きる女性⇨“茉莉 マツリ”の存在を、まんま、小坂さんと照らし合わせ、この本を読みました。
あと10年しか生きられないとしたら、あなたは何をしますか。
“茉莉 マツリ” のように気丈に振る舞って、大好きな人にもしっかりと真っ直ぐに真実をぶつけ、サヨナラを告げることが、果たして出来るでしょうか。
もしもこの先、余命宣告を受ける日が自分にも訪れたなら…
延命治療なんていらない。
残された日々や時間を
目一杯楽しんで、後悔しないような、そんな生き方をしたい。
そうして出来ることならば
子供に負い目をかけないような、
そんな最期でありたいと願う。
人間、いつかは死ぬんです。
だったら生きている今、この時を
どんな形であれ、幸せと感じる、
そんな気持ち、たとえ1ミリでも
持つべきじゃないでしょうか。
身近な死を持って、この小説から私の中に芽生えたのがそれです。
★ 小坂流加 (こさか るか)★
1978年 7月4日生まれ 静岡県三島市出身
第3回講談社ティーンズハート大賞で期待賞受賞。
2017年2月、39歳の若さで逝去。
他著書に『生きていればこそ』
(文芸社文庫NEO)がある。