村に、ある1人の男が降り立った。
彼の名は、モンキー・D・ルフィという。


「今日もいい天気だな~。」

「ルフィ。」

チョッパーは、彼との再会を喜び、坂を走りおり、
ルフィの腕の中へと飛び込んだ。


「おかえり、ルフィ。ずっと・・・・・・、ずっと、待ってたんだ。
 ルフィに会うの・・・・・・。」


チョッパーはそう言うと、一筋の涙を流した。
しかし、腕ですぐにその涙を拭うと、ルフィに最大級の笑顔を向けた。

「皆も、待ってるんだ。ルフィ。」


すると、チョッパーは、ルフィの前に降り、
ルフィの腕を強く引っ張った。
「ルフィ、こっちだよ。」

強引に腕を引っ張られながらも、ルフィは、しっかりと帽子を押さえ、
賑やかな町の中へと走って行った。



町の中では、今日も豪勢な声が飛び交っている。
「さぁ、さぁ、よってらっしゃい。見てらっしゃい。
 世にも奇妙な形の魚は如何かな?
 おい、そこの麦わらの兄ちゃん。どうだい?寄ってかねぇか?」

「うっひょー。なんだ、あの魚は上手そうだな~。」

ルフィが思わず・・・・・、
いや、予想通りと言うべきなのか・・・・・・、
そちらへ足を進めると、チョッパーは慌てて
ルフィを目的地の方向へと誘った。
その行為を何度も繰り返しながら、
チョッパーとルフィは、漸く目的地へと辿り着いた。


目的地へと辿り着くと、守衛室にいたゾロが欠伸をしながら、
漸く辿り着いた二人を迎え入れた。

「ふぁ~。あぁ、ルフィじゃねぇか。久しぶりだな。」

「きしし。久しぶりだな。ゾロ。」

「ゾロ、ロビンにルフィが着いた事、知らせておいてくれるか?」

「あぁ、解った」

「俺は、もう帰らなきゃ。
 もう、そろそろ次の診察の時間だ。ルフィ。」

寂しげに告げるチョッパーに、ルフィは笑顔で答えた。

「大丈夫。すぐに会えるさ。」

その言葉を受け、チョッパーは笑顔に戻った。

「うん。解った。じゃあ、またな、ルフィ。」

ルフィは、チョッパーの小さな背中に黙って別れを告げると
城の中へと、歩みを進めた。
自らもまた、ゾロという旧友に、そっと見送られている事を、
知らずに・・・・。

城内に、足を踏み入れると、よく見慣れた景色が、
変わる事無く、目の前に広がっていた。

程なく、ロビンがルフィの前に現れた。

「ロビン。久しぶりだな~。」

「えぇ。ルフィ、久しぶりね。でも、まず・・・・。」

すると、誰かが突然、階段を駆け下りてくる音が聞こえた。
そして、すぐにその足音の主は、姿を現した。

「よぉ、ルフィ。」

「エ~ス。でも、どうしてここにいるんだ~?」

「じいちゃんに、呼び出されたんだ。」

「そうか~。」

「それにしても、ルフィ。お前、最近・・・・」

「良いかしら?」

「「あ、はい。」」

男二人は、話を止め、ロビンの指示を待った。

「ルフィ。到着して早々、悪いのだけれど、
 庭を散歩して待っていてくれるかしら?
 用意が整ったら、迎えをやらせるわ」

「解った。エース行こうぜ~。」



丁度、その頃、城内の二つの場所は慌ただしく動いていた。

「おい。チビナス、まだ出来ねぇのか?」

「全く、まだ来ないの?」



所変わって・・・。
庭を歩いていた兄弟二人の前から、長い梯子を担いで
フランキーが近づいて来た。

「ルフィに、エースじゃねぇか。久しぶりだな。」

「「おお、フランキー」」

「ところでお前ェら、最近何してたんだ?」

「きしし。」「俺は、」

「「冒険してた。」」

「全く。変わらねぇな。それにしても・・・・・」


「ルフィ、エース。」

ウソップが、三人の元へと走って来た。

「どうやら、準備が整ったみたいだな。」

それを見た、フランキーが、そっと小声で呟いた。

「ハァ、ハァ、探したんだ。もう、準備は整ったから・・・。
 いや、正確に言うと、まだなんだけどな、
 まぁ、とりあえず大広間に急いでくれ」



大広間前に辿り着くと、既にロビンがルフィ達の到着を待っていた。

「暫く、控え室で待っていてくれるかしら?」



その言葉を受け、三人は控え室へと移動した。

「ルフィ、エース、冒険はどうだったんだ?」

「面白かったぞ~。いろんな島に、行ったんだ。」

ルフィーは輝く様な笑顔で答えた。

「あぁ、まぁ、俺も楽しかった。」

「しかし、お前達が出て行った時は大変だったんだぜ。
お前達がいなくなった途端、国王が城の前に聴衆を集め、こう言ったんだ。

『ルフィとエースは、またもや姿をくらました。
あいつらは、いつもいなくなり、いつ帰ってくるかも解らん。
しかし、わしには跡継ぎが必要じゃ。そこで、ウソップをわしの跡継ぎにする。』

