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初めてのジョン・ファウルズです。
現代イギリス小説としては結構有名な方なんですけどね。
ただ、一般的には映画の方が有名かもしれません。
ウィリアム・ワイラー監督により映画化されています。
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この映画はまだ観ていないんだけど・・・・・・・・・というか、この間TVでやる予定でしたよね?
録画予約したんだけどな。結局放送しなかったのかな(´・ω・`)
アカデミー監督賞、主演女優賞、脚色賞にノミネートされたそう。
原作を読んだ感じだと、まず映画は原作を超えられてないのではないかという予感がしています。
それほどの完成度の高さ。
サスペンス小説(らしい。)で、そういうジャンルをまず読まない私でも、
引き込まれてページをめくる手が止まらない。
最近すこぶる体調が悪い中でも無我夢中で読んでしまうほどの魔力を持った本です。
体調不良で読むのにはお勧めしない本ですが。
内容はというと、フレデリックという男が憧れの美少女ミランダを誘拐する話。
蝶のコレクターであった男が、今度は女性のコレクターとなっていくという恐ろしい物語。
ミランダ、という名前で「お、シェイクスピア?」と思う私。
その予想は当たったようで、かなりシェイクスピア『テンペスト』の影響を受けています。
いくら現代とはいえ、シェイクスピアは永遠のものだから こういう時は嬉しいものです。
ミランダ。 'O brave new world !' で有名な彼女。
フレデリックは、彼女に対してファーディナンド、と名乗るのです。
ミランダと相思相愛になる男性の名前ね。
読んでいくとすぐ分かるのですが、そのフレデリックと言う男は文学的教養など全くない男。
現実世界で文学的教養のある人なんてまあ、あまりにもいないのが普通なわけですが
こういった文学作品の中で、ここまで教養がないと相当際立っているわけです。
ピップも誰だか分からない。
『ライ麦畑でつかまえて』を読んだ感想が、「この喋り方はきらいだなぁ」としか思えない人です。
そんな彼でも、さすがに『テンペスト』は知っていたよう。
この話は前半はフレデリック側から見た話しになっており、ミランダを必要以上に美化されて描かれています。
後半は、今度はミランダの日記という設定。
そしてまたフレデリック側に戻っていきます。
話は前後しますが、ミランダを誘拐する方法というのがまたヒドイ。
車で犬を轢いてしまったようなのです、まだ息はしているようなのですが、
とミランダに声をかけ、車の下をのぞきこませます。
その隙に誘拐。
彼は彼女を犯したかったのか。それとも愛するからこそ殺したかったのか。
そのどちらの理由でもなく、単に彼女に愛されたかったからというか・・・・・
家のお客様になってほしかったというフレデリック。
自分のことを知ってもらえれば、好きになってもらえるだろうと考える異常者です。
でも、こういう人、いるんだろうなぁ(´・ω・`)
さらに恐ろしいのが、「自分のような人間が世界にもっと増えれば、世界はより良くなると思う」と本気で考えていること。
フレデリックとミランダが何を指し示しているのか、それはきっと多くの先行研究があるのでしょうね。
フレデリックはミランダの表面上しか見ておらず、言うまでもなく本当に愛してはいません。
いや、愛してたら誘拐して監禁なんてするわけないけど。
ミランダは美術学生で、当然ながら絵画に造詣が深い。
絵画だけじゃなく、音楽、文学にも。
一方、フレデリックはそれらをまったく理解できない。
ミランダに言われて読んだ『ライ麦畑』。
しかし、それを読んでいる最中、あと残り何ページか、と確認している姿をミランダに見られてしまったり。
もうねえ、私が完全にミランダタイプだからか、ほんとにフレデリックにいらいらします。
(オースティンの『エマ』を読んで共感しているところとかまで似てる)
なんでここまで文学的な比喩が通じないのぉぉぉぉ!!!!と叫びたい。
そのうち、ミランダはフレデリックを可哀想に見出して、
キャリバン、と呼びかけるようになってきます。
(もし私が拉致監禁されたら、キャリバン、と呼んでいる気がしてならない)
彼の場合、もっと芸術を愛せたらこうはならなかったと思うんですよね。
せめて、すこしは芸術を理解できたら。
また、自分の軸を持てていたら。
読んでいて楽しい話では当然ないのですが、読み終えてしばらくしても全く頭から離れないので
やはり、上手いんだなぁとしみじみ感じます。
翻訳者は小笠原豊樹。
翻訳ご専門の先生のお墨付きの方です。非常にいい味を出しています。
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かなり上手い!!ということが分かったので、他の小説も読んでみようかなーーーーと思っていますが、
オススメ作品ありますか?
そもそもファウルズ読んだことある方がかなり少なそうですが(´・ω・`)
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