こんばんは♪

前回のマッサージ、今回もコメ返し小話しておりますのでお時間ある方はぜひ覗いてみてくださいませ~♪
さて、今回の更新は夢幻です (*´∀`*)

(追記 表記ミスもうしわけありません .・゚・(ノд`)゚・.コメ返しは「マッサージ」ではなく「続・マッサージ」です。)

崖から落ちた三人…はたして?





14



「————医仙……医仙!」

 自分を呼ぶ声に、ウンスはぱちりと目を開けた。
 ぼんやりと視界にキ・チョルの顔が映る。急速に蘇る先程の出来事に、ウンスはがばりと起き上がった。

「ご無事ですか!?」
「っ痛!」

 腕と足に痛みが走る。どうやら痛めてしまったようだと思わず顔をしかめるが、今はそれどことではない。ずぶぬれのまま、目の前のキ・チョルに叫ぶようにして問う。

「キ・チョル!チェ・ヨンは!?」

 周りを探すとすぐ近くにヨンが倒れているのが目に入り、痛む足を押さえて引きずるようにして近寄った。

「テジャン!」

 呼びかけてみるものの、息はしているが目を覚ます気配はない。

 ————毒!

 矢で射られた途端に、ふらりと大きく身体が傾いたのは毒の所為に違いない。射られた傷跡を探すと、ウンスは毒を吸い出す。もう遅いかもしれないが、少しでもやらないよりはいい筈だ。

「川に…落ちて流されたようで…。一体、どこまで流されたのか…」

 しばらく毒を出す事に専念していたウンスがもういいだろうと顔を上げると、キ・チョルが辛そうに座っている姿が目に入ってきた。

 ————キ・チョル?

 顔色が良くない。おそらく自分も決して良くはないだろうが、キ・チョルのそれほどではないはずだ。身体が微かに震えている。

「キ・チョル、あなた大丈夫?」
「だい…じょうぶです。心配は…無用」

 近づいたウンスの手を、キ・チョルは治療はいらないとはね除けたが、一瞬触れた手の冷たさに驚いてしまう。氷のように冷たくなった手…この冷たさは、どう考えてもおかしい。

「それよりも…よく聞いてください。…医仙。チェ・ヨンに…伝えてください。おそらく、断事官は…元を裏切っていると。調べれば…奴を追いつめる手立てになる…と」
「どうして、あなたが…?」

 その問いには答えず、キ・チョルは息をつくと微かに笑った。これだけ伝えれば、あとはチェ・ヨンが上手くやるだろう。

 ————まさかこの私がチェ・ヨンを頼るとは…

 だが悪くない気分だ。チェ・ヨンさえウンスの側にいるのであれば、ウンスの身は安全だろうという絶対の信頼が持てた。

「…助けてくれて、ありがとう」

 唐突にそうポツリと言うウンスに顔をあげ、その表情にキ・チョルは驚かされた。涙を目にためて、心配そうに自分をじっと見ている。

「お願いだから、治療をさせて」

 頬に出来た傷と血をそっと拭う手を、今度ははね除けることなど出来なかった。
 内攻は一体あとどれくらい持つのだろうか。すでに冷たくなりつつある身体だったが、ウンスが濡らした布が頬を伝うと、そこが溶けるように暖かい。
 
 ————医仙を守らねばならぬというのに…いつまで寝ておる

 ヨンにチラリと視線を向けた。
 だがピクリと音に反応したキ・チョルはグイとウンスを引っ張り、急に引き寄せられたウンスが何をするのかと驚いて顔を上げると、キ・チョルは険しい顔で違う方向を睨んでいる。

「なに?なんなの?」
「医仙、追っ手です」

 人の声と足音が聞こえ、トクマン達が探しにきたのかと期待したのだが————

「いたぞ!こっちだ」

 現れたのは高麗の兵士ではなかった。

「女だ!チェ・ヨンは殺すな!」

 駆けつけた男達がこちらに剣を向けて来る。おそらくは、断事官の私兵か雇った刺客か。
 ウンスは思わずキ・チョルの前に立ちはだかった。

「医仙?!」
「逃げて!あなたなら逃げれるでしょう?」
「何故…」
「狙いは……私だけよ」

 これ以上キ・チョルを巻き込む訳にはいかない。どうせこの足では逃げられない。

 ————大丈夫。テジャンは殺されない

 ゆっくりと息を吐き出し、ウンスは前を見据えた。









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