ってな、そこで、聴衆達からは拍手の渦が巻き起こり・・・」

「「嘘だな。」」

暫くすると、ドアをたたく音と共に、ロビンが姿を現した。

「準備が整いました。大広間へ、どうぞ。ルフィ王子。エース王子。」



二人は、大広間へと足を向けた。
その後には、ロビンとウソップが続いている。



大広間に到着すると、ロビンとウソップは、二人の王子の前に進み出て
二人のお王子の為に、扉を丁寧に押し開けた。

「進むが良い。馬鹿王子共。」

国王の声に従い、明るい部屋の中へと足を進めた。

「全く。この馬鹿王子共が。出て行く時には、
一言位言ってから出て行けと、
昔から言っとるじゃろが。」

「でもよ・・・」

エースは、ルフィの前に腕を差し伸ばし、言葉の続きを制した。

「申し訳ありませんでした。国王。
それで、御用は?」


国王は一つ溜め息を吐くと、隣に従っていたコビーに声をかけた。

「コビー、この馬鹿者どもに伝えてやれ。」

「はい。今日、五月五日は、ルフィ王子の誕生日です。
そして、今日はルフィ王子の・・・」

「もう、良(よ)いわ。解ったか?」

いたずらな微笑みをもらしながら、ガープは二人の孫を見下ろしていた。

下では、王子二人が顔を見合わせている。

「全く。」

国王は椅子から立ち上がり、その椅子を前方へと軽く押し倒し、
後ろのカーテンを広く開いた。

カーテンの後ろには、長い廊下が続いていた。
国王は、その廊下を二人の王子を後ろに従え、堂々と歩いて行き、
やがて、一つの大きな扉の前に立った。

「この扉は、ルフィ。お前が開けなきゃならん扉だ。
お前にとって、今一番大切な物が、この扉の向こうにある。」

ルフィは、扉を力一杯押し開けた。


すると、目の前には、今迄、出会って来た仲間達が揃っていた。

ゾロ、ナミ、ウソップ、サンジ、ビビ、チョッパー、ロビン、
フランキー、ブルック・・・・・・。

そして、目の前には、山の様に色とりどりの料理が並んでいた。

恐らく、これ程の量の料理を一度に見た事がある人間は、
少ないだろう・・・。

だが、大切な物・・・・・・、いや、存在が一つ足りなかった。

ルフィを冒険へと誘い、大切な、麦わら帽子をルフィに託してくれた人物・・・・・・、
赤髪のシャンクスが・・・・・・。

辺りをいくら見回しても、シャンクスの姿を見つける事は出来なかった。

それを、告げたのは、珍しくも、国王であった。

「あやつがいない様じゃな。」

すると、ナミは国王の前に一歩近づき

「まだ、連絡がつきません。ですから、いつ・・・・・・」

ナミが全ての言葉を告げる前に、ルフィ達が通った扉とは、
別方向の扉が開いた。

「ルフィ・・・・・・」




「・・・・・・ィ。・・・・・・フィ。・・・・・・ルフィ!!!!」

目の前には、ナミが呆れ顔で立っていた。

「ふぁ~~。あれ、シャンクスは?」

「何言ってんのよ、ルフィ。
 それよりも、皆であんたの事待ってんだから、
 早く来なさい。プレゼン」

「プレゼントなら、もう貰った。」

ルフィは、そう言うと、立ち上がり、皆が待っている方へと、
まっすぐに歩き始めた。まるで、光の中を歩いて行くかの様に・・・・・・。

「貰った?貰ったって、何よルフィ。」

『未来の海賊王にとって、最も大切なプレゼント』



「ルフィ。仲間は、宝だ。それを、忘れるな。」



『そう、それは、彼のファミリー』



【後書き】
長過ぎたかな?
明らかに、長過ぎましたね。すみません。

最初は、「プレゼントは仲間だ」とルフィが叫んで、
終わりのはずが、何故か、こんなに長過ぎな文章に・・・。

すみません。

そして、サンジをあまり出せなかった・・・・・・。
サンジファンとしては、たくさん出したかったのに
出せなかったOTL
でも、話上そうなってしまったんです。

ところで、なんで、サンジ君がゼフに怒られていたか、
それは、優しい想像にお任せします。

それから、王国篇は、配役が解りづらかったのでは?

改めて、書くと、こんな感じです。

国王:ガープ

王子:D兄弟

召使い頭:ロビン

庭士兼大工:フランキー

王子専属執事:ウソップ

外交・財政担当:ナミ

王お抱え医師:チョッパー

守衛:ゾロ

料理長:ゼフ

料理人:サンジ

音楽家:ブルック

王専属執事:コビー

こんな感じです。
正式な場(国王の前等)以外は、呼び捨てOKの気楽な国という設定です。

それでは、このような駄文に長々とお付き合い頂き、
誠に有り難うございました。